時そばという落語を読んでみましょう。/日本語ラーニングサポートLLC
日本語をオンラインで学習したいと思っている皆さん!私たちと一緒に学習を始めませんか。
今日は、お家で気軽に日本語学習ができる日本語の読み物を一つご紹介します。
「時そば」という落語のお話です。
こちらは、中上級レベルの内容になります。
まだ日本語を学習し始めたばかりという方は、他にも楽しいお話がたくさんありますので、そちらから読み進めることをおすすめします!
日本語の学習を始めたばかりの方におすすめ→「きつねとつる」 「おむすびころりん」
JLPTN4、N3レベルの方におすすめ→「ふるやのもり」
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「時そば」を読む前に一つ確認しましょう!
日本語の数字の数え方です。
いち、に、さん、よん、…
ひとつ、ふたつ、みっつ、よっつ…
こんなふうに数えますね。
昔の日本人の数の数え方は皆さんが知っているものとは少し違うかもしれません。
1(ひい)、2(ふう)、3(みい)、4(よ)、5(いつ)、6(む)、7(なな)、8(や)、9(こ)、10(とお)
昔からある「やまとことば」ではこのように数えられていました。
ひとつ、ふたつ、みっつ…に少し発音が似ているのは、同じ語源があるからです。
昔の日本人は、1、2、3、4、5と数える時には、「ひい、ふう、みい」と言い、物を数える時には、「つ」をつけて、「ひとつ、ふたつ、みっつ」というふうに言っていたんです。「~個(こ)」のように「つ」は助数詞なんですね。
この「時そば」というお話では、やまとことばの数え方が出てきますから、よく注意して見てみてくださいね!
それでは、お話を読んでみましょう。
「時そば」は少し長いので、part1とpart2に分けてご紹介します。
今日はpart1です。
「時そば」part1
江戸にはたくさんのそば屋さんがありました。
お店の人は、小さな屋台を運んで、町へ出てお客さんが来たら、そこへ屋台を下ろしてそばを作るのです。
ある日、一人の男が歩いていました。
そば屋:「そば~そば~おいしいよ~。」
男 :「おーい。いい匂いだな。一杯おくれよ。」
そば屋:「いらっしゃい。少々お待ちくださいね。」
男 :「いや~。今夜は冷えるねぇ。」
そば屋:「そうですねぇ。私は、少し鼻かぜをひいてしまいまして。」
男 :「そうかい。おれもなんだか調子が悪くてなぁ。だから、あつ~いそばを一つ頼むよ。」
そば屋:「へい。」
男 :「どうだい。景気のほうは?」
そば屋:「不景気で困りますねぇ。」
男 :「どこの店もみんな言っているな。まあ、心配するなよ。良い後は必ず悪い、悪い後は必ず良いっていうからな。」
そば屋:「そうですねぇ。へい、お待たせしました。どうぞ。」
男 :「お!はやいねぇ。ちょっと話していただけでもうできたのかい。おれは江戸っ子だからよぉ。待たされんのはきらいなんだ。30分も待ってやっと持って来るようじゃあ、うまいもんもまずくなっちまうからよ。」
男は、そういってそばを受け取りました。
男 :「あれ、ここは割りばしを使ってんのかい。めずらしいね。このあたりのそば屋で割りばしを使っている店はここくらいだよ。」
そば屋:「そうですかぁ。」
男 :「この丼(どんぶり)もいいなぁ。ものは器で食わせろなんてよく言うけど、この丼は最高だよ。」
そば屋:「ありがとうございます。」
男 :「いやあ。それにしてもいい匂いだ。おれはそばが大好きでね。匂いだけでうまいかまずいか分かるんだよ。それにこのそば、細くておいしそうだ。たまに、うどんくらい太いのがあるけど、やっぱりそばは細くないとね。」
男はそう言いながら、そばを全部食べました。
男 :「ふう、ごちそうさま。さて、いくらだい?」
そば屋:「16文です。」
男 :「そうかい。今、こまかいお金しか持っていないんだ。一緒に数えてくれ。」
男は、ポケットからこまかいお金を出して、そば屋の手に一枚ずつのせました。
男 :「ひい、ふう、みい、よ、いつ、む、なな、や……今、何時だ?」
そば屋:「ここのつです。」
男 :「とお、じゅういち、じゅうに、じゅうさん、じゅうし、じゅうご、じゅうろく…よし、これで足りたな。」
そば屋:「へい。まいど。」
そうして男は帰っていきました。
この場面をあるもう一人の男が見ていました。
男2 :「ううん?あの男、なんでお金を数えている時に、今何時だ?なんて聞いたんだ?変だぞ。」
さっきの男の言っていたことを思い出してみました。
男2 :「ひい、ふう、みい、よ、いつ、む、なな、や…今何時だ?とお、じゅういち…あれ??あいつ、そば屋がここのつと言った時、お金を払っていなかったぞ!ここのつを飛ばしたから、15文しか払っていない!」
そうです。さっきの男は頭のいいやつで、わざとそば屋に時間を聞いて、「ここのつ」と言わせ、その1文を払わなかったのです。
「ここのつ」というのは、昔の時間で真夜中のことですね。
男2 :「あいつ!!うまいことやったな!よし、じゃあ俺もやってみようかな。」
あいにく、その日はこまかいお金がありませんでしたから、次の日こまかいお金を集め、ゆうべより早く家を飛び出し、町に行ってそば屋を探しました。
つづく…
さて、いかがでしたか。
この二人目の男は上手く真似できるのでしょうか。
続きが気になりますね。
近々part2もブログでご紹介しますので、是非そちらも見てみてくださいね。
それでは、ここからは日本語の数についてお話したいと思います。
日本語の数について
このブログの最初にも日本語には、「ひい、ふう、みい」という数え方があるとお話しましたね。
そうです。日本語には二つの数え方があるのです。
ひとつは、
いち、に、さん、よん、ご、ろく、なな、はち、きゅう、じゅう…
もうひとつは、
ひい、ふう、みい、よ、いつ、む、なな、や、こ、とお…
ちなみに、一つ目の数え方では11は「じゅういち」と言いますが、二つ目の方では「とお あまり ひとつ」のように数えられていました。
「ひい、ふう、みい」という数え方は、やまとことばと言い、古くから日本にある数え方です。
なんだ古い日本語か。と言われれば確かにその通りなのですが、この数え方は現代でも使われていて、日本人の生活に深くかかわっています。
例えば、皆さんは日本語で日付をいう時、どうやって言いますか。
一日(ついたち)※ついたちは、「月立ち(つきたち)」つまり、月の始まりを意味しています。
二日(ふつか)
三日(みっか)
四日(よっか)
五日(いつか)
と数えますよね。
これは、まさにやまとことばの数え方かから来てます。
昔の日本人は、数字の後ろに「~か」をつけて日にちを表していました。
初級の教科書を見て、皆さんはどうして日本語の数え方はこんなに複雑なんだ!と思ったこともあるでしょう。
いちにち、ににち、さんにちでもいいじゃないか!と。
ランダムに見えるこの一日から十日までの数え方も実は、もう一つの数の数え方から来ていたのです。
十一日以降は、さすがに長くて言いにくいので、現在では「じゅういちにち、じゅうににち…」が採用されています。
ただ、二十日をはつか、三十日をみそかという昔の言い方は、今でも残っています。
三十日(みそか)なんだそれ??と思った方、思い出してみましょう。一年の最後の日を何と言いますか。
そうです。「おおみそか」ですね。
この「みそか(三十日)」は月末を意味していて、一年の最後だけは「おおみそか」と読んでいました。
「いち、に、さん」という数え方はいつできたのかという話ですが、これは中国から漢字が入って来たときにできました。
奈良時代(710年~794年)頃にはすでに日本にこの数え方があったと言われています。
ただ最初は、庶民の間では普及しておらず、一般的に人々が使うようになったのは近代教育制度が整った明治時代半ばくらいだと思われます。
いかがでしたか。
本日は、「時そば」part1と数え方に関するお話をご紹介しました。
お楽しみいただけましたでしょうか。
このブログを読んで、面白い!へえなるほど!と思っていただけていたら嬉しいです。
それでは、また次回のブログでお会いしましょう。
お疲れ様でした!