鬼のつめというお話を読んでみましょう。/日本語ラーニングサポートLLC

2025/04/06 ブログ

鬼のつめという日本昔話を読んでみましょう。

タイトルからも怖そうな感じがしていますね。

昔話の中でも人気なキャラクター「鬼」が出てくるお話です!

さあ、早速読んでみましょう!

 

鬼のつめ

昔々、あるところにいじわるなおばあさんがいました。

このおばあさんは、自分がお米を買う時は、大きなスプーンではかって、売るときは小さなスプーンではかって売っていました。

いじわるおばあさんは、村のみんなから嫌われていました。

 

時が流れ、そんないじわるおばあさんも体が弱くなり、とうとう死んでしまいました。

それで、村のお寺の和尚さんがこのおばあさんのお葬式を担当することになりました。

お葬式の前の日、空から赤鬼と青鬼がやってきて言いました。

赤鬼  :「このおばあさんは、いじわるなことばかりしていたから、地獄に行くことが決まったぞ。」

青鬼  :「明日葬式の日、私たちが地獄に連れて行くぞ。」

和尚さん:「死んだ人に罪はないぞ!地獄に連れて行くなんて許さない!」

和尚さんは、鬼たちに向かって言いました。

そうして次の日、和尚さんたちがおばあさんのお棺(かん)を運んでいると、空が急に暗くなってきました。

※お棺(かん):亡くなった人を入れる箱のようなもの

 

強い風がビューっと吹いて、和尚さんのお経(きょう)の紙が飛ばされてしまいました。

やがて暗い雲の中から鬼の手が伸びてきて、おばあさんのお棺を地獄へ持って行こうとしました。

和尚さんは、お棺を持っていかれないように、しっかり掴んでぐいぐいと引っ張りました。

村の人々は、いじわるおばあさんだったんだから地獄へ行ってもいいじゃないかと思っていましたが、和尚さんはあきらめませんでした。

和尚さん:「死んだ人に罪はない!みんなでお経を読んで鬼を追い払うんだ!」

村の人は、一生懸命な和尚さんを見て、手伝いたいと思うようになり、みんなでお経を読み始めました。

鬼はとうとう逃げていきましたが、おばあさんのお棺には鬼の爪が刺さったままでした。

地面に落ちたお棺の中には、優しい顔で眠ったおばあさんがいて、村人たちは死んでしまったらみな同じだと強く思いました。

 

 

 

いかがでしたか。

鬼のつめという少し怖いお話をご紹介しました。

それでは、ここからは本文に出てきた日本語を少し詳しく見ていきましょう。

 

本文の中で、赤鬼と青鬼はこのように話していましたね。

赤鬼  :「このおばあさんは、いじわるなことばかりしていたから、地獄に行くことが決まったぞ。」

青鬼  :「明日葬式の日、私たちが地獄に連れて行くぞ。」

 

文のエンディングにある「~ぞ」ってどういう意味なんでしょうか?

一緒に考えていきましょう。

 

日本のアニメや漫画を見たことがある方なら一度は聞いたことがあるかもしれませんね。

この「~ぞ」は語気助詞といって、この「ぞ」自体には意味がありません。

ですが、この「ぞ」をつけることで、文の意味を強くすることができます。

 

今回は、「ぞ」の使い方について少しご紹介したいと思います。

1、みんなへ注意・呼びかけ

 

Sample1 おー、田中さんが来たぞー!

Sample2 そっちに行くと危ないぞ。

Sample3 おい!こっちに道があるぞ!!行ってみよう!

 

その場所にいるみんなに分かるように、注意したり、みんなの注目を集める時に使います。

もちろん「~よ」を使ってもいいですが、「~よ」の場合はもう少し注意の意味が弱くなったり、一対一で話している時に使う印象があります。

 

2、自分に対する意志

 

Sample1 よし、頑張るぞ。

Sample2 こんな町、とっとと出て行ってやるぞ!

Sample3 まだチャンスはある!あきらめないぞ!

 

自分の強い意志、気持ちを表すことができます。

これも「~よ」と入れ替えることができますが、「~よ」は誰かに対して話している(聞き手が必要)なのに対し、「~ぞ」は聞き手がいなくても成立します。

独り言で自分に対して話している感じですね。

 

3、自分の主張

 

Sample1 勉強っていうのは続けることが大事なんだぞ。

Sample2 君の思い通りにはさせないぞ。

Sample3 いつも夜更かししていると風邪をひくぞ。

 

このように相手に対して、自分の主張を強くする時にも使うことができます。

これも「~よ」と入れ替えることができますが、「~よ」の方がやさしい印象になり、「~ぞ」を使うとより強い話者の考えを表すことができます。

 

この「~ぞ」は、男性が使うイメージも多いと思いますが、女性が使ってはいけないというわけではありません。

特に今日紹介した2、自分に対する意志という使い方は、女性もよくします。

アニメ「クレヨンしんちゃん」の日本語版では、しんちゃんが「~だぞ」という言葉を使っているのがかなり印象的ですね。

実際に子供が「ぞ」を使う場面はそこまで多くないので、しんちゃんが「~ぞ」というとなんだか可愛らしい印象に見えたり、そのキャラクター特有の語気助詞という感じがしていいですよね。

 

今日は、鬼のつめというお話と、「~ぞ」という語気助詞についてお話しました。

お楽しみいただけましたか。

日本語学習で何をしたらいいのか分からなくなった時は、まずこのJLSブログで読む練習をしてみましょう!

どんなレベルの方でもお楽しみいただだけるよう様々なお話をご用意していますよ!

それでは、今日はここまで!

また次回のブログでお会いしましょう!