もち屋の値段というお話を読みましょう!/日本語ラーニングサポートLLC

2025/02/23 ブログ

もち屋の値段というお話を読んでみましょう。

今回のお話には吉四六さんというキャラクターがでてきます。

吉四六さんという人は、日本の昔話によくでてきますので、知っているかたもいらっしゃるかもしれません。

吉四六さんはとても頭がいいので、今回もどんなお話なのか楽しみですね。

それではさっそく読んでみましょう!

 

「もち屋の値段」

昔々、吉四六(きっちょむ)さんというとても頭の良い人がいました。

ある時、吉四六さんはたきぎを馬にのせて町へ売りに出かけました。

たきぎというのは、火を起こす時に使う、木のことです。

吉四六:「たきぎはいりませんか~!たきぎはいりませんか~?」

そういいながら、町の中を歩いていると、もち屋の旦那に会いました。

もち屋:「お!吉四六!今お前が持っているの全部買いたいんだが、いくらだ?」

吉四六:「へい!全部でちょうど100文だよ!」

もち屋:「へえ、100文か。それは安い。」

もち屋の旦那は、ニヤリと笑うと、代金の100文を吉四六さんに渡しました。

吉四六さんはたきぎが売れたのが嬉しくて元気に言いました。

吉四六:「まいど!」

すると、もち屋の旦那は、たきぎをのせた馬を引いて歩き始めました。

吉四六:「おいおい!馬は売っていないぞ!たきぎだけ持っていってくれ。」

吉四六さんはびっくりして言いました。

もち屋の旦那は、落ち着いて言いました。

もち屋:「それは話が違うなぁ。俺は、お前が持っているもの全部でいくらだと聞いたんだ。お前は全部で100文だと言って、代金を受け取っただろう。」

吉四六:「く~~~っ!」

もち屋:「だから俺は、全部の代金を払って、馬とたきぎを買ったんだ。文句ないだろう?」

吉四六:「やられた!!」

こうして、吉四六さんはたきぎと馬を持っていかれてしまいました。

家に帰って吉四六さんは、思いました。

吉四六:「よし、今度はやり返してやる!」

 

何日か経って、もち屋の旦那が忙しくしているところにあるお客さんが来ました。

そのお客さんは、吉四六さんでしたが、もち屋の旦那はずっと下を向いてもちを焼いていたので気が付きませんでした。

吉四六:「おお、いい店だな。いくらだ?」

もち屋:「へへ、うちのもちはうまいよ!20文だ!」

吉四六:「へえ、それは安い。よし、買おう!」

吉四六さんは、20文を渡しました。

もち屋の旦那は、お金を受け取る時にやっと上を向き、お客さんが吉四六さんだと気が付きました。

もち屋:「やや、吉四六じゃないか。ははは、もちを買って私の機嫌を取ろうとしても無駄だよ。馬は返さないからな。」

吉四六さんは、笑って言いました。

吉四六:「はっはっは!馬は返してもらわなくてもいいんだよ。それより、早くそこから出てくれないか。この店は僕のものなんでね。」

もち屋:「ど、どういうことだ?」

吉四六:「さっき、僕がこの店を20文で買ったじゃないか。」

もち屋:「店を売った覚えはないぞ!」

吉四六:「僕は、『いい店だな。いくらだ?』と聞いたんだ。そしたら、お前が20文だと言ったんじゃないか。」

もち屋:「し、しまった!!」

吉四六:「それで、僕は代金を払ったんだから、今からこの店は僕のものだよ。」

もち屋の旦那は、吉四六さんにいじわるしたことを後悔しました。

そして、必死に謝って、店を返してもらい、吉四六さんの馬も返したということです。

 

 

いかがでしたか。

今回は吉四六さんの出てくるお話「もち屋の値段」を紹介しました。

 

それでは、ここからは本文に出てきた文法を少し詳しく見ていきましょう。

本文には「もち屋の旦那が忙しくしているところにあるお客さんが来ました。」とありましたね。

この「~ところに」というのはどういう意味の文法なのでしょうか。

一緒に見ていきましょう。

 

●「~ところ」

この文法は、まさに今~する、~している、~したという意味で使われます。

「ところ」の前に来る動詞の形によって未来のことなのか、今のことなのか、過去のことなのかが変わります。

例えば、「今、会議が始まるところです」と動詞の辞書形を使えば、未来のことになります。「これから会議が始まる」(=1分~3分くらいあとで、すぐに始まる)という意味ですね。

「今、部屋を掃除しているところです」とテイル形を使うと、「今~をしている」という現在進行形になります。

「今、うちに帰ったところです」と動詞のた形を使うと、過去のことになります。

「さっき家へ帰った」(=1分~3分くらい前に、帰ってきた。帰ってきてから時間が経っていない)ということを表しています。

 

他の例文を見てみましょう。

 

Sample1 今から出かけるところです。

Sample2 これからみんなで食事に行くところなんですが、田中さんも一緒にどうですか。

Sample3 忙しくしているところに電話がかかってきた。

Sample4 (電話で)すみません、今会議をしているところなんです。

Sample5 レポートはちょうど今出したところです。

Sample6 駅についたところで、左右違う靴を履いてきたことに気が付いた。

 

 

このような使い方ができます。

Sample3、6のように「ところに」「ところで」という使い方もできます。

「ところに」の後ろには、それまでの状況を変えるような出来事が来ます。

「来る、現れる、起こる」などの動詞が来る場合が多いです。

Sample3の「ところに」の後ろにも、「電話がかかってきた」という言葉が入っていますね。

「電話がかかってきた」ことでそれまでの状況が変わったというような意味が含まれています。

「ところで」は、それまでの動作が終わり、もしくは一旦区切りがついて、後件の出来事が起こるという意味になります。

Sample6の「ところで」は、駅についてから(つくという動作が終わってから)靴が違うことに気が付いた、気が付くのが遅かったというような意味になっていますね。

 

このように、助詞によっても意味が変わってきますので、練習する際は、助詞も入れながら正しいフレーズで覚えてみましょう。

練習すればするほど上手くなりますよ!

 

 

本日は、「もち屋の値段」というお話と、「~ところ」という文法をご紹介しました。

お楽しみいただけましたでしょうか。

それでは、今日はここまで!

また次回のブログでお会いしましょう!