赤い靴part2を読んでみましょう!/日本語ラーニングサポートLLC
赤い靴というお話を読んでみましょう!
前回part1をご紹介したので、今回はpart2です。
Part1のあらすじ→貧しい暮らしをしていたカーレンという女の子は、ある時靴屋のおじさんに赤い靴をもらいます。カーレンは履くものがこれしかないので、お母さんのお葬式にもこの靴を履いていきました。それから、カーレンはお金持ちのおばあさんと一緒に暮らすことになり、生活も大きく変わりました。ある日、教会に行くときにカーレンはまた赤い靴を履いて行ってしまい……
Part1を最初から読みたい方は、こちら↓
https://nihongojikan.jp/blog/20241201-4323/
「赤い靴」part2
おばあさんはびっくりして、
おばあさん:「カーレン、教会に赤いくつを履いて行ってはいけませんよ。黒い靴で行きなさい。」
と言いました。
カーレン :「はい、おばあさま。わかりましたわ。次から黒い靴を履いていきます。」
カーレンはそう言いましたが、それからしばらくしておばあさんが病気で寝込んでしまうと、こっそりいつも赤い靴を履いて教会へ行ってしまいました。
教会では皆がカーレンの赤い靴をジロジロと見ました。
お祈りの間、カーレンはずっと赤い靴のことを考え、歌もほとんど歌いませんでした。
それから何週間か経って、町で大きなパーティがひらかれることになりました。
もちろんカーレンの家にも招待状が届きました。
病気のおばあさんの看病ができるのはカーレンしかいないのに、カーレンはパーティのことばかりを考えてしまいました。
そして、パーティの日、カーレンはやっぱり赤い靴を履いて、パーティ会場に向かってしまったのです。
会場に行く途中、カーレンの赤い靴を履いた足が急に踊り出しました。
カーレン :「あら?どうして?踊りたくないのに勝手に踊ってしまうわ!」
足は止めようと思っても止まりません。
しかも、赤い靴はパーティの会場と反対の方向に進みます。
そうして、とうとうカーレンは踊りながら、町の外れの森まで来てしまいました。
それでも赤い靴は止まりません。
カーレンはどんどん森の中まで入っていってしまいました。
靴を脱ぎ捨てようとしましたが、靴はカーレンの足にぴったりとくっついて離れません。
カーレンは、赤い靴を脱ぐことができないまま、踊り続け、やがて森を越え、草原を越え、どこまでも行きました。
雨が降っても、雪が降っても、カーレンは踊り続けました。
そして、墓地へ入っていき、教会へたどりつきましたが、カーレンの足は止まりませんでした。
すると、どこからか天使がやってきて言いました。
天使 :「これはこれは、きれいな靴ですね。あなたが真面目な心を持たないから、この靴は踊り続けているんですよ。心を入れ替えれば、きっとその足は止まるでしょう。」
カーレン :「ずっと踊っていてもうクタクタです。休ませてください!」
カーレンがそう言いましたが、ダンスはもっと激しくなるばかりでした。
そのまま赤い靴は踊り続け、また森の中へ行き、冷たい川の中に入り、どんどん進んでいきました。
カーレンの体は傷だらけになり、すっかり疲れてしまいましたが、それでも踊りは終わりませんでした。
カーレン :「神様、どうか私を助けてください!」
カーレンは神様に祈りました。
そして、あの優しいおばあさんの病気が悪くなったのも、自分が看病を真面目にしなかったからだと気が付いたのです。
カーレン :「おばあさま、ごめんなさい!」
そういうとカーレンの周りが急にパーッと明るくなり、前に出会った白い天使がやってきました。
いつの間にか、カーレンは教会の中にいて、教会の中にはどんどん光が広がっていきました。
どこからか、オルガンの音と歌声が聞こえ、牧師さんが見えました。
そして、カーレンは明るい光に包まれて、天使と一緒に神様のところへ昇っていきました。
いかがでしたか。
アンデルセン童話ですので、悲しいエンディングですね。
ここからは、お話の中に出てきた文法を少し学習してみましょう。
今回は、「~ばかり」をご紹介します。
本文では、「カーレンがそう言いましたが、ダンスはもっと激しくなるばかりでした。」という文が出てきましたね。
この「ばかりです」はどんな意味なのでしょうか。
一緒にみてみましょう!
●ますます(悪い状態)になる
「~ばかりだ」は、悪い状況がどんどんひどくなると言いたいときに使われます。
Sample1 ご主人が亡くなってから、山田さんは元気がなくなるばかりで、心配だ。
Sample2 漢字は書かないと忘れていくばかりだ。
Sample3 この部屋はだれも掃除していないから汚れていくばかりだね。
Sample4 最近、引っ越しや友人の結婚式なんかでお金が減るばかりだよ。
このように、ますます、どんどん~になるという時に使います。
大抵は悪い状況を表しますね。
「一方だ」とも使い方が似ているので、一緒に確認しましょう。
「一方だ」は、ますます~になるという意味では、「ばかりだ」と同じですが、「ばかりだ」はネガティブな文になるのに対し、「一方だ」はポジティブな意味でも使えます。
〇 漢字は書かないと忘れていくばかりだ。
〇 漢字は書かないと忘れていく一方だ。
× 日本の景気は良くなるばかりだ。
〇 日本の景気は良くなる一方だ。
また、「ばかり」には他にもいくつかの文法があります。
●それだけ~する
「~てばかりいる」「~ばかり~ている」という文型で、それだけを~するということができます。
Sample1 うちの子は最近、ゲームしてばかりいて、全然勉強しないんです。
Sample2 肉ばかり食べていないで、野菜も食べなさい。
Sample3 文句を言ってばかりいないで、少しは相手を認める努力も必要よ?
Sample4 夢ばかり見ていてもだめですよ。しっかり現実を見ないと。
このように「~てばかりいる」「~ばかり~ている」もネガティブな文脈で使われます。
人に対して文句を言う時や、注意をする時によく使います。
●~をしたあとすぐのタイミング
「~たばかり」で、~をしてすぐのタイミングだということを表すことができます。1分前、1時間前に~をしましたよ。という意味で使われます。
Sample1 さっきご飯を食べたばかりなので、今はまだお腹がいっぱいです。
Sample2 君の運転する車には怖くて乗れないよ。先月免許を取ったばかりなんだろ?
Sample3 今、帰ってきたばかりだから、まだ手紙は読んでないんだ。
Sample4 田中さんは去年結婚したばかりだそうですよ。
このように「~たばかり」で、~してすぐだということを表すことができます。
「~たところ」とも似ていますが、「~たところ」は本当に1分前、2分前のようなとても短い時間に使います。
「~たばかり」は話し手が短い時間だと思えば、1年前でも5年前でも使うことができます。
〇 コンサートは今始まったばかりだ。
〇 コンサートは今始まったところだ。
〇 田中さんは、去年結婚したばかりだそうですよ。
× 田中さんは、去年結婚したところだそうですよ。
いかがでしたか。
本日は、「赤い靴」part2と「~ばかり」という文法について紹介しました。
楽しんでいただけていたら幸いです。
12月のJLPT試験も終わり、少し落ち着いた方も多いと思います。
これから、クリスマス、お正月と楽しいイベントがたくさんありますから、風邪をひかないように気をつけてくださいね。
それでは、また次回のブログでお会いしましょう!