月に行ったウサギというお話を読みましょう!/日本語ラーニングサポートLLC

2024/09/18 ブログ

「月に行ったウサギ」というお話を読みましょう。

9月は月がきれいですね。

皆さん、お月見はされましたか。

色々な国で、月にはウサギがいるという言い伝えがあるようですが、今回は日本で言い伝えられているお話をご紹介します。

 

 

「月に行ったウサギ」

昔々、あるところにウサギとサルとキツネがいました。

サル :「ぼくたちは、どうして動物に生まれたんだろう?」

キツネ:「きっと、前世で何か悪いことをしたんだ。」

ウサギ:「それなら、人のためになることをしたら人間になれるのかな。」

そんな話を聞いていた神様が三匹のところにやってきました。

神様 :「君たちは、人間になりたいんだね。」

サル :「はい!」

神様 :「じゃあ、君たちの食べ物を人間にごちそうしてあげなさい。そうすれば来世は人間になれるだろう。」

キツネ:「じゃあ、僕たち食べ物を探してきます!」

 

サルは、まず山へ行きました。

季節は秋です。

山には、栗や柿がたくさんあります。

サルは、おいしそうな栗や柿を拾って持って帰りました。

 

キツネは川に行きました。

川では魚たちが元気に泳いでいます。

キツネは、魚をパクッとくわえると、持って帰りました。

 

ウサギも自分の食べ物を探しに行きましたが、ウサギが食べているのは緑の草で、秋のこの時期には、あまりありません。

ウサギは一生懸命探しました。

でも、とうとう見つかりませんでした。

 

そこで、ウサギは枯れた木の枝や葉を集めてサルたちのところへ帰りました。

ウサギ:「僕の食べ物は焼いたほうがおいしいから、君たちそこで火を起こしてくれないか?枯れた木と葉があるからこれを使って!」

サルとキツネは、言われた通り、火を起こしました。

 

火がぼうぼうと燃えています。

ウサギは、突然火に向かって走り出しました。

ウサギ:「僕は、食べ物を見つけられなかったから、代わりに僕を人間に食べさせて!」

そういって、ウサギは燃えている火の中に飛び込みました。

サルとキツネは驚きました。

そこに、神様が下りてきて言いました。

神様 :「サル、キツネ、君たちはちゃんと自分の食べ物を人間にあげる優しい子たちだ。来世は人間にしてあげよう。でも、ウサギはもっとすごい。自分の命を食べ物にして、人間の役に立とうとした。」

神様は、ウサギを抱えてスーッと天に昇っていきました。

神様 :「ウサギは、とても強くて心優しい。月の国でいつまでも幸せに暮らせるようにしてあげよう。」

 

ウサギは神様と一緒に、月の国へ行って、今も幸せに暮らしているようです。

 

 

いかがでしたか。

お月様に行ったうさぎのお話でしたね。

このようなお話は、世界で話されていますが、特にインドのお話が有名だと思います。

 

それでは、ここからは本文に出てきた日本語を少し学習してみましょう!

 

「じゃあ、君たちの食べ物を人間にごちそうしてあげなさい。」

神様は、ウサギ、サル、キツネにこう言いました。

日本語の物語を読んでいると、「~なさい」という文法がよく出てきますね。

しかし、日本語学習者の皆さまは、実際の会話で使う機会が少ないのではないでしょうか。

 

今日は、この「~なさい」についてご紹介しようと思います。

「~なさい」は、命令・指示など相手にある行動を促す文法です。

 

Sample1 早く起きなさい!遅刻するよ!

Sample2 以下の問題に答えなさい。

Sample3 ちゃんと座って食べなさい。

Sample4 宿題早くやりなさいよ~。

 

 

これを見ると、お母さんやお父さんが子供に対して言う言葉のように見えますね。

その通りです。

目上の人から、目下の人に言うことが多いです。

それでは、上司が部下に仕事を頼むときには使えるのでしょうか。

 

例えば、こんな文…

・(上司が部下に)明日までにこの資料を完成させなさい。

 

日本人はあまりこのように言いません。

確かに上司は部下より上の人ですし、指示を表す「~なさい」を使ってもよい気がしますね。

しかし、「~なさい」には、話し手の「~してほしい」という気持ちがあまりなく、「~するほうがいい」「~をすることは正しい」というような客観的な意見が入っています。

上のSampleでも出ていた「早く起きなさい。遅刻するよ!」を見てみましょう。

お母さんと子供の会話だとしましょう。

子供が早く起きても、寝坊してもお母さんは何も困りませんね。

お母さんが個人的に、子供に起きてほしいのではなく、一般的な意見として、社会のマナーとして寝坊はいけない、早く起きて学校に行った方がいいというニュアンスが入っています。

ですから、上司が部下に「~してほしい」という意味で「~なさい」を使うと不自然になってしまいますので、気をつけましょう!

 

本日は、「月に行ったウサギ」というお話と、「~なさい」という文法について少しお話しました。

楽しく学習できましたか。

私たちのブログでは他にも日本語学習に役立つ記事をアップしていますので、是非他の記事もご覧ください!

それでは、今日はここまで!

また次回のブログでお会いしましょう!