座敷童というお話を読んでみましょう!/日本語ラーニングサポートLLC

2024/07/21 ブログ

座敷童(ざしきわらし)というお話を知っていますか。

これは日本に古くから伝わるお話です。

ちょっぴり怖いけど、面白い!そんな「座敷童(ざしきわらし)」をさっそく読んでみましょう!

 

「座敷童」(ざしきわらし)

昔から東北地方には座敷童という子供の姿をした神様が古い大きな家に住んでいると言われています。

座敷童は、寝ている人の周りをドタドタと走り回ったり、いたずらしたりするようです。

 

ある日のこと、一人の若者が川で釣りをしていると、川べりに小さな男の子がぽつんと立っていました。

若者:「おい、こんなところで何してるんだ?」

男の子:「川の向こうに行きたいけど、泳げないんだ。」

若者:「それじゃあ、おいらの船で送って行ってあげるよ。」

若者は男の子をのせて、川の向こうまで連れていってあげることにしました。

若者:「どこさ行くつもりなんだ?」

男の子:「僕ね、今まであの村の一番古い大きなお家に住んでたの。でも、家を建て直すことになったみたいだから、出ていくことにしたんだ。こっちにも大きなお家があるからね。」

若者:「ふうん。」

男の子:「しばらくはこっちに住むつもりなんだ。」

反対側の川岸に着くと、若者は言いました。

若者:「さあ、着いたぞ。気をつけてな。」

若者がそう言って振り返ると、もう男の子はどこにもいなくなっていました。

不思議なこともあるものだな、そう思いながら若者はかえっていきました。

しばらく経って、若者は村であるうわさを聞きました。

村で一番古い家に住んでいた家族が、今までは商売繁盛(しょうばいはんじょう)していたのに、急に上手くいかなくなってしまったらしいのです。

家を建て替えたせいだとみんなは言いました。

※商売…ビジネス

※繁盛…お客さんがたくさん来て、ビジネスが上手くいくこと

 

ちょうど同じ時、川の向こう側で一番古い家の商売が突然繁盛し始めました。

そこは、以前はお客が全然来ない宿屋(やどや)でした。

しかし、ある時一人のお客が泊まりに来ました。

このお客は、力持ちの大男でした。

夜男が寝ていると、どこからか男の子がやって来て、

男の子:「おじさん、僕と腕相撲(うでずもう)しない?」

と言いました。

男  :「いいけど、おじさん負けないよ?」

男は力に自信があったので、子供と勝負するか迷いましたが、男の子がどうしてもというので、やってあげることにしました。

ところが、何回やっても男の子には勝てません。

二人は、夜が明けるまで勝負しました。

夢中になっていた男は、気が付くと眠ってしまい、朝になると男の子はいなくなっていました。

男は、宿屋を出る時に、宿屋の主人に言いました。

男  :「いや~。おたくの息子さん、腕相撲が強いんですねぇ。驚きましたよ。」

主人 :「ええ?何のことです?家には息子はいませんけど。」

このうわさを聞いた人々は、不思議な男の子を見てみたい!とこの宿屋に泊まりに来ました。

こうして、この宿屋はどんどん人気になり、お客さんもたくさん増えたそうです。

 

 

いかがでしたか?

座敷童という子供の神様のお話でした。

少し怖いと思う方もいるかもしれませんが、座敷童は家の守り神とも言われているんです。

ですので、座敷童がいるお家は幸運なお家なんですよ。

 

さて、ここからはお話の中に出てきた日本語文法について少しお話します。

●「家を建て直すことになったみたいだから、出ていくことにしたんだ。」

川で出会った男の子が若者にこう言いましたね。

今回は、「家を建て直す」の「~直す」という文法を見てみましょう。

V+直す は、もう一度~をするという意味の文法です。

Sample1 今、電車に乗ったところだから、後でかけ直すね。(電話)

Sample2 あーあ。このケーキ失敗しちゃったな…もう一回作り直しか…

Sample3 こんなレポートじゃだめだよ。もう一度書き直して!

Sample4 テストが終わった人は必ず問題と答えを見直してくださいね。

Sample5 うわ、雨降ってきちゃった。洗濯物干しっぱなしなのに…帰ったら洗濯し直さなきゃ。

 

このように色々な場面で使えますね。

「~直す」には、もう一度最初から~するというような意味が入っているので、間違いや失敗した時、もしくは今の状況が良くない場合に使うことが多いです。

もう一つ「建て替える」という言葉も出てきましたね。

「建て直す」と「建て替える」は、このお話の中では同じような意味で使われていますが、「~直す」と「~替える」は少しイメージが違います。

「~直す」は、古いもの、悪いものをもう一度~して新しくする、良くするというイメージです。

「~替える」は、今あるものを別のものにするという意味があります。

他にも「空気を入れ替える」「パソコンを買い替える」などと言うことができますよ。

 

本日は、「座敷童」というお話と「~直す」という文法についてご紹介しました。

日本語って楽しい!面白い!と思っていただけていたら嬉しいです。

私たちJLSのHPでは、たくさんの日本語に関するブログをアップしていますので、是非他のも見てみてください。

それでは、今日はここまで!

また明日から一週間頑張っていきましょう!