不思議な太鼓というお話を読んでみましょう!/日本語ラーニングサポートLLC

2024/05/26 ブログ

不思議な太鼓 というお話を読んでみましょう!

今回は、日本の「不思議な太鼓」というお話をご紹介します。

「桃太郎」や「浦島太郎」のように有名なお話ではないので、知らない方も多いと思いますが、とても面白いので是非最後まで読んでみてください。

 

7月のJLPT試験まであと一か月と少しになりましたね。

受験を予定している皆さま、勉強は順調でしょうか。

漢字が難しい、語彙が覚えられないなどお悩みがあるかと思いますが、そんな時は、JLSブログの物語シリーズを読みながらストーリーと一緒に漢字や語彙、文法を覚えてしまいましょう!

 

 

「不思議な太鼓」

むかしむかし、源五郎(げんごろう)という一人の若者がいました。

源五郎は、不思議な太鼓を持っていました。

源五郎が、「鼻、高くなーれ」と言いながら、その太鼓を叩くと、本当に鼻が高くなり、「鼻、低くなーれ」と言うと、鼻が低くなるのです。

そんな不思議な太鼓を使って、源五郎はいつも村の人たちの鼻を高くしたり、低くしたりしてあげていました。

源五郎:「鼻、高くなーれ!高くなーれ!」

ドンドンドンドン!

源五郎:「鼻、低くなーれ!低くなーれ!」

ドンドンドンドン!

村の人:「ありがとう!源五郎!」

鼻を変えてもらった村の人たちはたいへん喜んで、源五郎にお金を渡していました。

お金持ちになった源五郎は、ある日、野原に寝転んで

源五郎:「鼻、高くなーれ。高くなーれ。」

と言って、太鼓を叩きながら一人で遊んでいました。

源五郎は、どこまで鼻が高くなるのか試してみたくなり、何度も何度も太鼓を叩きました。

源五郎の鼻は、木を越え、飛んでいる鳥の横を通り、あっという間に雲まで届いてしまいました。

雲の上は天国です。

ちょうど天国では、大工さん(だいくさん)たちが橋を作っているところでした。

大工さんたちは、いきなり下から棒のようなものが出てきたので驚きました。

それがまさか源五郎の鼻だなんて知らない大工さんたちは、木材だと思い、橋に結んでおきました。

源五郎:「あれ?もう高くならないみたいだ。じゃあ、今度は低くして、元の高さに戻そう。」

源五郎は、鼻を低くしようとしました。

源五郎:「鼻、低くなーれ。低くなーれ。」

ドンドンドン!

でも、鼻は天国の橋にしっかり結んであるので、源五郎の体の方が、天国へ上っていきました。

源五郎:「どうして体が上に上がっていくんだ!?」

源五郎は慌てて、何回も太鼓を叩き、あっという間に天国についてしまいました。

天国の大工さんたちは、ちょうど休み時間で、橋の近くには誰もいなくなっていました。

源五郎:「どうして鼻が橋に結ばれているんだ?木材と勘違いしたのか?」

そんなことを言いながら、源五郎はどうやって元の世界に帰ろうか考えていました。

急にひゅーっと風が吹いて、雲の間から、下の世界が見えました。

源五郎:「うわー!上から見ると本当にきれいだなぁ。」

源五郎が、景色に夢中になっていると、びゅーーーーーっと大きな風が吹き、源五郎は下に落ちてしまいました。

源五郎:「ひゃあーーーーーーーー!!」

そのまま、ボッチャーン!と湖に落ちてしまいました。

源五郎は慌てて、泳ぎましたが、気が付くと体がフナという魚になっていました。

結局、源五郎は人間には戻れず、フナとして湖の中で一生暮らすことになりました。

その湖は、琵琶湖(びわこ)。今でも、琵琶湖に行くと、源五郎に会えるそうですよ。

 

 

いかがでしたか。

皆さん、琵琶湖(びわこ)は知っていますか。

滋賀県(しがけん)にある日本で一番大きい湖です。

実は、この琵琶湖には本当に「ゲンゴロウブナ」という魚がいるんですよ。

しかも、このゲンゴロウブナはもともと琵琶湖にしかいない魚なんです。

現在は、養殖(ようしょく)といって人が魚を育てて売ることが多いので、他の地域にもいるようです。

琵琶湖にしかいない珍しい魚だったことから、ゲンゴロウブナにはいくつか伝説があるようです。

 

さて、ここからは本文に出てきた文法を少しご紹介します。

今日の文法は「~ず」です。

本文では、「結局、源五郎は人間には戻れず、フナとして湖の中で一生暮らすことになりました。」

という文の中で、使われていましたね。

「~ず」とはどんな意味なのでしょうか。

見ていきましょう。

 

●「~ず(に)」の使い方●

Sample1 今朝は寝坊して時間がなかったので、朝ご飯を食べずに、学校へ行きました。

Sample2 廊下は走らず、歩きなさい。

Sample3 昨日は寝ずに、サッカーの試合を見ていました。

Sample4 この料理は包丁を使わずにできますから、簡単ですよ。

 

「~ず、~」は、それをしない状態で~をするという意味で、「~ないで~」と同じ意味になります。

「~ず」の方が、「~ないで」より硬い言い方で、書き言葉としてもよく使われます。

活用は、動詞のない形の「ない」を取って、「ず」を付けるだけですが、「しない」は「せず」に変化するので注意が必要です。

「~ずに、~」ということも多いです。

 

練習問題 「~ずに」を使って文を完成させてください。

解答例は、このブログの一番下に書きます。

 

① あ、雨だ!朝は晴れていたから、傘を(    )来ちゃった!

② 骨折しちゃったんですか。仕事のことは(    )ゆっくり休んでください。

③ 昨日の夜は疲れていたから、お風呂に(    )寝ちゃったよ。

 

 

いかがでしたか。

今日は、「不思議な太鼓」というお話と、「~ず(に)」という文法をご紹介しました。

皆さまに日本語って面白いな!と思っていただけていれば嬉しいです!

私たちのブログには他にもたくさんの物語がありますので、是非自分の好きなお話を見つけてみましょう。

それでは、今日はここまで!

 

 

練習問題の解答例

①持たずに ②心配せずに ③入らずに