幸福の王子というお話を知っていますか。日本語リーディングをしてみよう!/日本語ラーニングサポートLLC

2024/05/08 ブログ

幸福の王子 というお話を知っていますか。

これは日本昔話ではなく海外の有名なお話なので、皆さんの中にも読んだことがあるという方がいるかもしれませんね。

今日はこのお話を日本語で読んでみましょう。

日本語の学習には、読み物を読むのがとても効果的ですから、たくさん楽しいお話を読んで、どんどんレベルアップしましょう!

また、今回のお話は少し長いのでpart1とpart2に分けてアップします。

 

 

「幸福の王子」(こうふくのおうじ)part1

昔々、ある国に幸福の王子と呼ばれる王子様の像がありました。

この王子は、若い時に亡くなってしまったので、人々はきれいな像を建てたのです。

剣の飾りはルビー、目はサファイアの石でできていて、体には全部金箔(きんぱく)がはってありました。

※金箔(きんぱく)…金をたたいて紙のように薄くしたもの

 

ある時、旅をしているツバメがやってきて、幸福の王子の像にとまりました。

ツバメ :「ふー、疲れたな。でも、エジプトまでまだたくさん飛ばなきゃいけないから、ここで少し休んでいこう。」

すると、王子の像がツバメに話しかけました。

王子の像:「すみません。ツバメさん。ちょっとお願いがあるんですが…」

ツバメ :「ん?この声はどこから聞こえてくるんだ?」

王子の像:「ここです!あなたが止まっている像ですよ。」

ツバメ :「おお!王子様の像でしたか。」

王子の像:「そうです。あの、お願いなんですが、あそこに病気で苦しんでいる男の子が見えるでしょう?あの子に、私のルビーを持って行ってあげてください。」

ツバメ :「わかりました。ルビーを持って行けばいいんですね。」

ツバメは、王子の剣についていたルビーの飾りを取って、病気の男の子のところへ持って行きました。

男の子のお母さんは、ルビーをもらって、

お母さん:「まあ、これで薬が買えるわ!」

と喜びました。

また、次の日、王子はツバメにサファイアを貧しい作曲家(さっきょくか)に届けてくれと頼みました。

ツバメは、王子の目からサファイアを取って、作曲家に届けました。

作曲家:「これで、やっと食べ物が食べられる!」

※作曲家(さっきょくか)…曲、歌を作る仕事の人

 

その後も、王子はお金のない女の子にもう一つのサファイアを届けるようツバメに言いました。

ツバメは、サファイアを取って、女の子に届けました。

女の子:「これで、新しい服が買えるし、お母さんとお父さんにいじめられなくなるわ!」

女の子は喜びました。

しかし、王子は両方の目を失って、何も見えなくなってしまいました。

つづく…

 

 

いかがでしたか。

両方の目をなくしてしまった王子様はこれからどうなるのでしょうか。

つづきは是非part2をご覧くださいね。

 

それではここからはお話の中に出てきた文法のご紹介をしようと思います。

本日ご紹介するのは、「持って行く」と「持って来る」です。

本文の中では、王子様の像がツバメにお願いするところで、このように話していました。

 

王子の像:「あそこに病気で苦しんでいる男の子が見えるでしょう?あの子に、私のルビーを持って行ってあげてください。」

 

さて、「持って行く」と「持って来る」の違いはなんでしょうか。

「持って行く」というのは、あるものを持ってどこか別の場所に移動するという意味です。

「持って来る」は、あるものを持って、話し手の方(こちら)に近づいてくるという意味です。

王子の像は、ツバメに対してあるもの(ルビー)を持って別の場所(男の子のところ)へ移動するようにお願いしたんですね。

ここでは、「持って行く」を使い、「持って来る」は使えません。

なぜなら、ツバメは男の子のところへ行く(王子の像から遠くなる)わけですから、「持って来る」というと不自然になってしまいます。

 

それでは、「持って行く」「持って来る」を使った文を見てみましょう。

「持って行く」の例文

Sample1

A:来月の旅行、お金はいくら持って行く?

B:うーん、ホテルと飛行機のお金はもう払っているから、持って行くのは5万円くらいかな!

 

Sample2

A:今週末、部長のお宅に伺うんですが、何を持って行ったらいいんでしょうか。

B:そうだね。駅前のケーキ屋さんで何か甘いものを買って行ったら?

 

Sample3

A:病院に行くときは、保険証を持って行かないとだめだよ。

B:うん、もう準備したよ

 

Sample4

A:おかえり。あれ?今日傘を持って行ったの?

B:うん、曇りだったから、一応会社に傘を持って行ったんだけど、結局使わなかったな。

 

「持って来る」の例文

Sample1

A:いらっしゃい。よく来たね。え!こんなに大きな荷物、一人で持って来たの?大変だったでしょう。

B:ひさしぶり!ううん、大きいけどそんなに重くないから大丈夫だったよ。

 

Sample2

A:課長、けがの具合は大丈夫ですか。

B:あ、A君。わざわざ病院まで来てくれてありがとう。お土産も持って来てくれたんだね。あとで食べるよ。

 

Sample3

A:先生すみません。宿題を持って来るのを忘れました。

B:またですか。最近多いですね。明日絶対に持って来てくださいね。

 

Sample4

A:明日のキャンプ、テントが一つ足りないの。Bさんテント二つ持っていたよね。悪いけど持って来てくれる?

B:うん、いいよ。

 

例文を見てみるとよくわかりますね。

「持って行く」は話し手や聞き手があるものを持ってどこかに移動する。

「持って来る」は聞き手があるものを持って、話し手の方に近づいてくるイメージですね。

 

いかがでしたか。

本日は「幸福の王子」part1と「持って行く」「持って来る」という二つの文法についてお話しました。

皆さんも新しく学習できたことがあれば、是非覚えて、普段の会話でも使ってみましょう。

それでは、今日はここまで!

また次回のブログでお会いしましょう。