擬音語・擬態語を考えましょう/日本語ラーニングサポートLLC
日々レッスンをしている中で多く躓きの見られる分野として漢字や助詞、敬語などが挙げられますが、意外に上級レベルの方も苦労する言葉のひとつに「擬音語・擬態語」があります。「ワンワン(犬の鳴き声)」や「ザアザア(雨の音)」など、動物の鳴き声や物音、更には感情や様子を伝えるときに使う言葉です。今回はそんな「擬音語・擬態語」について少し考えてみましょう。
目次

「擬音語(ぎおんご)」と「擬態語(ぎたいご)」は名前もよく似ていますが、それぞれ異なるものです。
「擬音語」は生き物の声や物音を、聞こえたままに文字に表しているものです。
先ほど冒頭の文で出てきた「ワンワン」や猫の鳴き声「ニャー」、電車が走っている時の音「ガタゴト」などがこれにあたります。
対して「擬態語」は、人や動物、物事の心の動きや様子を音には関係なく表しているものです。動物の例でいえばウサギがジャンプしながら前に進む様子「ピョンピョン」やちょうちょが飛んでいる様子「ヒラヒラ」がこちらにあたるということになります。これはウサギやちょうちょが「ピョンピョン」とか「ヒラヒラ」と音を出しているわけではないものの、これらの様子をイメージしやすいように説明しているのです。他にも何かを楽しみにする気持ちを表す「ワクワク」、緊張している様子を表す「ドキドキ」などがあります。
例)
・田中「昨日のプレゼン、緊張したね。発表の間ずっとドキドキしてたよ。」
山田「そうだね。新人の藤井くんなんて、緊張で膝がガクガク震えててさ。」
リン「そうそう、ちょっとかわいそうだけど、彼も頑張ったよね。」
・田中「昨日の雨、大丈夫だった?急にザアッと降ってきたから…」
リン「ちょうど帰宅途中で、ビショビショになっちゃった。」
でも、実際擬音語や擬態語を使わなくてもコミュニケーションはとれるのでは…?と思う方もいらっしゃると思います。
確かにこうした言葉を使わずとも基本的な情報を相手に伝えることは可能です。しかし擬音語、擬態語を使うことで、その場面や状況、様子をより具体的かつ正確に伝えることができるのです。
以下の文を見比べてみましょう。
例)a,車の上に石が落ちてきたんです。
b,車の上にコツンと石が落ちてきたんです。
c,車の上にガーンと石が落ちてきたんです。
さて、いかがでしょう?aの文は擬音語・擬態語を使わない文ですが、車に石が落ちてきたという事実はじゅうぶん伝わっていますね。では、それはどんな石でしょう?車は無事だったのでしょうか?
bの「コツン」というのは硬いものが軽く当たるときの音です。このことから、落ちてきたのは小さい石で、恐らく車への被害は少なかったものと思われます。対してcの「ガーン」というのは何かがぶつかるときの非常に大きい音を表しますから、落ちてきたのは大きな石で、車への被害もbより大きかったことが想像できます。
もうひとつ例を見てみましょう。
例)a,先生、3日前から胃がムカムカしているんです。
b,先生、3日前から胃がキリキリしているんです。
c,先生、3日前から胃がズキズキしているんです。
病院での場面ですが、これらはどんな痛みでしょうか?
aの「ムカムカ」はステーキやラーメンなどの油の多いものを食べた時の少し気持ち悪い感覚、「キリキリ」は胃の一部分のみに強い痛みがある状態です。緊張した時や不安があるときの胃の痛みがこれに近いでしょうか。「ズキズキ」は一部または全体で、痛みが波打つように強くなったり弱くなったりする様子です。頭痛や傷の痛みにも使えますよ。
このように、擬音語や擬態語には状況をより正確に伝えるための重要な情報がたっぷり詰まっているわけです。特に病気や事故など出来るだけ正確に状態を伝える必要があるときには非常に有効なコミュニケーションの手段になりますよ。

擬音語、擬態語の役割が分かったところで、次の文を比べてみましょう。
1山に登っていたら、上から石がコロコロ落ちてきた。
2山に登っていたら、上から石がゴロゴロ落ちてきた。
さて、いいかがでしょう?
そもそも登山中に石が落ちてくるだけで十分危ないのですが、みなさまは1の文と2の文、どちらがより危険だと感じましたか?
実はふたつの文を比べてみると、程度の差が見えてきます。
コロコロ:比較的小さくて軽いものが転がる様子
ゴロゴロ:比較的大きくて重いものが転がる様子。また、大きくて重いものがたくさんある様子
こうして並べてみると、どちらがより危険な状態か一目瞭然ですね。
この例のように、濁点をつける(こ→ご、た→だのように点々をつけることです)ことでより程度の大きい、激しい様子を表す場合が多くあります。
例)
・このてんぷら、サクサクしていておいしいね。
コーンフレークを嚙む時のザクザクという音が好きなんだ。
(サクサク:揚げ物など軽い食感のものを食べた時の音/ザクザク:より硬い食感のものを食べた時の音)
・星がキラキラ光っている。
太陽がギラギラ照りつけてくる。
(キラキラ:星や電飾などが光っている様子/ギラギラ:より程度が高く、暑さや激しさを感じるような光り方)
・彼はハンバーグ定食をおいしそうにパクパク食べている。
彼はハンバーグ定食をおいしそうにバクバク食べている。
(パクパク:ものを食べ進める様子/バクバク:より多くのものを勢いよく食べる様子)

ここまで「擬音語」「擬態語」の特徴や使い方について考えてきましたが、少しずつどんなものか見えてきたでしょうか?ここでもうひとつ、見比べてみたい文があります。
①彼は私の部屋のドアをどんどんと何度も叩いてきた。
②新しいPCに買い替えてから、仕事がどんどん進みます。
さて、「どんどん」は擬音語でしょうか、擬態語でしょうか?
①の「どんどん」はドアを強くたたく音そのものですから、音を表す「擬音語」です。
対して②の「どんどん」は仕事がスピーディーに進んでいく様子を表す言葉ですから、「擬態語」であると言えます。
このように、擬音語にも擬態語にもなる言葉もあるんです。例えば先ほどの「サクサク」、これは揚げ物などの少し硬いものを食べる時の軽い音を表す「擬音語」でもありますし、仕事や勉強がテンポよく進む様子を表す「擬音語」にもなります。
ほかにも「ガンガン(何かを強く叩く擬音語/脈打つような痛みを表す擬態語)」や「ゴロゴロ(雷などの低く響く音を表す擬音語/大きくて重いものが転がる様子を表す擬態語)」などこうした言葉はいくつかありますよ。

今回は擬音語、擬態語について簡単にご紹介しました。
それぞれの違いについては、
擬音語:モノや人、動物などが出す音をそのまま表したもの(ワンワン、ドタドタなど)
擬態語:物事の様子や心情、状況をわかりやすく表したもの(ピョンピョン、わくわくなど)
となります。
すべての言葉に当てはまるわけではありませんが、全体的に濁点がつくことでより程度が大きい状態、より激しい状態が表される傾向がある、ということを今回は覚えておいていただければと思います。
擬音語、擬態語については非常に種類が多く、また人それぞれ感じ方というのは違いますから、全てに馴染むことはなかなか難しいかもしれません。しかし擬音語、擬態語を使うことでより生き生きとした日本語の会話ができたり、必要な場面で正確に情報を伝えるのに役立ったりすることもまた事実です。敬遠するのではなく、ご自身の感覚や母国語での言い方との違いも楽しみながら学んでみてくださいね!
ここ数日はやっと暖かく春らしいお天気になってきましたね。
ゴールデンウィークも迫ってきて、心なしか町も活気づいてきているように感じます。
夏のJLPTの申込期間も終わり、ここから本格的に日本語の学習も軌道に乗せていけると良いですね。私たち日本語ラーニングサポートも、合格を目指して頑張る皆さまの力になれるよう日々プロの教師によるレッスンをお届けしております。レッスンのご予約、ご相談は年中無休にて承っておりますので、JLPT対策はもちろん、その他ビジネス・日常会話のスキルアップ等にもぜひご活用ください。
学習のご相談やレッスンのご予約はご予約フォーム(下記またはHP右上の緑色のボタン)またはお電話にて、教師一同皆さまからのお問い合わせを楽しみにお待ちしております。