「なに」と「なん」の違いを考えて、「何」を上手に読みましょう/日本語ラーニングサポートLLC

2024/02/20 ブログ

「何」を上手に読んでみましょう!

レッスンの中で初級から上級の方まで広く間違いが見られるのが、「何」の読み方です。

「なに」と読む時と「なん」と読む時があり、どちらで読めばいいのか迷いやすい部分ですね。今回はこの違いを考えてみましょう。

 

目次

1,「なに」を使ってどんなものかをききましょう

2,「なん」を使って数や量をききましょう

3,まとめと補足


 

1,「なに」を使ってどんなものかをききましょう

 

■昨日の夜ごはんは、何(なに)を食べましたか?

  →「どんな~」ということを聞きたいときには「なに」と読むことが多いです。[what kind of~]とか[which~]にあたるような場合ですね。

 

〇日本の食べ物で、何(なに)がいちばん好きですか? ―てんぷらです。

〇明日のパーティーには何(なに)をもっていけばいいですか? ―好きなお菓子を持ってきてください。

〇次は何(なに)をすればいいですか? ―では、明日の会議の資料作りを手伝ってください。

こんなふうに使います。熟語にしても同じですよ。

 

〇彼は何人(なにじん)ですか? ―アメリカ人ですよ。

〇そのペン、何色(なにいろ)ですか?  ―黒ですよ。使いますか?

〇富士山は何県(なにけん)にありますか?  ―静岡県と山梨県にあります。

 

こんなふうに、「どの国の人?どんな色?」と聞きたいときには単体でも熟語でも「なに」と読むことが多いです。

 

さて、ここで今ご紹介した熟語について、もう少し考えてみましょう。例に出てきた「何人」や「何色」、「何県」ですが、「なにじん」「なにいろ」「なにけん」以外の読み方もできますね。「なんにん」「なんしょく」「なんけん」です。


 

2,「なん」を使って数や量をききましょう

 

■明日の会議には、何人(なんにん)来ますか? ―8人の予定です。

  →数量をききたいときには「なん」の読み方をすることが多いですよ。助数詞にくっついていれば基本的に「なん」と読む、という理解で良いと思います。

先ほどの例も見てみましょう。

〇このメガネ、色の種類は何色(なんしょく)ありますか?  ―黒と青、それから赤の3色です。

〇「山」のつく名前の県は何県(なんけん)ありますか?  ―6県ありますよ。

 

ほかにも助数詞をつけて話してみましょう!

〇いま何時(なんじ)何分(なんぷん)ですか?

〇先月は何回(なんかい)映画を観ましたか?

〇日本語の本を何冊(なんさつ)持っていますか?

  ―みなさんはどうでしょうか。教科書でも小説でも、漫画でもいいです、たくさん読んで日本語のスキルアップにつなげていきましょう。

 

さらにもうひとつ、大事なポイントがあります。

 

■これは何(なん)ですか?  ―これは「やきとり」です。おいしいですよ。

  →上の文は先ほどと違って数量をきく場面ではありませんね。[What’s this?] 、つまり「これはどのようなもの?」と聞いています。ではどうして「なん」が使われているのでしょうか。実は、後に続く音にもヒントがあります。

 

後ろに続く音が[t]、[d]、[n]、つまり「た・ち・つ・て・と」「だ・ぢ・づ・で・ど」と「な・に・ぬ・ね・の」の音のときには、基本的に「なん」という読み方になります

 

〇”stapler”は日本語で何(なん)と言いますか?  ―「ホッチキス」といいます。

  →上の文は、「staplerを日本語で“どのように”言うか」を聞いている文です。先ほどの「なに」を使った文と同じですね。では、どうして「なに」ではなく「なん」と読むのかというと、この「後ろの音」にポイントがあるわけですね。「何」の後に「と」、つまり[t]の音が来ているために、「なん」という読み方になるのです。実際に口に出してみると、

・「なにといいますか?」

・「なんといいますか?」

確かに「なん」を使ったほうが言いやすく、滑らかに発話できる気がしませんか?

 

会話文で練習してみましょう。

 

田中「趣味は何(なん)ですか? 」

 ―マリア「読書です。よく小説を読みます。」

田中「何(なん)の小説を読むんですか?」

 ―マリア「ミステリー小説が多いです。今読んでいる本も有名なミステリー小説ですよ。」

田中「へえ、何(なん)というタイトルですか?」

 ―マリア「東野圭吾の『白夜行』という作品です。おもしろいですよ。」

 

田中くんの言葉に注目すると、「なんで[de]」「なんの[no]」「なんと[to]」、それぞれ後ろに[d] [t] [n] の音が来ていますね。「これは何(なん)だろう?」「それ、何(なん)に使うの?」など、いろいろな場面でこのルールが使われていますよ。


 

3,まとめと補足

 

ここまで「なに/なん」の大まかな使い分けをご紹介してきました。まとめてみると、

☆どのようなものかを聞きたいとき…「なに」

 いくつあるかを聞きたいとき/後ろの音が[t] [d] [n]のとき…「なん」

大まかにこんなふうに分けられるかと思います。

 

ただし、そうはいっても生きた言葉ですから、必ずルール通りに使われているとも限らないものです。

例えば、「何(なん)で東京に行くんですか」という質問を考えてみましょう。

実はこの文、2通りの意味が考えられます。

「どうして東京に行くのか」という理由を聞いている場合と、「電車か、車か」といった手段を聞いている場合です。ルール上はどちらも「なんで東京に行くんですか」の言い方が正しいわけですが、やはりどちらを聞かれているのか紛らわしいのも事実です。ですから私たちは普段慣用的に、

理由を聞く時:「なんで東京に行くんですか」

手段を聞く時:「なにで東京に行くんですか」

のように言い分けることがあります。文法的に正しいかどうかと同じくらい、日常生活の中では「言いやすいか、伝わりやすいか」というのも大事にされるのですね。

 

また、「何(なに)か飲むものを買ってきてください」という文、カジュアルな友だち同士の会話では「なんか飲むもの買ってきて!」のように「なん」に変化することがあります。「なん」は「なに」の砕けた形としても使われることがあるのです。


 

このように様々な使い方がある「なに」/「なん」、日本語を長く学んでいる方でも間違えてしまうことがある使い分けです。特にどちらで読んでも良い場合やカジュアルな読み方としての「なん」、例外的な使い方もあり、少し紛らわしく感じるかもしれませんね。慣れるまでは大変だと思いますが、周りの人たちの発音をよく聞いて、例文をたくさん声に出して練習しながら少しずつ自然な使い分けを身につけていきましょう!


 

まだ2月も半ば過ぎですが、季節外れの暖かさに不安定なお天気と既に春のようですね。3月には「寒の戻り」といってまた寒くなる時期がありますから、体調にはじゅうぶんに気をつけて過ごしたいものですね。またその後には4月からの新生活を控えている方も多いことと思います。丁寧な日本語の会話を学びたい、仕事のためにJLPTに合格したい、プレゼンや発表の技術を磨きたい…。そんな方はぜひ私たち日本語ラーニングサポートの個別レッスンをご活用ください。マンツーマンのレッスンで、お一人おひとりに合った日本語のレッスンをお届けします。学習のご相談やレッスンのご予約はご予約フォーム(下記またはHP右上の緑色のボタン)またはお電話にて、教師一同皆さまからのお問い合わせを楽しみにお待ちしております。