「に」と「で」の違いを考えましょう / 日本語ラーニングサポートLLC
「に」と「で」の違いを考えましょう。
助詞一つで文の意味が変わるのが日本語の難しいところですし、また面白いところでもありますね。
「に」と「で」を間違えてしまった、という失敗は日本語を勉強するどなたもお持ちの経験ではないでしょうか。
本日のブログ記事ではこの二つの助詞を整理してみましょう。
〈目次〉
「に」「で」の使い分けで失敗する可能性があるのは、[場所]について話すときだけです。
例A「に」:学校に、・・・
例B「で」:学校で、・・・
どちらも正しい日本語の文が話せそうです。違いは文末の動詞部分に見つけられます。
上の二つの文例を完成させてみましょう。
→例A:学校に行く。
→例B:学校で勉強する。
助詞は文の中の直前の言葉にくっつきます。
ですから、「学校に」と「学校で」が一つの言葉のブロックです。
しかし、「に」と「で」を選択した時にはすでに、その後に話すこと(文末)が決まっていなければなりません。
結論から、以下のように整理します。
■「に」は、場所をポイントする。指し示す。
■「で」は、場所を[何かをするステージ]として話すために使う。
このように「に」と「で」を区別することができるのです。
例文を上げますので、「に」と「で」のそれぞれのフィーリングをしっかりと感じましょう。そして、覚えましょう。
■場所をポイントする「に」の例文
例:会社に カバンを忘れてしまった。
例:ジムに 毎日通っています。
例:公園に 大きなジャングルジムがある。
例:うちに いるときは仕事の事を忘れたい。
例:日本に ずっと住むつもりです。
■ステージとしての場所について話す「で」の例文
例:会社で ミーティングがあります。
例:ジムで ウェイトトレーニングを頑張っています。
例:公園で ドラマの撮影があったみたいですよ。
例:うちで 家族と晩ごはんを食べる時間が好きだ。
例:日本で 仕事をしています。
「で」を使った文例では、すべて何かの行動(アクティビティ)を行う場所が示されていますね。
それに対して「に」を使った例文ではポイント(/スポット)として場所の情報が示されていることを確認していただけたと思います。
確かに「に」も「で」も場所の言葉とセットになる間違えやすい助詞です。しかし、上のポイントをしっかりと覚えて日本語を話せば間違いのない綺麗な日本語が話せるに違いありません。
美しい日本語には美しい助詞のテクニックが欠かせません。
ぺらぺらの日本語上手を目指して頑張りましょう!
場所だけではありません。
助詞の「に」をたくさんのケースに使うことが出来ますね。
以下に思いつくままに用例を挙げます。
■時/時間+に
例:5時に帰ります。
例:水曜日に会いましょう。
例:一週間に2回、ジムへ行きます。
例:2年後に結婚するつもりなんだ。
※情報として「時/時間」をポイントしています。
■人+に
例:彼に会うのは久しぶりだ。
例:先生に質問しよう。
例:部長に呼ばれた。
例:大好きな有名人にサインをもらったんだ。
※情報として「人」をポイントしています。
■行動の目的+に
例:彼に会いに東京へ来た。
例:アイスを買いにコンビニまで行ってくるよ。
例:映画を見に行きたい。
例:ドライブに行こう!明日晴れたら、ね。
※情報として「行動の目的」をポイントしています。
■変化の先+に
例:夜は雨になるそうだ。
例:こんなに忙しいと、病気になるよ。
例:早く元気になって!
例:もうすぐ桜の季節になる。
※情報として「変化の先」をポイントしています。
■位置+に
例:机の上に色々なものが散らばっている。
例:アイデアは頭の中にきちんと収まっている。
例:うちの隣にコンビニができた。
例:頬に十字の傷がある。
※情報として「位置」をポイントしています。
■方向+に
例:右に曲がってください。
例:北北西に進め!
例:あっちの方に富士山が見えるよ。
例:駅の方に行けば色々お店があるから、散歩してみようね。
※情報として「方向」をポイントしています。
場所だけではありません。
助詞の「で」をたくさんのケースに使うことが出来ますね。
以下に思いつくままに用例を挙げます。
■道具+で
例:黒のボールペンで書いてください。
例:箸で豆腐を食べるのは難しいね。
例:スマホ一つでかなり色々なことが出来るようになったね。
例:ホッチキスでとめて完成!
※情報として「道具」を使うことを話していますね。
■方法+で
例:Google Meetで会いましょう。
例:バーコード決済で払えます。
例:努力で、大体どのような課題も解決する。
例:演繹法じゃないんだ。帰納法で考えることが正しい知識を作る。
※情報として「方法」を選び用いることを話していますね。
■材料+で
例:ワラとイグサで畳が作られる。
例:木で建てた家は本当に良い匂い!
例:お米で作ったパンなんだって!これ。
例:二月の札幌には雪と氷で作られた彫像が町を賑やかに飾る。
※情報として「材料」について教えていますね。
■◯◯語/〜言葉+で
例:日本語で上手に会話してほしい。
例:「こんにちは」は、スペイン語で「hola(オラ)」です。
例:怒っていることを、若い人の言葉で「激オコ」と言います。
例:「ヤマ」とは、警察の言葉で「事件」の意味だそうですよ。
※情報として「◯◯語/〜言葉」を使用した場合であることを表していますね。
■乗り物+で
例:電車で行きましょう。
例:馬でパトロールする警察官の姿を今でも見ることが出来る。
例:浅草に来たら、人力車で町を巡ろう!
例:徒歩で(=歩いて)日本を一周するのが夢なんです。
※情報として「乗り物」を利用して移動することを話していますね。
■コンディション+で
例:万全の体調で試験を受けられるように、前日の晩はよく寝ましょう。
例:このアングルでボールを蹴れば、確実にゴールを決められるはずだ!
例:10℃以下で保存してください。
例:このままで問題ないと思います。今回のレポートはよく書けましたね。
※情報として「コンディション」が設定されていることを伝えていますね。
以上、一例としてよく話される形の日本語の文例をピックアップして挙げてみました。
皆様の日本語の勉強の参考にご覧いただければ幸いです。
本日のブログ記事では助詞「に」と「で」について、①場所の言葉と一緒に話す時に間違いを防ぐための方法を中心に、その他②それぞれの用例を眺めてみました。
勉強が進み、ネイティブに近くなればなるほど言葉の整理には複雑なルールを知らなければならないケースが多くなります。
「に」と「で」等の助詞はもちろんのこと、全ての日本語の文のパターンに同様です。
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