「ないで」/「なくて」の違いを考えて否定形を使ってみましょう/日本語ラーニングサポートLLC

2024/02/05 ブログ

否定形を正しく使って話しましょう。

「~なくて」、「~ないで」というのはどちらも「否定形(ない形)+て形」の形ですね。どちらも会話の中でもよく使われています。

ではどんな時に、どちらの形を使えばよいのでしょうか?

1、手段を言いたいとき

2、状況を言いたいとき

3、理由を言いたいとき

今回は以上の3つの場面を見ながら、使い分けを考えてみましょう。

 

1、手段を言いたいとき

→私たちが何か行動をするときに、「何を使うか」「どのように行うか」ということを「手段」と言います。例えば皆さんは相手と連絡を取るとき、どうしますか?スマートフォンで電話やチャットをしたり、手紙を送ったりしますね。会社に行くときは、電車や車を使ったり、歩いたりします。この「スマートフォンや手紙」「電車や車」「歩くこと」が相手と連絡を取ったり会社へ行ったりする際の「手段」になります。

 

■今日は電車に乗らないで、歩いて会社へ行きます。

 

 →手段を言いたいときには、「ないで」の形を使います。上記の例では「乗って」→「乗らないで」となります。「電車に乗らなくて、歩いて…」とは言いませんよ。

例)

・リン「最近、翻訳サービスを使わないで日本語のメールが読めるようになったんです。」

 山田「すごいね!勉強頑張っていたもんね。」

 

・田中「最近料理を始めたらしいね。」

 山田「簡単なものだけだよ。包丁も火も使わないで作れる料理もたくさんあるんだ。」


 

2、状態を言いたいとき

  →私たちが何かしらの行動をするとき、どのような状態でそれを行うか、という視点を持ってみましょう。例えばドライブをするとき、音楽をかける人/かけない人。ちゃんとシートベルトをする人/しない人(ダメですよ)。道を渡るときに手を上げる人/あげない人…。一つの行動をとっても、その行動にくっついている状態というのは細かく枝分かれしているわけです。こういう状態を言いたいとき、て形を使うことができます。つまり、「音楽をかけてドライブをします」「手を上げて道を渡ります」ということができるわけです。

 

■砂糖もミルクも入れないで、コーヒーを飲みます。

 

→このようにある動作をするときの状態を言いたいときには、「ないで」を使います。上記の文では「入れて」→「入れないで」の変化です。「ミルクを入れなくてコーヒーを飲みます」とは言いません。私はまだミルクを入れて飲むことが多いですが、いつかはブラックでかっこよく飲めるようになりたいものです。

例)

・リン「田中さん、いつも一人でご飯食べるの、寂しくないの?」

 田中「うん、動画を見たり人と話したりしないで、ご飯の味に集中して食べるのが好きなんだ。」

 

・田中「山田くん夫婦は仲がいいよね。」

 ―山田「いや、この前ちょっと喧嘩したよ。僕は暗くて静かな部屋で寝たいのに…」

  奥さん「私は真っ暗な部屋が苦手だから、テレビを消さないで寝たいの。」

 

ここまで「ないで」を使う言い方を見てきましたが、次は「なくて」を使う場面も見てみましょう。


 

3、理由を言いたいとき

  →「~ですから」と原因や理由を言いたいときには「て形」を使って言うこともできます。例えば、「寒かったから風邪をひきました」というのは「寒くて風邪をひきました」のように言うことができるわけです。

 

■家族に会えなくて、寂しいです。

 

→原因や理由を言いたいときには、「なくて」の形を使います。上記の文では「会えて」→「会えなくて」の形です。「会えないで寂しいです」とは言いません。また、この文では「無意志表現」のみ使うことができます。(「無意志」とは自分の気持ちでコントロールできない動作や状態のことを指します。詳しくはこちらも参考にしてみてくださいね「ために」/「ように」、どちらを使うでしょう? (nihongojikan.jp)

例)

・去年の夏は雨が降らなくて、野菜が育たず値上げが目立った。

 

・山田「昨日の出張はどうだった?」

 田中「道が分からなくて困ったよ。なんとか時間には間に合ったけど。」

 

・田中「先週フルマラソンの大会にでたんだって?すごいね。」

 リン「はい、でも完走できなくて残念でした。来年またがんばります!」


 

さて、今回は「なくて」「ないで」という「ない+て形」の使い方を考えてきました。どちらも多く使われているので、場面をしっかり分けていないと混乱しやすい部分ですね。今回は「手段」「状態」「理由」の3つの場面を中心に見てきましたが、例えば物事を並べて言いたいとき、つまり「田中くんは褒められていない/山田くんは褒められた」のような文を作りたいときには「田中くんは褒められなくて(/ないで)、山田くんは褒められた」のようにどちらも使える、というケースも見られます。なかなか毎回の会話で使い分けを思い出して話すことも大変だと思いますが、周りの日本人がどのように使っているか、自然な使われ方を意識して聞いてみることが一つの近道かと思います。様々な場面でくり返し聞いてたくさん使ってみながら、少しずつ慣れていけば良いと思いますよ。紛らわしい部分ですが、自然な言い方をじっくり身につけていきましょう!


 

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