「気がつく」「気をつける」、「気」を使って話してみましょう/日本語ラーニングサポートLLC

2024/01/25 ブログ

「気」という言葉を使って話してみましょう。

気持ちや意識というのは私たちの生活のなかでの感情の動きや判断と切っても切り離せないもの、それだけに様々な言葉が作られています。

例えば表題の言葉、「気がつく」と「気をつける」は見た目がとても似ていますが、それぞれどんな時に使えばよいのでしょうか?

気持ちや意識がどのように動いているのか、「気」にくっつく動詞に注目して考えてみてください。

後半では日常でよく使われる言葉を中心に、いろいろな「気」のつく言葉をご紹介しますので、ぜひ場面をイメージしながら読んでみてくださいね。

 

①「気がつく」

→何かを考え付いたり、アイディアが頭に浮かんだりする状態を表します。また、細かい部分に注意が行き届いている、という意味で使われることもあります。

 例)

・田中「今日は残業?」

 山田「うん。さっき資料を見直していたらミスに気がついて、急いで修正しているところだよ。」

 

・山田「プリンターのインクがそろそろなくなりそうなので、注文しておきますね。」

 上司「ありがとう。山田くんは本当によく気がつく人だよね。」

  →前述の「細かいところに注意が向く」という意味で使われている例ですね。

 

気がつくと、私は病院のベッドに横たわっていて、家族や友人が心配そうにこちらを見ていた。

 →ちょっと特殊な状況ではありますが、「意識が戻る」という場面で使われることもあります。使わないに越したことはありませんが、小説やドラマではありがちなシチュエーションですね。

 

②「気をつける」

→ミスをしたり、悪いことが起きたりしないように注意することです。常に何かを心に留めて意識する、アンテナを張っておくというイメージが近いでしょうか。

 例)

・山田「川本さん、資料のデータの日付が間違っていたよ。」

 川本「すみません。今後気をつけます。」

 

・山田「今度、伊豆の天城っていうところにドライブに行くんだ。」

 田中「あそこはよく動物が飛び出してくるから、気をつけて。」


 

③「気にする」

→何かを心配したり、自分や他の人・ものの状況を心に留めている状態を表します。

 例)

・リン「鈴木さんって、おしゃれですよね。」

 川本「そうだね、でも仕事中もずっと髪形を気にしていて作業が進まないから困っちゃうよ。」

 

・山田「この間の資格試験、ダメだったよ。結構頑張ったんだけどなあ。」

 田中「気にするなって。次回は絶対に受かるよ。」

 

・田中「一昨日はせっかく飲み会に誘ってもらったのに、行けなくてすみませんでした。」

 先輩「ううん、気にしないで。それより、風邪は大丈夫?」

  →相手から謝罪を受けた時や、自分のことで心配をかけている時はこんなふうに言ってみましょう。


 

④「気になる」

  →ある物事が心に引っかかっていて不安になったり、考えないようにしていても思い出してしまうような状態を指します。先ほどの「気にする」と比べてみましょう。

気に「する」…自分が主体となって、そうしようと思ってすること

気に「なる」…自分の意思ではコントロールできず、無意識にそうなってしまう状態

こんな違いがあります。「気にする」が(そうしたいかは別として)自分の意思で行っていることなのに対し、「気になる」は自分の意思に関係なく不安などが頭に浮かんでしまう、という事になります。

 例)

・奥さん「どうしたの?」

 山田 「明日のプレゼンのことが気になって眠れないんだ。」

 →「心に引っかかっている」というイメージで、「気がかり」という言葉も同じように使うことができますよ。

 

・山田「山本さん、最近お休みが多いね。大丈夫かな…」

 田中「うん、仕事でミスが多いのも気になるんだよな。今度ゆっくり話してみようかな。」

 

・友だち「最近、向かいの席の子のことが気になるんだ。そんなに話したこともないのに…」

 高橋 「それは恋だよ、恋!応援するよ。」

  →ネガティブな事だけでなく、こんな素敵な使い方もありますよ。無意識にその人のことを考えたり目で追ったりしてしまう、という感じでしょうか。その他にも「最近あの店のバッグが気になっているんだ。」といえば、買うかどうかはわからないけれど、度々そのバッグを思い出してしまう、無意識にいつも情報などをチェックしてしまう、というような状態です。心当たりのある方も多いのではないでしょうか?


 

☆この他にも「気」を使った言い方はたくさんありますよ。ごく一部ですが、日常生活の中でよく聞くものをご紹介します。

「気のせい」:実際はそうではないのに、そうであると感じてしまう、思い過してしまう状態のことです。気持ちのせいでそう感じている、ということです。

       例)山田「あれ、誰か来た?お客さんかな。」

         奥さん「ううん、誰もいないよ。気のせいじゃない?」

「気が向く」:気持ちがそちらへ向く、という字の通り、何かをやってみようという気持ちになることです。

       例)普段は疲れるからあまりやらないけれど、気が向いた時にはジョギングをすることもあります。

「気を遣う」:他の人や物に対して、迷惑にならないように配慮したり大切に扱ったりすることです。

       例)あの先輩、悪い人じゃないんだけど、いつもあまり笑わないから一緒にいると気を遣うんだよなあ。

「気の置けない」:お互いに遠慮したり、気を使ったりする必要がない、という意味です。

       例)彼は小学校の時からの幼馴染で、数少ない気の置けない友だちなんです。


 

さて、今回は気持ちの「気」を使った言葉をたくさんご紹介してきました。それぞれの言葉に、気持ちがどのように動いているかイメージができたでしょうか?冒頭にもお話した通り、日々の生活の中で私たちの意識や気持ちは常に変化をしているものですし、その変化や状態を表す言葉はまだまだたくさんあります。その時々で、自分の気持ちがどのように動いているのか、ぜひふとした時に考えてみてくださいね。



 

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