「~について」「~に対して」は何が違うでしょう?
「~について」と「~に対して」の違いを考えましょう。
基本的なポイントは以下のようになります。
☆「~について」はこれから話す内容を表します。
☆「~に対して」は動作や関心の向かう先を表します。
それでは、以下の文にはそれぞれどんな言葉を入れれば自然な文になるでしょうか?
日本の少子化問題について、 。
日本の少子化問題に対して、 。
■少子化問題について、若い世代の人と話し合うイベントが開催されます。
→「~について…する」の形で、これから話すことや発表すること、または相談、質問などの内容を詳しく言うことができます。上の文であれば、「話し合う」という行為の内容が「少子化問題」であることがわかります。
例)
・今日は過去5年間の売り上げの推移についてお話します。
・川田「明日の面接について少しご相談があるんですが…」
先生「はい、なんですか?」
・ご購入いただいた商品につきましては、明日到着予定です。
→ビジネスシーンなどでより丁寧に言うときは、「~につきましては」という形で使います。
・この商品についてのお問い合わせは、080-xxxx-xxxxまでお電話ください。
→「~についてのN」の形で、名詞につなげることもできますよ。
☆「~に関して」も同じように使うことができます。
こちらの方が少し硬い印象を与えるので、ビジネスメールなどではよく使われますよ。
例)
・来週のA社との合同会議に関して、午後に打ち合わせをしましょう。
・今回の調査結果に関しては、この資料にまとめてあります。
・『環境問題に関する報告書』2ページをご覧ください。
→こちらも「~に関するN」の形で使うことができます。
〈プラスα〉
似た文型に、「~をめぐって」という言い方もあります。日本語のニュースを見る方は目にする機会が多いかもしれませんね。「国会では予算をめぐって議論が続いています。」のように使いますが、こちらも「議論」の内容(この場合は予算ですね)を話すことができます。ただし、「~について/関して」と異なり、必ず「議論や争い」のニュアンスが入ります。「戦う、争う、取り合う、議論する、討論する」などの動詞が使われることが多いです。
例)
・保育園新設の是非をめぐって、近所の住民の間で意見が割れている。
*是非(ぜひ):いいか悪いか、賛成か反対かということ
・この優勝トロフィーをめぐって、全世界の合計40チームが激突します!
*激突(げきとつ):元々はぶつかるという意味ですが、この場合は戦う、マッチアップするという意味で使います。
・この地域では水をめぐって30年前から紛争が続いている。
余裕があれば覚えてみましょう!
■少子化問題に対して、大学無償化などの政策が検討されています。
→「~に対して…する」という形で、「…する」という動作の対象について言います。また、「~に対して…がある」のように使うと効果や興味の対象を言うこともできます。上の文、「政策」を何に向けて行うか、その対象は「少子化問題」だというふうに考えられます。
例)
・上司に対しては敬語を使うべきだ。
→「敬語を使う」という動作の向かう先は「上司」ですね。
・この風邪薬は、特に咳の症状に対して効果があります。
・(サッカー実況にて)
あっ、今、相手の選手に対する反則行為がありました。イエローカードです。
・(×)兄は妹に対して叩いて泣かせてしまった。
→相手や対象物に直接何かの行為をするときや物理的に影響を与えるような言葉には、「対して」は基本的に使えません。「この絵に(×対して)」触らないでください」「ここに(×対して)車を止めないでください」のように、「対して」を入れずに話します。
☆また、助詞「を」とくっつく言葉にも基本的に使えません。「ほめる/叱る」「食べる」「殴る」など、「部下に対して褒めた」「この魚に対して生で食べるの?」というふうには言えないわけです。こんな時には、「部下をほめた」「この魚を生で食べるの?」のように「を」を使って言いましょう。
ただし、例えばサッカーでは「ボールを蹴ります」と言いますが、解説のシーンでは「このボールに対して斜め右から45度の角度で足を入れて蹴って…」のように言うこともあります。「蹴る」などの動作自体よりも、そこまでの過程やアプローチに重きを置いて話す場合は、このように「対して」を使うこともあるのですね。
さて、今回は「~について」と「~に対して」の違いを中心に、似た文法もいくつかご紹介してきました。内容を言う「~について」、対象を言う「~に対して」それぞれの使い方の違いはつかめたでしょうか?「リンさんはゴッホの絵について興味を持っています/リンさんはゴッホの絵に対して興味を持っています」のようにどちらを使っても良い場合もあるので迷ってしまいやすいところですが、まずはそれぞれの文法の考え方を頭に入れたうえで、周りの人たちがどんな時にどちらの言い方を使っているのか、よく聞いてみてください。
また、今回はご紹介していませんが、カジュアルの場面で「~について/~に対して」と言いたいときにはどんな言葉を使うでしょうか?ぜひ周りの日本人の方と話しながら、考えてみてくださいね。
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