遠慮します、控えます、それぞれの使い方を考えてみましょう / 日本語ラーニングサポートLLC

2023/12/24 ブログ

遠慮します、控えます、それぞれの使い方を考えてみましょう

 

まずは例文をご覧ください。

「遠慮します」

例:すみません、今日の飲み会は遠慮します

↑飲み会に行きません。帰りたい、ということですね。

「控えます」

例:すみません、今日からお酒を控えます

↑何かのトラブルがあったようです。お酒を飲まないようにする、ということですね。

上の例文を並べてみましょう↓

すみません、今日の飲み会は遠慮します

すみません、今日からお酒を控えます

「すみません。・・・ます。」このようによく似たパターンで使われています。

 

「遠慮します」も「控えます」も、どちらも【何かをしない】ということがポイントですから、意味にも似ている部分があるようです。

 

では、二つの例文でそれぞれ「遠慮します」と「控えます」を入れ替えてみましょう。↓どうでしょうか?

①遠慮します、の例文

[◯]すみません、今日の飲み会は遠慮します

[?]すみません、今日の飲み会は控えます

②控えます、の例文

[◯]すみません、今日からお酒を控えます

[?]すみません、今日からお酒を遠慮します

どの文も言いたいこと(意味)は分かると思います。

[?]の文は、しかし、、不自然な日本語に聞こえます。

上のように二つの言葉には違いが見つけられるようです。

 

 

 

1,遠慮します

「したいようにしない」という意味です。理由は「誰かのことを考えるやさしさ」です。

例文を挙げます。

■(これ、食べる?→)すみません。お腹がいっぱいですので遠慮します

■(カラオケ来たのに歌わないの?→)すみません。苦手なので遠慮します

■(会議で言いたいことがあったんじゃないの?→)今日は遠慮しました

どの文を見ても「・・・しません」というメッセージを伝えていますね。

A:せっかくカラオケに来たんだよ、一曲くらい歌ってよ!

B:うーん、すみません。どうしても苦手なので遠慮します

([✘]ごめん、嫌だから歌わないよ。)

[✘]の例文のように、自分の行動と気持ちをそのまま単語にして話したら、Aさんはびっくりしてしまいます。ショックで怒ってしまうかもしれません。

日本語の言葉はそれくらいに’強い’話し方であることをいつも忘れずに覚えておきましょう。

ハッキリ言わなければ気持ちは伝わりません。しかし、単語を選びましょう。

「遠慮します」は文字の通り、自分が遠くに下がって何もしないこと

色々と考えて「やめます」=「・・・遠慮します」と話せば、その文型だけで相手はあなたの優しさがよく分かると思います。

 

①遠慮させてください

このパターンの話し方はさらに丁寧に断るフレーズです。

A:ケーキ買ってきたんだ、食べてくださいね!

B:すみません。もうお腹がいっぱいですので(今日は)遠慮させてください

上の文を例に考えます。Bさんの話し方によってこんなに印象が違うのですね。

[✘]え、ケーキなんて食べないよ!・・[!]けんかになりそうです。

[◯]すみません、遠慮します。・・やさしい話し方です。しかし、Aさんは一方的に断られるわけですからBとのフレンドシップに壁を感じるかもしれません。自分の意思をはっきりと伝えることでAさんは「さびしい」と思うかもしれませんね。

[◎]すみません。今日は遠慮させてください。・・Aさん、ごめんね。「ケーキをすすめてくれてありがとう、でも食べられないんだ・・。」このように話したら最高に優しいと思います。

 

②ご遠慮ください

このパターンの文をポスターで目にしたり、アナウンスで耳にすることがあると思います。

これは注意する文型です。

■(電車内で)通話はご遠慮ください

■(店の中で)おタバコはご遠慮ください

■(図書館で)お食事はご遠慮ください

※全て「禁止」のメッセージを伝えています。

このように「ご遠慮ください」のパターンを使うことで、ホストから利用者へのマナーある注意を送っているのですね。

あなたも会社や仕事上の機会でお客様へご注意をしなければならないときには「・・・はご遠慮ください」のフレーズを是非使ってみましょう。

一つ上のムードを良い日本語が作ってくれることでしょう。

「お客様、恐れ入りますがお写真はご遠慮ください」

↑このように話すことが出来たらホストらしく大変丁寧ですね。

 

 

2,控えます

「やめる」、もしくは「ほとんどしない」ということです。理由は「何かをすることに問題がある」からです。

例を挙げます。

■(食生活を変えないと病気が治りませんよ→)すみません。ラーメンもチョコレートも控えます

■(今月はお酒の飲みすぎですよ!→)すみません。明日から控えます

■(ギャンブルで10万円も使ったの!?→)すみません。しばらく控えます

■(買い物多すぎるんじゃない!?→)すみません。これから控えます

どうしても叱られている(強く注意を受けている)シーンが’ぴったり’イメージしやすいようです。

何かをすることに問題がある。(きびしい)マナーを守って生活する。

※例えば空手や柔道などで姿勢を正して礼をするように、、、

「悪いもの」「やめたほうが良いもの」に手を出さないこと、このようにイメージするとぴったりとした形で理解ができるのではないかと思います。

 

①控えさせていただきます / 控えさせていただいております

ホストとしてお客様へ話すシーンでの’文パターン’でしょうか。

何かを「自分で(マナー良く)やめている」というニュアンスです。

「何かをしないこと」を伝えるメッセージです。

■(カラオケで)終了時間のご連絡は控えさせていただいております。・・・自動延長システムですね。気をつけましょう。

■(店先で)夜11時以降の営業は控えさせていただきます。・・・お店のオープンは23:00まで、コロナ禍の時代によく見られたフレーズです。

■(ショップで)店員からのご案内は控えさせていただいております。・・・ショッピングしていてもセールス・トークを持ち込まれることはありません。リラックスできるような気もしますし、寂しい気もします。

 

②お控えください

「禁止」のメッセージです。かなりハッキリと言う「やめてください」のフレーズですね。

■病院内での大声の会話はお控えください

〈参考〉病院内での大声の会話は迷惑ですので「やめてください」・・・これでは苦情の言葉になってしまいます

利用者はお客様ですから、やはりホストとしては「(禁止する何か)は、お控えください」このようにメッセージを伝えましょう。

 

正しくマナーに沿って禁止を伝えればお客様にとって「ルールを確認する、理解する」ことになります。

■(電車内で、)通話はお控えください

↑お客が「自分自身のマナーの選択の結果として通話をしないこと」をリクエストしている。上の「遠慮」の言葉としても登場しましたが、この場合どちらでもおおむね同じ内容と考えて良いようです。ただし「マナーを守ろう!」というニュアンスがよく伝わるでしょうか。つまり姿勢を正すような丁寧さを感じることができるのですね

■(ホステル等で)バスルームおよびランドリールームの深夜のご利用はお控えください。・・・夜遅い時間での大きな音は禁止のようです。

■(ロビーで)パソコンの長時間(◯分以上)のご利用はお控えください。・・・たくさんの人で使うものですから、「使用者が自分でマナーを守るように」お願いの形で禁止しているのですね。

 

少しきびしい感じを受けますが、ホストからの注意が「お願いするムード」のメッセージとしてお客様方に伝わると思います。

 

ちなみに、病院に行ってお医者からの注意を受ける際には、

[◯]お酒とタバコは、控えてください

[?]お酒とタバコは、遠慮してください。←誰かのための優しさで仕方なく遠慮するものではありませんね。

このように「悪いもの」から手を引く、自分をルールして正しく抑えることの話し方には「控えてください(ひかえます)」を使うことになります。

 

③控えています

こちらは「静かに待っている」の意味としても使えます

※「遠慮します」との違いとして例を挙げます。

■ステージの裏には多くのキャストが控えている

■社長の後ろにはいつもあの美人の秘書が控えているんだ。

〈参考〉舞台に立つ人たちの準備のための部屋がバックヤードにありますが「控室(ひかえしつ)」と言いますね。

人だけでなく、予定にも使われます。

■来年はパリで五輪の開催が控えている

■明日は大事な会議が控えている

上のように使いましょう。

 

 

本日は「遠慮します」と「控えます」の二つの言葉について簡単に整理してみました。

以下の問題文の(  )に適切な言葉をどちらか選んで入れて文を完成させましょう。※動詞としての形は文に合わせて作ってくださいね!

①明日の朝も仕事で早いので、今晩の居酒屋は(   )ください。

②先生、すみません。今度こそお酒は(   )ますので・・・。

③自分が歌うのは(   )ますが、カラオケルームで皆さんと話す時間は好きなんですよ。

④すみません。明日は大事なプレゼンテーションが(   )ていますので、今日は帰ります。

いかがでしたか?

正解は記事の最後に用意しましたので確認してみてくださいね。

 

 

 

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【問題の答え】

①遠慮させて

②控え

③遠慮し

④控え