ねことねずみというお話を読みましょう!日本語読み物シリーズであなたの日本語もレベルアップ!

2023/11/22 ブログ

日本昔話を読みましょう!

日本語を学習していて文法がなかなか覚えられないな…、助詞が難しいな…と感じたことはありますか。

そんなときは、私たちJLSの日本語読み物を読んで楽しく日本語を整えましょう!

新しい日本語の発見が待っていますよ!

また、お話の中で出てきた日本語の解説も下に書いてありますので、読んでみてくださいね。

 

 

「ねことねずみ」

あるところに、親切なおじいさんとおばあさんが住んでいました。

ある雨の日、おじいさんが山で野菜をとっていると、一匹の子ねこをみつけました。

おじいさん:「こんな雨の日にどうしたんだい?寒いじゃろう。よしよし、家へ連れて帰って温かいものでも食べさせてあげよう」

そう言って、子ねこを家へ連れて帰りました。

おばあさん:「あら、かわいい子ねこですこと。」

おじいさん:「何か食べさせてやろう。」

おじいさんとおばあさんは、子ねこに温かいご飯とベッドを用意して、それはそれは大事に育てました。

 

ある日のこと、おじいさんが納屋(なや)へ行くと、

♪磨けや、磨け。ねずみのお宝~♪

床の小さな穴から、こんな歌が聞こえてきました。

おじいさん:「おや。こんなところにねずみが住んでいるのかな。」

※納屋…物を入れておく部屋、倉庫のようなもの

 

そして次の日、今度はねこが納屋へ行きました。

すると、ねずみが袋から落ちた豆を拾っているところでした。

ねこは、ねずみに飛び掛かりました。

ねこ:「にゃおーん。」

ねずみ:「ひゃー!!」

ねずみは、ねこに言いました。

ねずみ:「ねこさん。どうかお願いです。私を食べないでください。私たちは梅雨のこの時期に、お宝を磨く仕事があるんです。これは大変な仕事なので、私たちのお母さんが疲れて病気になってしまいました。だから、この豆をお母さんにあげて、元気にしようと思ったんです。これを食べて、お母さんが元気になったら、私はあなたに食べられるためにまたここへ来ます。少し待っていてください。」

ねこは、ねずみを逃がしてやりました。

 

ねずみが、穴の中へ帰って、お母さんに豆を食べさせていると、穴の中にひとつ、ふたつと小さな豆が落ちてきました。

ねずみが、上を見ると、ねこがねずみたちのために豆を何個も落としてくれていました。

その豆を食べて、お母さんもすっかり元気になりました。

ねずみ:「ねこさん、どうもありがとう。約束通り私を食べてください。」

ねずみは、そう言いながら穴から出てきました。

ねこは、ねずみを見ると、納屋から出て行ってしまいました。

ねずみは、ねこのやさしさに感動しました。

 

それから何日か経って、おじいさんが納屋へ行ってみると、ねずみの穴から大判小判(おおばんこばん)がどんどん出てきました。

おじいさん:「なんじゃ、これは!?」

すると、穴からねずみの家族が出てきて、

ねずみ:「おかげさまで、お母さんの具合も良くなり、お宝を磨く仕事も全部終わりました。ありがとうございました。」

おじいさん:「おお、そうか。それはよかったのぉ。」

ねずみ:「これは、ほんの少しですが、お礼です。どうぞ。」

ねずみたちは、大判小判をおじいさんの前に出しました。

おじいさん:「これをわしらにくれるのか!ありがとう!」

※大判小判…昔のお金のこと

 

それから、おじいさんとおばあさんは、何不自由なく生活ができ、ねことねずみも一緒に仲良く暮らしましたとさ。

 

 

いかがでしたか。

優しさや親切さは他の人にも伝染するのかもしれませんね。

みんなが幸せになるほっこりするお話でした。

それでは、本日はこのお話の中から日本語を勉強していきましょう。

 

 

「どうかお願いです。私を食べないでください。」

ねずみがねこに言ったことですね。

この「どうか」の部分に注目してみましょう。

形が似ている言葉に「どうぞ」という言葉がありますね。

この二つの違いは何でしょうか。

 

●「どうか」と「どうぞ」の違い

 

・どうかよろしくお願いします。

・どうぞよろしくお願いします。

 

このように依頼(お願い)する表現ではどちらも正しい文になります。

しかし、ニュアンスが少し違うのでその違いを例文を見ながら考えていきましょう。

 

「どうか」を使う文

Sample1 どうか今年こそ大学に合格しますように。

Sample2 (病院で)先生!どうか息子を助けてください。

 

このように、「どうか」には話者の強い希望、心からのお願いという意味が含まれています。

無理かもしれないが、それでもお願いします!というような強い気持ちですね。

 

「どうぞ」を使う文

Sample1 まあ、どうぞおかけください。

Sample2 どうぞごゆっくり召し上がってください。

 

「どうぞ」は、相手にそのアクションをおすすめする時に使います。

強いお願いではないので、本当にそのアクションをするかどうかは相手の自由です。

 

最初にご紹介した「よろしくお願いします」の文でも、二つの文の間には実は場面の違いが見つけられますね。↓

「どうかよろしくお願いします」という文は、強い希望、依頼の意味があるので、このような場面で使用します。

 

Sample 母:(学校で)先生、うちの息子は大学の推薦がかかった大事な時期なんです。厳しく指導してやってください。どうかよろしくお願いします。」

 

「どうぞよろしくお願いします」は相手におすすめする気持ちがあるので、

 

Sample 初めまして!田中です。どうぞよろしくお願いします。

 

このように自己紹介などで使うことが多いですね。

 

それでは、本日の日本語学習はここまで!

皆さん、お話と日本語解説はいかがだったでしょうか。

12月のJLPTも迫ってきていますから、こういった細かいニュアンスの違いにも注目しながら、読解や聴解に挑戦してみてください。

また次回のブログでお会いしましょう!