「もの」を使って常識や気持ちを話しましょう  /日本語ラーニングサポートLLC

2023/11/15 ブログ

「もの」という言葉は、どういう意味でしょうか?

物質、形のあるものという意味ももちろんありますが、他にも様々な文の中で出てくる言葉です。今回は「もの」を使って色々な文を作ってみましょう。


 

ここ数日で気温もぐっと下がり、ようやく季節が進んでいくように感じます。紅葉も美しく、秋を楽しみながら過ごしたいものですね。

さて、今回は「もの」を使った話し方を勉強します。お気づきでしょうか?上の文、「秋を楽しみながら過ごしたいですね」と言ってもいいのですが、わざわざ「過ごしたいものですね」と言っているのはなぜでしょう?「もの」を入れることで何が伝わるのでしょう?いつもより少しレベルの高い中級あたりで学ぶ表現も多いかと思いますが、日常ではよく使われる表現ばかりですのでぜひ練習してみてくださいね。

 

■人は誰でも失敗するものだよ。

 

一般的に考えられていることや物事の本質、傾向を話したいときに使います。

たとえば、会社でのプレゼンテーション。皆さんは全く緊張せずに進められるでしょうか?

恐らく多くの方が多少なりとも緊張することでしょう。そんな時には、「もの」を使って言うことができます。

 

「プレゼンテーションは、誰でも緊張するものです。」

 

もっと色々な文に使ってみましょう。

 

・A「なんか最近同僚とうまくいってない気がする…」

 B「人間関係ってなかなかうまくいかないものだよね。」

 

・母「ねえ、太郎またケガして帰ってきたのよ」

 父「子どもはケガをするものだよ、あまり心配しすぎない方がいい。」

 

・急な災害時には誰しもパニックになるものですから、しっかり備えておかなければいけません。

 

・A「うちの大学の寮、すごくせまいんだ」

 B「寮なんてどこもせまいものだろ。あまり文句ばかり言うなよ。」

 

・(×)チキンはおいしいものです。

   →個人的な感覚や人によって感じ方が違うものには使いません。


 

■図書館では静かにするものですよ。

 

社会的な常識や一般的にそうすべきと考えられていることを相手に伝えて、こうすべきだと言いたいときにも使うことができます。

たとえば上の文、図書館では他の人の読書の邪魔をしないよう基本的には話さず、話す時には小声で、というのが一般的なマナーになっていますから、このように言うことができます。

 

(電車で)

  ・お年寄りには席を譲るものだよ。

  ・電車内で電話をするものではない。

    →電車で電話をしてはいけない、化粧をしてはいけないというのは日本のマナーの中でも有名なものですね。「~してはいけない、するべきではない」と言いたいときには、「~ものではない」の形を使います。話し言葉では「~もんだ/~もんじゃない」の形がよく使われますよ。

 

・子どもはよく食べて、よく寝るものだ。

 

・A「ねえ、1日で3万円もらえるアルバイトがあるんだって!やってみようかな。」

 B「そんな怪しい話、信じるもんじゃないよ。」


 

■秋を楽しみながら過ごしたいものですね。

 

さて、冒頭の文に戻ってきました。この文だと先ほどのような一般常識の言い方ではなさそうですね。

この時の「もの」は、「本当に~だ」「心から~だ」のように自分の感情や希望を話す時に使われる表現の一つなのです。

・秋を楽しみたいですね。

・秋を楽しみたいものですね。

どちらも同じことを言っているのですが、ふたつ目の「もの」を使った言い方のほうが気持ちがこもっているような、心からそうしたいと思っているような感じを受けます。

 

・もう1年経つのか。早いものだなあ。

・いつかゆっくり休みをとって旅行に行きたいものだ。

・年を取るにつれ友だちが少なくなっていくのはさみしいものだ。

・彼はまだ入社一年目なのにとても仕事が早い。頼もしいものだな。

  →「~したい」という自分の希望をいう時や、思いをしみじみという時、またちょっと驚いたり意外に思ったことにもとても自然に使えますよ。

 

■子どもの頃はよく近くの山で遊んだものです。

 

過去形(た形)を使って、過去のことを思い出しながら話す時にも使います。例えば、子どもの頃の思い出。「山で虫を取りました。」でも事実は伝わるのですが、「山で虫を取って遊んでいたものです」と言うことで、その頃のことを思い出しながら懐かしさまで相手に伝えられるような、生き生きとした文になりますよ。

 

・子どもの頃は、食事の時に野菜を残してよく母に怒られたものです。

・一人暮らしを始めたばかりの頃は、よく寝坊して大学に遅刻しそうになったものだ。

・入社したての頃はなかなか仕事が覚えられず苦労したものですが、今はそんな部下を育てるのに苦労しています。


 

さて、今回は「もの」を使った言い方に焦点を当てて色々な言い方を見てきました。「一般的な物事を言いたいとき」や「感情を込めて(強調して)言いたいとき」に使うと、ニュアンスがよりうまく相手に伝わる表現になるのですね。

 

最後に、実際に文を作ってみましょう!

 

1)エスカレーターでは(         )ものです。

 

2)子どもの頃はよく(          )たものです。

 

3)2024年は(           )たいものです。

 

さて、皆さんはどのような文を作られたでしょうか?懐かしい出来事や未来の希望など、皆さんの中にある様々な思いでぜひ色々な文を作ってみてください。ちなみにエスカレーターの正しい乗り方はなかなか実践されていないもの、自信のない方は調べてみてくださいね。



 

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