おばさん、おばあさんの違いを考えて、失礼のないきれいな日本語を話しましょう。
おばさん、おばあさんの違いは何でしょうか。
日本語を学習している皆さまの中には、この二つの単語を勉強して、おや?難しなぁ…と思った方もいるのではないでしょうか。
今日は、この「おばさん」と「おばあさん」の違いについてお話しますので、是非最後までご覧ください。
まず、発音の違いがありますね。
お・ば・さ・ん は4つの音でできていますが、お・ば・あ・さ・ん は5つの音でできています。
「おばあさん」の方は、真ん中に「あ」が入っていますね。これを長音と言います。
ローマ字で書くと、obaasanになり、a(母音)が二つつながっているので、実際に聞いてみると聞き取りにくいことがあるかもしれません。
日本人の発音を聞くと、「ば」の後にもう一度「あ」の音をしっかり作って発音しているひとはあまりおらず、「おばーさん」に聞こえると思います。
その「-」「あ」の音、母音が非常に重要なんですね。
さあ、声に出して言ってみましょう。
お・ば・さ・ん
お・ば・あ・さ・ん
英語では、So cute を Sooooo cute といっても、意味は強調されますが、大きくは変わりませんね。
ですが、日本語では「おばさん」「おばあさん」「主人(しゅじん)」「囚人(しゅうじん)」のように意味が全く違うものになってしまうので、最初は難しいと感じるかもしれませんね。
母音をしっかり発音することを意識しながら、練習してみましょう。
さて、発音が分かったところで、今度は意味や使い方の学習です。
【おばさん】
一般的に40代~60代くらいの女性を指す言葉です。
この年齢は絶対40代~60代でなくてはならないというわけではありません。話し手の年齢によっても違ってきます。
例えば、5歳の子供からしたら、30歳の女性がおばさんに見えるかもしれませんし、逆に70歳の方から見れば、40歳の女性は「おねえさん」に見えるかもしれませんね。
あくまで目安ですが、40歳以下の人(若者)は、自分の母親と同じくらいの女性をおばさんと呼ぶ人のではないでしょうか。
もう一つポイントがあります。おばさんと言ったら、普通は、知らない女性のことを言います。
名前を知っている女性でしたら、その人の名前を呼ぶのが自然ですので気を付けましょう。
女性の場合は「おばさん」、男性の場合は「おじさん」になりますね。
例を見てみましょう。
Sample1 今日、駅で知らないおばさんが道を教えてくれて助かった。
Sample2 スーパーで隣のおばさんが買っている野菜を、私も真似して買った。
Sample3 近所のおじさんが、落ち葉を掃いて道をきれいにしてくれた。
Sample4 酔っ払ったおじさんが、電車で寝ていた。
また、おばさん、おじさんという言葉は本人に向かって使うととても失礼になりますので、気を付けましょう。
× おばさん/おじさん、道を教えてください!
〇 すみません、道を教えていただけませんか。
両親の兄弟姉妹のことを「おばさん」「おじさん」と呼ぶこともあります。
自分の親戚の場合は「さん」はつけずに、「おば」「おじ」と呼びます。
Sample1 佐藤さんのおばさんって画家なんでしょう?すごいよね。
Sample2 学校の入学祝いに、おばがプレゼントをくれました。
Sample3 田中さんのおじさんは、アメリカ人の女性と結婚してるんだよね。国際結婚うらやましいな~。
sample4 私のおじは、自転車でもパソコンでもなんでも修理できます。
両親の兄弟姉妹であれば、兄でも弟でも男性であれば「おじ」、女性であれば姉でも妹でも「おば」と言うことができますので、是非使ってみましょう。
ですが、これも自分のおば、おじに直接言う人はあまりいません。
× おば/おじ、この前のプレゼントありがとう。
〇 (名前、ニックネーム)、この前のプレゼントありがとう。
【おばあさん】
一般的に70歳以上の女性を指します。これも知らない人、名前が分からない人に使います。
男性の場合は「おじいさん」になります。
Sample1 公園でおばあさんたちが集まって運動をしていて、にぎやかだった。
Sample2 横断歩道でおばあさんが転んでしまったので、助けてあげた。
Sample3 公民館で、おじいさんたちが将棋をしていた。
Sample4 バスでおじいさんに席を譲った。
自分の両親の親のことを言いたいときは「おばあさん」「おじいさん」とはあまり言いません。
「おばあちゃん」「おじいちゃん」を使います。「ちゃん」とつけると優しくて可愛らしい印象になりますよね。
△ 私のおばあさん/はいつも絵本を読んでくれた。
〇 私のおばあちゃん/祖母はいつも絵本を読んでくれた。
△ 私のおじいさんは、家を作るのが仕事だから、力持ちだ。
〇 私のおじいちゃん/祖父は、家を作るのが仕事だから、力持ちだ。
このように「祖母」「祖父」を使ってもいいです。フォーマルな場面に向いていますね。
友達や家族と話すカジュアルな場面では「おばあちゃん」を使うのが自然ですが、会社や面接の場面では「祖母」を使ってみましょう。
また、「おばあさん」「おじいさん」も相手に直接使うのは避けましょう。
× おばあさん/おじいさん、そこは危ないですよ。
〇 すみません/ちょっと、そこは危ないですよ。
練習問題 ( )の中の言葉を適切な言葉に書き換えてください。
① 今日、図書館で( 知らない70歳くらいの女性 )が、本を落としてしまっていたので、拾うのを手伝ってあげました。
② 私の( 父の妹 )は、ハイキングが趣味で毎週山へ行っている。
③ いつも公園で、犬を散歩している( 知らない50歳くらいの女性 )に会うので、挨拶している。
④ 田中君の( お母さんのお兄さん )は、今どこに住んでいるの?
⑤ 階段の前に重い荷物を持った( 80歳くらいの男性 )がいたから、荷物を持ってあげたんだ。
⑥ 私の( 父の父 )は、今年75歳だが、まだ毎日元気にジョギングしている。
いかがでしたか。
本日学習した言葉を使って、誰かに今日の出来事を話してみてください。
日本人の使い方を真似しながら感覚を身につけていきましょう!
12月のJLPTも迫ってきていますね。
毎日日本語学習が大変かもしれませんが、楽しみながら、新しい発見とワクワクを探す日本語学習にできたらいいですね。
解答
① おばあさん
② おば
③ おばさん
④ おじさん
⑤ おじいさん
⑥ おじいちゃん/祖父