あげます、やります、差し上げますの違いは何でしょうか?一緒に考えてみましょう!

2023/11/08 ブログ

あげます、やります、差し上げますの違いを考えよう!

皆さんはこの三つをどう使い分けていますか。

本日は、この3つの意味と使い分けをご紹介します。

最後には練習問題もありますので、是非挑戦してみてくださいね。

 

【あげます】

Sample1 私は、弟におもちゃをあげました。

Sample2 今日は母の誕生日なので、花をあげます。

Sample3 私は、友達に服をあげました。

 

誰かが誰かにものをプレゼントした、渡したという物の移動があった時、「あげます」を使いますね。

 

≪物の移動≫

私は、弟におもちゃをあげました。

 

私 → 弟

 

今日は母の誕生日なので、花をあげます。

 

私 → 母

 

それぞれ、「おもちゃ」「花」が私から弟、母へ動いています。

また、「てあげます」の形で、物の移動だけでなく行為、行動にも使うことができます。

 

Sample4 私は、みんなに日本料理を作ってあげました。

Sample5 ボーナスが出たので、子供を遊園地へ連れていってあげました。

 

最後の例文の「連れていく」や「迎えにいく」などの動詞には注意が必要です。動作の受け手の後ろの助詞は「に」ではなく「を」になっています。

また、「手伝ってあげましょうか?」のような形で、申し出るのは目上の人に対して失礼な言い方になってしまいます。

 

× 先生、手伝ってあげましょうか。

× 課長、やってあげましょうか。

 

友達や自分より立場が下の人であれば使っても問題ありません。

この場合は、相手が手伝ってほしい、助けてほしいと思っているとき、また自分がそれをすることによって、相手にメリットがあるときに使います。

 

〇 田中君、パソコン壊れたの?直してあげるよ!(田中君はパソコンが壊れて困っている)

× あ、そういえばこの間、京都に行ったんだ!みんなに写真見せてあげるね。(みんなは写真を見たいと言っていない、見たくないかもしれない)

→ あ、そういえばこの間、京都に行ったんだ!みんなに写真見せたい!/写真見てほしい。/写真撮ったから見て!

 

 

【やります】

Sample1 私は孫におもちゃをやります。

Sample2 私は、猫にえさをやります。

Sample3 私は、花に水をやります。

 

物が私から他の人、物に移動しているのは「あげます」と同じですね。

今回注目するべき点は与え手と受け手の関係です。

Sample1の「私」と「孫」を見てみましょう。私の方が年上ですから、上下関係で言えば、私の方が上ですよね。

「猫」や「花」も同じです。動物や植物よりも「私」の方が上ということになるんですね。

もちろんペットの動物は家族のようなものだから、立場は同じ、上下関係をつけたくないという方もいるでしょう。そういう方は、「あげます」を使っても問題ありません。

「やります」は、上の者から下の者へという意味があるので、自分より年上の人に使うのは不自然になります。

友達や同じ年齢の人には、使えないこともありませんが、やはり自分の方が上だ!という風に聞こえるので使わないほうがいいでしょう。

 

「やります」も「てやります」の形にして、前に動詞を入れることもできます。

Sample4 孫におもちゃを買ってやりました。

Sample5 犬を散歩に連れていってやりました。

 

 

【差し上げます】

Sample1 私は、社長にミュージカルのチケットを差し上げました。

Sample2 私は、先生に北海道のお土産を差し上げました。

Sample3 部長が入院しているので、お見舞いに行って、花と果物を差し上げました。

 

 

こちらも物の移動という点では「あげます」「やります」と同じです。

ですが、与え手と受け手の関係を見ると違いがわかります。

Sample1の「私」と「社長」では、「社長」の方が上の立場の人ですね。

私と先生、私と部長も同じです。

つまり、「差し上げます」は「やります」の反対で、受け手が与え手より上の立場になっているんですね。

しかし、注意しなくてはならないのは、「差し上げます」は目上の人に直接使うのは失礼だという点です。

× 先生、北海道のお土産を差し上げます。

〇 先生、これ北海道のお土産です。どうぞ。

 

誰か他の人に話すときには「先生に差し上げました」と言ってもいいのですが、直接先生に言うと、押しつけがましい印象を与えるので注意しましょう。

また、「差し上げます」も「て差し上げます」の形で使うことができます。

Sample4 お客様が買ったばかりのアイスクリームを落としてしまったので、もう一度作って差し上げました。

Sample5 課長のパソコンが壊れたので、修理して差し上げました。

 

「て差し上げます」も目上の人に直接使うのは失礼ですので、他の人に話すときに使いましょう。

直接言いたい場合は、このように言うといいでしょう。

〇 お客様、もう一度新しいものをお作りしましょうか。

〇 課長、お困りでしたら私が修理いたしますよ。

 

 

それでは、今日学習したことのまとめ復習として、練習問題にチャレンジしてみましょう。

 

練習問題 (  )に適切な言葉を入れて文を作りましょう。

答えは、ブログの最後に書きます。

 

①私は、先生にお花を(      )ました。

②私は、毎朝鳥に水を(     )ます。

③私は、弟の宿題を手伝って(     )ました。

④父の誕生日にケーキを作って(     )ます。

⑤孫がアメリカから日本に来るので、空港まで迎えに行って(     )ました。

⑥広島の本社から社長がいらっしゃったので、東京を案内して(     )ました。

 

 

いかがでしたか。

今回は、「あげます」「やります」「差し上げます」の違いについてご説明しました。

皆さまのお悩みが解決できていれば嬉しいです。

言語学習は難しいと感じることもあるかと思いますが、知れば知るほど面白いので、私たちJLSのブログを読んでもっともっと日本語を使いこなせるようになりましょう。

それでは、また次回のブログで!

 

 

 

解答

①私は、先生にお花を( 差し上げ )ました。

②私は、毎朝鳥に水を( やり )ます。

③私は、弟の宿題を手伝って( あげ/やり )ました。

④父の誕生日にケーキを作って( あげ )ます。

⑤孫がアメリカら日本に来るので、空港まで迎えに行って( やり )ました。

⑥広島の本社から社長がいらっしゃったので、東京を案内して( 差し上げ )ました。