文法を知ろう!日本語教師の文法解説初級編~「つもり」を使って話しましょう~/日本語ラーニングサポートLLC

「つもり」という言葉はどんな時に使うでしょうか?
未来のことを言うとき、それだけではないのです。
今回は「つもり」という言葉について、その表現の広さを体感してみましょう。
さて、11月にしては日中暖かい日も多かった今週ですが、寒暖差には気をつけて過ごしたいものですね。またJLPTも本番まで残り1か月を切ったところ、たまには息抜きに秋の心地よい風を感じながら、学習も良いペースで続けていきましょう。
今回は以前「予定や計画を話しましょう」の回でご紹介した「つもり」という言葉について、さらに深く見ていきます。前につける動詞の形によって意味が変わりますから、それぞれの違いを感じながら、楽しんで読んでみてくださいね。
■わたしは来年引っ越すつもりです。(V=辞書形)
→動詞の辞書形を使うと、予定や計画を言う言い方になります。具体的にスケジュールが決まっているというよりは、まだ未確定でも自分がそうしたいという意思があるときによく使われます。こちらは以前のブログで詳しくお話していますので、ぜひ読み返してみてくださいね。
(参照:日本語文法を使おう!教師の文法解説初級編~予定や計画を話しましょう~/日本語ラーニングサポートLLC (nihongojikan.jp) )
例)・今度中国語の試験を受けるんだって?
―うん、まだ決めていないけれど、今のところ受けるつもりでいるよ。
・そういえば、新しい自転車、買ったの?
―いや、買うつもりだったんだけど、思ったより高かったからやめた。
・今度の飲み会、行く?
―ううん、行かないつもり。お酒があまり好きじゃないし、家でゆっくりしたいから。
■あれ、ここに財布を置いたつもりなんだけど、ないなあ。(V=過去/た形)
→さて、「つもり」の前の動詞を「た形」にしてみるとどうでしょう?こうすると、「自分はそう思っていたけれど、実際は違った」とか「自分はそう思っていたけれど、他の人はそう思っていなかった」というような意味の文になります。冒頭の文、自分では「財布をここに置いた」と思っていたけれど、実際には財布はそこにない、という状況です。
例)・プレゼン、うまくいかなかったよ。頑張って準備したつもりなんだけど。
・この資料はちょっと手を抜いたつもりなんだけど、これまで作った資料の中で一番いいってほめられちゃったよ。
・(×)リンさんは昨日から一週間広島に行くと言っていたつもりだけど、どうして東京にいるんだろう。
→他の人の行動や事実について言いたいときには、「つもり」は使いません。こういう場合は「~はず」を使って、「リンさんは昨日から一週間広島に行くと言っていたはずだけど…」と言いましょう。
例)・彼はもうとっくに資料を作ったつもりなのに、どうして提出していないんだろう。
→彼はもうとっくに資料を作ったはずなのに…
・田中さんは昨日会社を休んだつもりだけど…おかしいな、出勤したことになっている。
→田中さんは昨日会社を休んだはずだけど…
ただし、相手の行動について質問したり、その人が「~と思っている」と言いたいときには「つもり」が使えますよ。
例)・母:太郎!それで部屋を掃除したつもり?全然きれいになっていないじゃない!
太郎:うるさいな、今やるよ。
・A:田中さん、最近何だか偉そうというか、横柄な態度が目につきますね。
B:あいつは上司に気に入られてるから、幹部にでもなったつもりなんだろ。
■頑張っているつもりなんだけどなあ。(V=現在進行/ている形)
→こちらも先ほどの「た形」の文と同じように、「自分ではそう思っているものの実際は違う/相手はそう思っていない」という時に使えますよ。
・もっと勉強しなさいよ、それで試験に受かると思っているの?
―これでも頑張っているつもりなんだけどなあ。
・きみは少しミスが多いね。もうちょっと確認作業を丁寧にやったほうが良いよ。
―自分では毎回しっかり確認しているつもりなんですけど…。
・違う、そうじゃない。つま先ではなくて足の側面でボールを蹴るんだ。
―言われた通りに蹴っているつもりなんだけど、さっきから怒られてばかりだ。
ここまでは動詞を入れて文を作ってきましたが、名詞や形容詞も使うことができますよ。
・ほんのいたずらのつもりが、警察を巻き込んだ大事件になってしまった。(いたずら:名詞)
・彼女とは両想いのつもりだったけれど、告白したらあっさり振られてしまった。(両想い:名詞)
・おばあちゃん、そんなに無理しないで。
―自分ではまだまだ若いつもりだけど、孫に心配をかけるのはよくないねえ。(若い:イ形容詞)
・元気なつもりだったが、健康診断をしたら再検査になってしまった。(元気な:ナ形容詞)
さて、今回は「つもり」を使った言い方について見てきました。「自分ではそう思っていたけれど実際そうではなかった」とか、「そう思っていたのは自分だけだった」ということはみなさんにも経験があるのではないでしょうか?ぜひそんなエピソードを思い出して、「つもり」を使って周りの人と話してみてください。失敗してしまったことやちょっとほろ苦い思い出も、人と話せば心が軽くなるものです。これまでの経験や未来の計画を、ぜひ学びに生かしてみてくださいね。
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