「たら」や「ば」を使って条件を言いましょう/日本語ラーニングサポートLLC
「ば」や「たら」、「と」を使って条件を話しましょう。
「冬になれば」「冬になると」、それぞれどんな違いがあるでしょうか?
今回は条件を表す言い方についてのお話です。
さて、この時期には珍しくまだ暖かい日が続きますね。朝夕の気温差も悩ましいところですが、JLPTまでも残り1か月、体調管理は徹底して過ごしていきましょう。
今回は「条件の言い方」について考えます。条件を言う言い方はいくつかあるのですが、それらをどう使い分けたらいいのか、場面によって使えないものはあるのか、など学習していると難しい問題にあたるものです。例文を読みながら、それぞれどう使えばよいのかを学んでいきましょう。
まず、以下の文を読んでみてください。
A,冬になれば、雪が降ります。
B,冬になったら、雪が降ります。
C,冬になると、雪が降ります。
D,冬になるなら、雪が降ります。
さて、どの文が正しく、どの文が不自然かわかりましたか?
それぞれの形を使ってみましょう。
■(○)冬になれば、雪が降ります。
→「条件形」という動詞の形を使った言い方です。Aという条件が成り立つとき、Bということが起こる、と言いたいときに使います。以下、簡単に作り方を確認しましょう。
1group
行き(ki)ます→行け(ke)ば
飲み(mi)ます→飲め(me)ば
これらの動詞は(i)の音から(e)の音へ変化し、「ば」をつけます。
2group
見ます→見れば
起きます→起きれば
こちらの動詞は「ます」をとって「れば」をつけます。
3group
します→すれば
きます→くれば
特別な形の二つの動詞、そのまま覚えてしまいましょう。
さて、条件形を使って話してみましょう。
例)・このバスに乗れば、会議に間に合います。
・毎日1時間練習すれば、日本語が上手になります。
・明日晴れれば、公園でピクニックをします。
・もう少し安ければ、買うんだけど。
・コンビニがもっと近くにあれば便利なんだけどなあ。
→実際には起こっていないことや状況についても言うことができますよ。田舎だとコンビニまで車で10分以上かかることもあるので一苦労です。
・この試験は、60点以上取れなければ不合格です。
→否定形を使って「~なければ」ということもできます。先ほどの文、「このバスに乗らなければ間に合わない」というと少し緊迫感がでますね。
■(○)冬になったら、雪が降ります。
→こちらもAという条件が成立するときBが起こる、という「ば」と同じような使い方ができますよ。
先ほどの例文も、このように言い換えることができます。
例)・毎日1時間練習したら、日本語が上手になります。
・この試験は、60点以上取れなかったら不合格です。
・もう少し安かったら、買うんだけど。
では、「ば」との違いはどこにあるのでしょうか?
「ば」が一般的な条件(Aの条件が成立するときは毎回Bになる)という状態を表すことが多いのに対し、「たら」はその場限りの条件や意思を表す時にも便利です。また、AするとBになるというA→Bの時間の流れがよりはっきり表せます。
・A「今日は何時まで遊べるの?」
B「うーん、5時になったら帰ろうかな。」(×5時になれば帰ろうかな)
・北海道へ行ったら、広大な自然とおいしい食べ物を楽しみたいなあ。(×北海道へ行けば…)
■(○)冬になると、雪が降ります。
→「Aの動作を行う、またはAの状況になると、必ず次にBが起こる」と言いたいときに使います。
・このボタンを押すと、電気がつきます。
・ここに手を近づけると、水が流れます。
―駅やショッピングセンターのトイレなどではこういうところが多いですね。「ボタンを押す→電気がつく」「手をかざす→水が流れる」という一連の流れは、毎回100%同じようにならないと困ってしまいますから、この文法がぴったり使えるわけです。
・あの橋を渡って右に曲がると、コンビニがあります。
―機械などの使い方や動作の説明だけでなく、道案内にもよく使われます。
・夜に歌を歌うと、蛇が来るよ。
・いい子にしていないと、鬼が来るってよ。
―言い伝えや迷信にも使われています。子どもの頃歌を歌うのが好きだった私はずいぶん窮屈したものです。それから「夜に爪を切ると親の死に目に会えない(=親が死ぬ時に一緒にいてあげられない)」なんていう妙に現実的なものもあって、高校くらいまではなんとなく気にして夜に爪を切らないようにしていました。皆さんの国や地元にもこんな言い伝えはあるでしょうか?
さて、この言い方ですが、さきほどの「必ずそうなる」という特性上、起こるかどうかわからないこと(仮定)や願望には使えないので注意しましょう。
・(×)もし宝くじで1億円当たると、仕事を辞めます。
→(○)もし宝くじで1億円あたったら、仕事を辞めます。
・(×)明日晴れると、サイクリングに行きたいです。
→(○)明日晴れたら、サイクリングに行きたいです。
■(×)冬になるなら、雪が降ります。
→こちらも条件を表す言い方ではあるのですが、当然起こることや自然にそうなること、一般的な条件には使えません。「春になるなら桜が咲く」とか、「このボタンを押すなら電気がつく」とは言わないわけです。
ではどんな時によく使うのでしょうか?まずは、アドバイスやリクエストをするときに使ってみましょう。
例)・沖縄に行くなら、サーターアンダギーは絶対食べた方がいいよ!
・国に帰るなら、飛行機のチケットは早めに取ったほうがいい。
・ねえ、その服、着ないならわたしにくれない?
・コンビニに行くなら、アイス買ってきてよ。
後悔や不満を言いたいときにも使ってみましょう。
・試験に落ちるならもっと勉強すればよかった。
・明日飲み会があるなら早く言ってくれればよかったのに。
さて、今回は条件を言う言い方を色々と学んでみました。それぞれに少しずつ違いがあって混乱しそう…という方は、あまり考えすぎずにまずは覚えたものから使ってみてください。そして、周りの日本人が使っている条件形をよく聞いてみてください。慣れてくると少しずつ、どの場面でどの表現を使うのが自然なのかが分かってきますよ。焦らずじっくりと学びを深めていきましょう!
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