初級文法を学ぼう!日本語教師の文法解説初級編~まとまりのある文で話しましょう~/日本語ラーニングサポートLLC

て形や「~たり~たり」、「~し~し」の形をたくさん使いましょう。
短い文をうまくまとめれば、文がスマートになるだけでなく、言いたいことがより正確に伝わりますよ。
今回はそんなきれいでまとまりのある文を作ってみましょう。
さて、秋らしい気持ちの良いお天気が続きますね。読書の秋、スポーツの秋などと言われるように何をするにも丁度良いこの季節、日本語の学習も捗っているでしょうか。今回は文のつくり方のお話です。
■て形を使って話しましょう
まずは次の文を読んでみましょう。
例)A:毎朝何をしますか?
B:毎朝コーヒーを飲みます。ニュースを見ます。スーツを着ます。会社へ行きます。
さて、これでも言いたいことはだいたいわかりますが、ひとつひとつの文がバラバラになってしまっていますね。こんな時、「て形」を使って話してみましょう。
「て形」というのは日本語の活用形のひとつです。
ここではごく簡単に、基本の作り方を確認します。
動詞
Ⅰgroup
・かいます→かって
・たちます→たって
・とります→とって
→「ます」の前が「い・ち・り」の時は「って」の形になります。
(言います→言って、勝ちます→勝って、走ります→走って など)
・のみます→のんで
・よびます→よんで
・しにます→しんで
→「ます」の前が「み・び・に」の時は、「んで」の形になります。
(読みます→読んで、噛みます→噛んで、転びます→転んで など)
・かきます→かいて
→「ます」の前が「き」の時は、「いて」の形になります。(聞きます→聞いて、置きます→置いて など)
*「行きます」は例外的に「行って」になります。
・いそぎます→いそいで
→「ます」の前が「ぎ」の時は、「いで」の形になります。(泳ぎます→泳いで など)
・かします→かして
→「ます」の前が「し」の時は、「して」の形になります。(消します→消して など)
Ⅱgroup
みます→みて
→「ます」を「て」に変えればOKです。(見ます→見て、覚えます→覚えて など)
Ⅲgroup
します→して
きます→きて
→このふたつはそのまま覚えてしまいましょう。
形容詞
イ形容詞
さむいです→さむくて
→語尾の「い」の部分を「くて」に変えます。(暑いです→暑くて、悲しいです→悲しくて など)
ナ形容詞
べんりです→べんりで
→「です」をとって「で」をつければOKです。(大変です→大変で、ハンサムです→ハンサムで など)
さて、作り方を確認したところで、ここからが本題です。
先ほどの文を、「て形」を使って書き直してみましょう。
A:毎朝何をしますか?
B:毎朝コーヒーを飲んで、ニュースを見て、スーツを着て会社へ行きます。
冒頭の文と何が違うでしょうか。4つの文がひとつになった、というだけではなく、ここに「時間の流れ」が生まれるのです。この文で言えば「コーヒーを飲む→ニュースを見る→スーツを着る→会社へ行く」という一連の流れが相手に伝わることになります。
例)
・この資料をコピーして、1部ずつホッチキスでとめて、机に並べてください。
・昨日はレストランでご飯を食べて、買い物をして、それから映画を見ました。
こちらの文はどうでしょうか?
先週の金曜日は、とても寒かったです。風邪をひいてしまいました。
(て形を使ってみましょう)
→先週の金曜日はとても寒くて、風邪をひいてしまいました。
こちらの文では「て形」を使うことで、「寒かった」ことと「風邪をひいた」ことのつながりがよりはっきりとわかるようになりました。
例)
・昨日食べたカレーはとても熱くて、やけどしそうになりました。
・財布を落としてしまって、本当に困りました。
■「~たり~たり」の形を使って話しましょう
まずはこちらの文を読んでみてください。
A:3連休は何をしたの?
B:たくさん寝た!友達に会った!居酒屋に行った!散歩をした!ショッピングをした!家の掃除をした!おいしいラーメンを食べた!
どうでしょうか?3連休を楽しんだことはよく伝わってきますが、できごとを全部並べるだけでは会話にはなりませんね。こんなふうに直してみましょう。
B:友達と居酒屋に行ったり、ショッピングをしたり、おいしいラーメンを食べたりしたよ。
「~たり~たり」の形を使ってみました。この形は、たくさんある事柄の中から特に重要なものを2つ、3つ挙げて言う言い方です。今回の文では、3連休を楽しんだことが特に伝わる「居酒屋」「ショッピング」「ラーメン」の話をピックアップして話してみました。
例)
・わたしは本を読んだり、音楽を聴いたりするのが好きです。
・明日は会議があったり取引先の社長との食事があったりしてとても忙しいです。
・楽しかったり大変だったり、色々な事があった3年間だった。
この「~たり~たり」の形、動詞や形容詞は「た形」を使いますが、作り方のルールは先ほどの「て形」と同じです。「て」の部分を「たり」に変えるだけでOKですよ。
「読みます」―「読んで」―「読んだり」、「します」―「して」―「したり」、「食べます」―「食べて」―「食べたり」となります。
■「~し~し」の形を使って話しましょう。
「先輩は仕事が早くて正確です。字がきれいです。優しく教えてくれます。とても尊敬しています。」
→先輩の優秀さ、素敵な人柄が伝わってきますね。せっかくなのでもっと強く伝えてみましょう!
「先輩は仕事が早くて正確だし、字がきれいだし、優しく教えてくれます。とても尊敬しています。」
→「~し、~し」の形を使ってみました。こちらはいくつかの事柄を並べて言う言い方ですが、話し手の「~で、さらに/その上…だ」というニュアンスが含まれます。先輩の良さをどんどん追加していく、というイメージでしょうか。「こんな良いところがある、さらにこんな良いところもある!」というように重ねていくのです。
もちろん良いこと以外にも使います。
例)
・彼はよく遅刻するし、ミスも多いし、敬語も使えないし、社会人として失格だな。
・この部屋は狭いし、古いし、かび臭いし、早く引っ越したい。
→理由をいくつか並べる時にも便利です。この場合「早く引っ越したい」理由をたくさん並べています。「かび臭い」というのはちょっときついですね。
・僕の彼女はかわいいし、おしゃれだし、お菓子が作れるし、素敵な人なんです!
→良かったですね。動詞(作れる)やイ形容詞(かわいい)はそのままの形で使うことができますが、ナ形容詞と名詞(おしゃれ)は「だ」をつけて「~だし」と言いましょう。
さて、今回はまとまりのある文で話す練習をしました。単語だけで話すより助詞を入れて話したほうが自然な日本語らしく聞こえ、また言いたいことが正確に伝わるように、短文だけを並べて話すより、適度にまとまりを作って話したほうが生き生きとした日本語の会話になり、相手にも伝わりやすくなるのです。会話の中に取り入れることがはじめは難しいかもしれませんが、たくさん文を読んだり自分で文を作ってみたりして少しずつ慣れていけば大丈夫です。一歩ずつきれいな日本語に近づけていきましょう!
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