する、やるの違いは何でしょうか / 日本語ラーニングサポートLLC
する、やるの違いは何でしょうか?
例:
■勉強をする。
■勉強をやる。
↑どちらも「勉強する」の意味のようです。
正しい日本語とは何か?
さあ、一緒に考えてみましょう。
【本日の記事のヘッドラインです】
①「する」と「やる」は同じ
②「する」について考えましょう
⇒パスタにする、ドキドキする、ちゃんとする、お電話する
③「やる」について考えましょう
⇒エサをやる
①「する」と「やる」は同じ
そうです。同じ意味です。
A:今日は何をする?
B:うん、うちに帰って宿題をするよ。 / うん、うちに帰って宿題をやるよ。
上の文では、どちらも同じシーンがイメージできますね。
例:
■明日はテニスを・・・。
■毎晩、ゲームを・・・。
何かのアクティビティを行うとき、「する」と「やる」は同じように文を作ります。
ただし、、
▲明日は会社のイベントでMCをやる。←??
ビジネスシーンのようにフォーマルな場面では、「やる」は少しラフな話し方に聞こえますので普通は「する」で話すことをオススメします。
〈注意:「○○する動詞」のときは、するだけ使えます〉
勉強する、宿題する、仕事する、などの「する動詞」を使うときは必ず○○するの形を使いましょう。
✗勉強やる、✗宿題やる、✗仕事やる
このような○○やるの形はNGですので注意しましょう。
では、「する」と「やる」の二つの動詞の違いはどのようなシーンで見つけられるでしょうか。
②「する」について考えましょう
1)決める、の意味
A:今日のランチ、何にする?
B:うん、パスタにする。
↑上の「する」は決めるという意味があります。
ランチに何を食べましょうか。「パスタに決めた」のですね。
広く色々な場面で使えます。
例:
■Aセットにします。←レストランでメニューから食べるものを選ぶ
■これにします。←お店で買うものを選びました
■5時にしましょう。←約束の時間を決めます
■宿題の残り1ページは明日にする。←今日は終わりませんでしたから、明日宿題の続きの1ページを勉強します
■MCは山田さんにしました。←イベントのMC(司会者)を決めました
2)感じる、の意味
A:もうすぐゲームが始まるね。
B:うん、ドキドキするね。
↑「ドキドキ」と胸が鳴るような’緊張’を感じています。
上手に、ライブに、感じたことを表現できますよ。
例:
■久しぶりの海外旅行だし、ワクワクするね。←楽しい気持ちが胸の中で止まらないですね。
■電車が止まってイライラした←急いでいるのに動けない、フラストレーションと怒りが胸の中で動いていますね。
■今日は少し涼しい気がする。←涼しいかな?と感じました。
■その帽子は少し派手な感じがする。←デザインがすごい、カラフル過ぎる、少しミスマッチなファッション・センスを感じましたね。
3)態度を取る、の意味
A:また山田くんと何か話していたの?
B:うん、「ちゃんとする」ことの大切さを話していたんだ。あいつったら、寝坊するし、ヘアスタイルはひどいし、お客さんにタメ口だし・・・。
↑仕事するスタイル、勉強するスタイル、人と話すスタイル、、、生活の色々なところに人それぞれの’スタイル’(≒態度)が、ありますね。どのようなスタイルで又どのような気持ちで人とコミュニケーションを取るべきでしょうか。「’スタイル’(態度)する」の文の形で、その人の心と外面の様子を表すことが出来ます。つまり態度を取る、ことです。
例:
■ナオミさんは15歳なのに、大人みたいにしっかりしている。←大人のように模範的だ。期待通りのパフォーマンスをしている
■彼はきっちりしているから約束の5時にはきっと来るよ。←時間を守る、整理されていてきれいなスタイルで生活している人なのですね
■彼女はさっぱりしているから、昨日のけんかなんて気にしてないよ。←気持ちが良い風のように、いつも美しい彼女のキャラクターが想像されますね。
4)敬語で話す
A:え、そうなんですか!?
B:もちろんですよ。お客様にお電話する時は「もしもし」と言ってはいけませんよ。
※ビジネスのシーンでは「もしもし」はNGです。
↑’丁寧な名詞’する、この形の敬語は美しくて気持ちが良いですね。
例:
■明日までにご連絡します。←お客様に時間とこちらからのアクションの予定を伝えました
■お客様、お荷物をお持ちします。←ホテルマンでしょうか。お客様のバッグなどを持って差し上げます
■すみません。この資料はお見せすることが出来ないんです。←会社内だけの(社外秘の)ドキュメントですから、「見せて」と言われても丁重に断りましょう
③「やる」について考えましょう
何かを、誰かに、「あげる」の意味を持っています。
例:犬にえさをやる。
例:花に水をやる。
↑このように「あげる」というアクションを意味します。
〈注意しましょう〉↓↓
※「やる」はコミュニケーションの中で、丁寧さや美しさといったデコレーションが無い’オリジナルとして原形’と言ってよい動詞のタイプです。ですから、使う場面はかなり限定されます。
現在の日本語コミュニケーションではかなり’ラフ’なイメージを与える「あげるアクション」=「やる」と考えましょう。
例:
■赤ちゃんにミルクをやる。
■子供にお小遣い(←お金のことです)をやる。
■後輩にお祝い(←何かのプレゼントです)をやる。
↑上のように一般に使います。
最初の二つの例文から全ての文で、「何か変な感じ」がしたでしょうか。
そうです、「やる」には現代人的な甘い優しさがありません。
■犬にご飯をあげる。
■花に水をあげる。
■赤ちゃんにミルクをあげる。
この方が良い日本語のように思う方が多いのではないでしょうか。
私は、時代が変わってやさしい社会になったと思っています。
ですので、動詞の選択をどうしようかな?と困った時には「やる」を使わないことをオススメします。
本来のカタい(’しっかりとした’と言っても良いです)、つまりフォーマルな場面でフォーマルな日本語を使いたい場合には「やる」を正しく使い分けて話すことが求められるので、やはり勉強はきちんとしておいて、いつでも「やる」の動詞で話す準備は忘れずにしておきましょう。
言葉の選択は日本語のファッションの一つです。
「やる」は強い印象を与える言葉ですから必要な場面では必要な表現として、話者の態度を明確に示すことができるのですね。
■申し訳ないけれど、この本は弟にやることになっているんです。←自分の本を(貸して)あげることができない。弟という家族との約束のことですから、内部(ウチ)の人間への言葉遣いとして丁寧さを削り取った言葉を使います
■よく弟に料理を作ってやったんです。←家族の話を外(ソト)の人に話す時は丁寧さを加えずに素のままの日本語の言葉で話していますね。
また、’何かをあげること’に限らず「する」と同じ意味で使うときも同様です。
■今日のお昼までに必ずやります。←する事を「やる」というアクションで話すことで決意のような強い気持ちを表していますね。
本日の記事はここまでです。
ややこしい言葉である「する」と「やる」について簡単に整理してみました。
読んだことを参考にして日本語の会話に磨きをかけていただければ本当に嬉しい限りです。
この先、もっともっと日本語を知りたい方は是非レッスンにいらっしゃってください。
日本語をがんばろう!と思ったら少しの期間はプロの日本語教師のレッスンを受けることをオススメします。
日本語のスキルアップが皆様の素晴らしいキャリアアップを支える一助となりますように
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