「あなた」は使わない?相手の呼び方を考えましょう~/日本語ラーニングサポートLLC

2023/10/04 ブログ

「日本語会話では、相手のことを何と呼ぶんだろう?」

「あなた、は使わないって本当?」

今回は日本語の会話における「相手の呼び方」について学びながら、そんな疑問を解決していきましょう!

 

 

突然ですが、日本語を学ぶ皆さんは、普段どんな人と会話をしていますか?お友達、会社の人、家族、コンビニの店員さんやお医者さん、それから日本語の先生などなど…。日頃から様々な人とコミュニケーションをとりながら生活されていることでしょう。それでは、皆さんは普段相手のことを何と呼んでいるでしょうか。

 

日本語の学習を始めたばかりの方とレッスンをしていると、学習者の方から「あなた」と呼ばれることがよくあります。確かに「you=あなた」と書かれている単語帳や語彙リストは多いので、そう覚えて使ってくださっているのだと思います。しかし、この場面においては「あなた」という呼び方はあまりいい呼び方ではありません。それどころか、「あなた」というのはかなり限定された場面でしか使わないのです。

 

では、私たちは相手のことを何と呼べばよいのでしょうか?今回は相手の呼び方を確認しましょう。

 

■「相手の名前+さん」で呼びます。

相手の名前が分かっている時は、相手の名前に「さん」を付けて呼びましょう。

「田中さん」「山田さん」「みきさん」「ダニエルさん」「マリーさん」…。

「さん」は相手の名前を丁寧に呼ぶときの言い方です。

ファミリーネーム(名字)につける場合とファーストネームにつける場合いの両方がありますが、友達以外には基本的に名字に「さん」をつけて呼びます。

友達や年下の子どもにはもう少しカジュアルな「くん(男の場合)」や「ちゃん(女の場合)」をつけることが多く、ビジネスの場面で取引先の人やお客さんにはより丁寧に「○○様」と言いますよ。

例)

・(同僚に)石川さん、この書類をコピーしてきてもらえますか? →(名字+さん)

・(女の友達に)さおりちゃん、明日一緒に映画を観に行かない? →(ファーストネーム+ちゃん)

・(待たせていたお客さんに)斉藤様、大変お待たせいたしました。こちらへどうぞ。 →(名字+様)                       

 

■相手の役割や肩書で呼びましょう。

相手の名前だけでなく、役割や肩書で呼ぶ言い方も一般的です。

たとえば自分の家族に話しかけるとき。

お母さん、久しぶりに家族で旅行に行こうよ。

お姉ちゃん、そこのリモコンとって!

・(×)弟、ちゃんと部屋片づけなよ。→自分より年上の人(おじいさん、おばあさん、お父さん、お母さん、お兄さん、お姉さんなど)にはこの言い方ができますが、「弟」「妹」「こども」など下の代の人には使うことができません。名前で呼んであげましょう。

 

学校や会社でも使ってみましょう。

・(学校で)先生、この問題はどうやって解くんですか?

・(会社で)小川課長、先ほど取引先の担当者からお電話がありました。

・(会社で)社長、オレンジ商事の田中様がいらっしゃいました。

・(病院で)先生、この子は助かるんでしょうか…。

・(×)ほら、生徒!先生の話はちゃんと聞きなさい!→先ほどの家族のお話と同じく、こちらも「生徒」「後輩」など目下の人に対しては使うことができません。あくまで目上の人を呼ぶときに、敬意をこめて肩書で呼ぶのです。そのため、ビジネスの世界では目上の人に対してこの肩書を使った呼び方をするのが一般的になっています。目下の人を呼ぶときには、基本的に「名字+さん」の形を使います。


 

さて、ここまで基本的な呼び方をふたつご紹介しました。

それでは少し考えてみましょう。相手の「名前」も「肩書」もわからない場合は何といえばよいのでしょうか?

 

例)飼い犬の散歩中、他の人に話しかけられます。

A:あら、かわいいワンちゃん!お名前はなんていうの? *ワンちゃん=犬のこと。

B:「こむぎ」っていいます。

A:そうなの、実はうちも犬を飼ってるのよ。

B:そうなんですね。お宅のワンちゃんは、なんというお名前なんですか?

A:うちは「メロン」と「マロン」。

B:へえ、かわいいお名前ですね。うちのこむぎはもう10歳なんですが、そちらは?

A:うちのは5歳と7歳の女の子。かわいいけれど、食べ盛り、遊びたい盛りで毎日大変よ。

 

さて、この会話のなかに相手を呼ぶ言い方がふたつ出てきたことに気付いたでしょうか?

「お宅」と「そちら」ですね。見知らぬ人と少しだけ会話を交わす場合、特に自己紹介をする必要もない時にはよく使います。昔会ったことがあるけれど相手の名前を忘れちゃった…という時にも使えますよ。私も相手の名前が思い出せない時、聞かなければと思いつつ、ついつい「そっちは?」でごまかしてしまうことがあります。素直に聞いた方が良いことはわかっているのですが、ちょっと勇気がいるんですよね。


 

さて、今回は基本的な相手の呼び方について確認しました。冒頭にお話したように、日本人の会話では名前や肩書など「あなた」以外の言葉で相手を呼ぶことが殆どです。特に目上の人に「あなた」と言うとかなり失礼な言い方になるので気をつけましょう。ただ、「あなた」いう言葉を全く使わないかというとそういいうわけではなく、親しい人同士や夫婦間などでは「あなた」とか「あんた」と呼ぶこともあります。時と場合、そして相手の立場によって使い分けることが大事になってきますね。皆さまもぜひこの機会に職場などでお互いになんと呼び合っているのか、注意して聞いてみてくださいね。


 

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