日本語で読み物を読もう!「ライオンとウサギ」をご紹介します!

日本語能力試験まであと約二か月となりましたね。
皆さん、勉強は順調ですか?
本日は、日本語の読み物を読んで、そのあと日本のことわざと四字熟語を少し勉強しましょう!
今日のお話は、イソップ物語の「ライオンとウサギ」です。
是非声に出して、お話を読んでみてくださいね!
「ライオンとウサギ」
あるところに、一匹のライオンがいました。
ライオンはとてもお腹が空いているので、食べ物を探して歩いていました。
ライオン:「あーあ。もう3日も食べてないよ。小さいウサギでもネズミでもいいから早く何か食べたいな…」
そう思って歩いていると、草むらに一羽のウサギがスースーと昼寝をしているのを見つけました。
ライオン:「よし!やっと食べ物を見つけたぞ!今日のお昼はウサギだ!」
ライオンはそっとウサギに近づいていきました。
そぉーと、そぉーと………
しかし、そのとき、一頭の大きなシカがライオンの後ろを通りました。
ライオン:「お!シカじゃないか!ウサギより大きいぞ!!よし、やっぱりシカを食べよう!」
ライオンはすぐにシカを追いかけ始めました。
シカもすぐに気が付いて走り出しました。
ライオン:「もうお腹がぺこぺこだ!逃がさないぞ!ガオー!」
ライオンはたくさん走って追いかけましたが、シカはとても足が速いので、全然捕まえられません。
何分も走って、ライオンは疲れてしまいました。
そして、とうとうシカを追いかけるのをやめて、立ち止まってしまいました。
ライオン:「せっかくあんなにおいしそうなシカがいたのに…。残念だな…。しょうがない、今日はあの小さいウサギを食べよう。」
ライオンは、さっき見た昼寝をしているウサギのところへ戻りました。
ライオン:「あれ…??ウサギがいない!!」
草むらで昼寝をしていたウサギは、ライオンがシカを追いかけたときの音で起きてしまっていたのです。
ウサギは、ライオンを見てすぐに逃げてしまったので、もうどこにもいません。
ライオン:「あーあ、ぼくはなんてバカだったんだ……。あの時ウサギを食べていればよかった…。シカの方が大きいからって、追いかけてしまったから、ウサギにも逃げられてしまったんだな。今日のお昼ご飯もないのか…お腹空いたな…。」
ライオンはお腹を空かせたまま、またとぼとぼと歩き始めました。
いかがでしたか。
ライオンは、目の前に食べ物があるのに、もっと大きいものを欲しがってしまいましたね。
このような性格を欲張りと言います。
欲張りな人は、損をするというイソップ物語の教訓ですね。
それでは、ここからは皆さんに日本語のことわざと四字熟語を少しご紹介しようと思います。
皆さんは「二兎追うものは一兎も得ず」ということわざを聞いたことがありますか。
まさに今日のお話のライオンにぴったりのことわざです。
「二兎追うものは一兎も得ず」は、二つのことや物を同時に欲しがると、一つも手に入れられないという意味です。
ライオンも、ウサギとシカを同時に欲しがってしまったので、結局どちらも食べることができませんでした。
欲張りな人は、何も手に入れられないんですね。
Sample
A:「田中さんと加藤さん、どっちも可愛くてやさしいんだよな~。2人に告白しちゃおうかな?」
B:「おいおい、二兎追うものは一兎も得ずだよ。真剣に考えたほうがいいよ。」
では、「一石二鳥」という四字熟語はご存じですか。
これは、一つのもの(方法)で二つのものを手に入れるという意味です。
さっきの、「二兎追うものは一兎も得ず」と反対のことを言っていますね。
しかし、「一石二鳥」というのは欲張りがいいことですと言っているのではなく、効率がいい、もしくはラッキーだったというような意味で日常会話の中でよく使われます。
Sample
A:「最近は、バスに乗らないで歩いて会社に行っているの。」
B:「いいね!健康にもいいし、バスのお金もかからないし、一石二鳥だね!」
このように一見難しいと思うことわざや四字熟語なども、似ているものや反対の意味のものをセットにして覚えると覚えやすいと思います。
また、上の二つのように1や2など数字が入っているものから覚えてみてもいいんじゃないでしょうか。
今回の物語「ライオンとウサギ」は、ライオンの狩りの話でしたので、次は「虎穴に入らずんば虎子を得ず」ということわざをご紹介したいと思います。
また、その反対の意味にとれる「君子危うきに近寄らず」もいっしょに見ていきましょう。
「虎穴に入らずんば虎子を得ず」というのは、虎穴(虎が住んでる家)に入らなければ、虎子(虎の子供)を取ることはできないという意味です。
つまり、価値があるものを手に入れたいなら、危険なことや苦労をしなければならないということですね。
Sample
A:新しい会社を始めようかなって思っているんだけど…。リスクを考えるとちょっと迷っちゃうんだよな…」
B:「虎穴に入らずんば虎子を得ずだよ。本当にやりたいなら、覚悟を決めてやってみたら?」
次は、「君子危うきに近寄らず」です。
これは、君子(頭の良い人、地位のある人)は自分から危険なところには行かないという意味です。「虎穴に入らずんば虎子を得ず」とは反対のことを言っていますね。
Sample
A:「あの人、いつも態度が悪いし、物を投げたり、急に怒ったりするよね。」
B:「うん、あんまり関わらないほうがいいよ。君子危うきに近寄らずだからね。」
いかがでしたか。
今回はことわざと四字熟語を紹介しました。
皆さんの国にも同じような意味の言葉がありますか。
自分はまだ初級だから…中級だから…ことわざや四字熟語は必要ないなと思わないで、積極的に見たり、聞いたりしてみましょう!
それでは今日はここまで!
皆さん、良い週末をお過ごしください。