日本語文法を学ぼう!教師の文法解説初級編~助詞「を」を使って話しましょう~/日本語ラーニングサポートLLC

2023/09/13 ブログ

助詞「を」の使い方を学びましょう!

正しく助詞を使い、自然できれいな日本語を話しましょう。

今回は「を」を上手に使って話す練習です。

 

さて、段々と暑さが和らぎ、学習にも快適な天候になってきましたね。明日は2023年12月のJLPTの申し込みの締め切り日となっておりますので、受験をお考えの方はお早めにお申し込みをなさってくださいね。

今回は久しぶりに助詞のお話をします。JLPTに限らず、日本語を学んでいれば助詞の学習を避けて通ることはできないわけですが、そもそも種類が多いうえに一つの助詞に複数の用法があるため、苦手だなと感じる方も多い部分です。しかし、助詞は用法をしっかり理解すればそれほど難しいものではありません。この機会にじっくり学んでみましょう。

 

■田中さんは今朝、すしを食べました。

→いちばんオーソドックスな使い方でしょうか。私たちが何かの行為や動作をするとき、その対象になるものを表します。今回の例文では、「田中さん」が「食べる」という行為をしたわけですが、その対象になっているものが「すし」です。そこで、「すし」に助詞「を」をつけて話します。

例)

・日本の若い人は、スマートフォンを1日に3~4時間使っているそうです。

    →日本の若い人たちが「使う」という行為をしています。では何を使うのか。スマートフォン「を」使うわけですね。実際10~30歳代の平均がこれくらいのようですが、みなさんはどうでしょうか?もっと使っているよ、という方も多そうですね。

 ・リーさんは、日本語を5年間勉強しています。(行為:勉強する 対象:日本語)

 ・毎日母が弟を学校まで車で送ります。(行為:車で送る 対象:弟)

 ・父は姉に、犬の世話をさせています。(行為:する 対象:犬の世話)

・皆さんは、12月のJLPTを受験しますか?(行為:受験する 対象:12月のJLPT)

 

■田中さんは毎朝8時に家を出て、会社へ向かいます。

→どこかへ行くときに、その起点になる場所について使います。今回は出発するスタート地点が「家」で目的地が「会社」です。そこで出発地点である「家」と「出る」の間に助詞「を」を入れます。ちなみに目的地を言うときには助詞「に」や「へ」を使うのですが、この言い方に関してはこちらの記事を参照してください。

日本語文法が分かる!教師の文法解説初級編~助詞「に」を使って話してみましょう~/日本語ラーニングサポートLLC (nihongojikan.jp)

例)

駅を出て左に曲がると、100メートルくらい先にコンビニがありますよ。(出発点:駅)

・後輩は去年大学を出て、地元の会社に就職しました。

  →それまでいた組織(主に学校に使われることが多いでしょうか)を出て新たな場所に行くときにも使うことができます。同じ使い方で、「彼は18歳の時に家を出てひとり暮らしを始めた」と言うこともできますよ。

バスを降りてから5分歩くと大学につきます。

 →「電車を降りる」「飛行機を降りる」のように、乗物から降りるときには「を」を使います。「バスや電車の車内」という場所から出て目的地へ向かう、と考えれば先ほどと同じように理解できますね。

 

■この道をまっすぐ歩いて、横断歩道をわたると右に会社があります。

→先ほどのお話では、どこかへ行くときには必ず出発点と目的地があり、出発点の方に「を」が使えるということをお伝えしました。ただ、当然のことながら出発点と目的地の間には道のりというものがあります。この道のりにも、助詞「を」が使えるのです。今回の文では、家と会社の間の道「を」歩く、横断歩道「を」わたる、という形で使われていますね。

例)

 ・この階段をいちばん上までのぼると、大きな神社があります。

  →「ここ(出発点)」から「神社(目的地)」までの間の階段「を」のぼります。

 ・あの坂を下って左に曲がると、郵便局がありますよ。

  →前の文と同じく、ここから郵便局までの間の坂を下ります。上下左右、前後、東西南北などの方向、方角を表す時には助詞「に」を使いますよ。こちらも「出発点」のお話の部分でご紹介したリンクより助詞「に」の記事を参照してくださいね。

 

 ・①あの山を越えると、向こうに別の町があるんだ。

 ・②(×)去年富士山をのぼりました。とてもきれいでした。

  →階段をのぼる、坂をのぼる、山をのぼる…と言いたいところですが、この場合は少し注意が必要です。山がとおり道になっている場合、つまり「山を通ってどこかほかの目的地へ行く」のであれば「を」を使うことができます。しかし富士山や高尾山など皆さんがのぼる山は、それ自体が目的地であることが多いのではないかと思います。そのような場合には「山にのぼる」と言うほうが適切で自然です。

 

さて、今回は助詞「を」の用法について確認をしました。助詞に苦手意識があるとどうしても「なんとなく」で使ってしまったり、助詞を使わずに単語だけで話そうとしたりしてしまうものですが、それはとてももったいないことのように感じます。助詞が苦手な方には、一気に全部覚えようとするのではなくひとつひとつの助詞や用法に向き合ってみること、そして日本語の文をたくさん読んで正しい形に慣れることをお勧めします。助詞をマスターして、自然で美しい日本語を目指しましょう!


 

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