日本語の初級文法をマスターしよう!教師の文法解説初級編~「~そうです」っていつ使うの?~/日本語ラーニングサポートLLC

「~そうです」の用法を学びましょう!
日本語の初級文法である「~そうです」という表現、皆さまは見聞きしたことがあるでしょうか?
実はこの表現、様々な場面で使われているのです。
今回はそんな「~そうです」を上手に使えるようになりましょう。
さて、9月に入り、これから少しずつ涼しくなっていくでしょうか。「秋の味覚」も楽しみながら、引き続き学習の方も頑張っていきましょう。今回はレッスンの中でご質問の多い「文法の使い分け」に関するお話です。日本語を学習する中で、「同じ文法のはずなのに文によって違う意味で使われている?」「この文法、先生が前に教えてくれた使い方と違う…⁉」と思った経験、ありませんか?今回はそんな文法の中から「~そうです」について詳しくご紹介します。
ここでクイズです。どちらの文が正しいでしょうか?
Q1、A:このバッグ、かわいいけれどすごく高いそうね。
B:このバッグ、かわいいけれどすごく高そうね。
Q2、A:この木、もうすぐ倒れるそうだよ。
B: この木、もうすぐ倒れそうだよ。
さて、皆さんはどちらが正しいと思いましたか?
正解は、Q1、Q2ともに「どちらも正しい」です。ただし、それぞれまったく意味の違う文になっています。「~そうです」は一緒に使う品詞のフォームによって、意味が変わるのです。それぞれの用法と形を確認しましょう。
■他の人から聞いたことを相手に伝えるとき
他の人(第三者)から聞いたことを相手に伝える、いわゆる「伝聞」の使い方です。「あの人がこう言っていたよ」と言いたいときに使うことができますよ。
〇動詞:辞書形、ない形、た形などの「普通形」を使います。
例)・お医者さんの話によると、彼のけがは来週には治るそうですよ。(治る/辞書形)
・そういえばリンさん、N1に合格したそうだね。(合格した/た形)
・天気予報によれば、週末は雨が降らないそうだよ。(降らない/ない形)
〇イ形容詞:辞書形、ない形、た形などの普通形を使います。
例)・友だちが言っていたけれど、フィリピンの夏はとても暑いそうだよ。
・新しくできたスーパーに行ってみたいけど、聞いた話によるとあまり安くないそうなんだ。
・先輩が先週中国語の試験を受けたんだけど、とても難しかったそうだ。合格しているといいんだけれど。
〇ナ形容詞/名詞:「~だそうです」の形になります。
例)・イーさんの会社、色々問題が起こってしまって大変だそうですよ。(大変:ナ形容詞)
・田中君のおじいさん、もっと若いと思っていたんだけど、今年90歳だそうだよ。(90歳:名詞)
形は以上のようになります。先ほどのクイズでは、Q1とQ2のAの文がこの用法にあたりますよ。Q1では「このバッグが高いと他の人が言っていた」、Q2では「この木はもうすぐ倒れると他の人が言っていた」という意味になっています。
■物事の様子を言いたいとき
目の前のものを見て、そのものの様子を話す時にも「~そうです」を使うことができますよ。先ほどの「伝聞」の時とはフォームが違うので、しっかり確認しましょう。
〇イ形容詞:辞書形から「い」をとって、「~そう」をつけます。
例)・うわあ、このケーキすごくおいしそう!(おいしい→おいしそう)
・昨日の試合で友だちがけがをしたんだけど、彼、とても痛そうだった。(痛い→痛そう)
・このバッグ、かわいいけれど高そうね。(高い→高そう)
→Q1のBの文ですね。話者がバッグを見て、その外見から「このバッグはきっと高いだろうな…」と想像している状況です。
〇ナ形容詞:「な」や「だ」をつけず、そのままの形で使います。
例)・このテスト、なんだか簡単そうだな。
・昨日家電売り場で見た電子辞書、かなり便利そうだったよ。
ちなみに「ない形」にする場合、イ形容詞は「~くなさそう」、ナ形容詞は「~じゃ(では)なさそう」という形になります。
例)・この料理、なんか色が悪いしおいしくなさそう。
・昨日田中さんに会ったけど、彼あまり元気じゃなさそうだった。
〇動詞:ます形から「ます」をとって、「~そう」をつけます。
例)・空が暗くなってきた。もうすぐ雨が降りそうだ。(降ります→降りそう)
・見て。この木、もうすぐ倒れそうだよ。(倒れます→倒れる)
→こちらはQ2のBの文と同じですね。木を見て、その木の様子から「もうすぐ倒れるだろう」と判断しているわけです。このように、動詞を使うと「ある状態からもうすぐ別の状態に変化する」という状況を言うことができます。また、ある情報や状況から考えて「~の可能性がある、~になるだろう」と言いたいときにも使うことができます。
例)・来週試験なのに全然勉強が進まない。このままだと、一週間寝ないで勉強しなければ試験に落ちそうだ。(落ちます→落ちそう)
・最近の値上げの動きを見ていると、来年には食品の値段はもっと高くなりそうですね。(なります→なりそう)
さて、今回は「~そうです」の用法について確認をしました。それぞれの文をよく見てみると、品詞のフォームや使われている場面の違いがはっきり見えてきましたね。日本語を学んでいると、今回のように同じ文法表現でも複数の意味や用法を持つものがいくつも出てきます。そんな時には、直前の品詞がどのような形で使われているのか、またどのような種類の言葉が使われているのか、というポイントに注目してみてください。用法ごとに形も少しずつ異なっていることが多いので、見分ける際には大きな助けになるはずですよ。
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