オンライン日本語読み物のコーナー!お話を読んで日本語を整えましょう!「長靴をはいたねこ」(後編)

2023/09/07 ブログ

日本語をオンラインで学習しましょう!

皆さん、12月のJLPTに向けた勉強は順調でしょうか。

日本語読み物は効果的な学習方法の一つですので、文法や漢字の練習にも是非お使いください!

本日は、「長靴をはいたねこ」後編をお届けします。

前回のあらすじ→主人公の男は、なくなった父からのプレゼントでねこをもらいます。男は、ねこなんて役に立たないと思っていました。しかし、そのねこは人間の言葉が話せる頭の良いねこだったのです。ねこのうそで、王様とお姫様に気に入られた男ですが…その後はどうなるのでしょうか。続きを見てみましょう!

「長靴をはいたねこ」(前編)→https://nihongojikan.jp/blog/20230903-4146/

 

 

 

「長靴をはいたねこ」(後編)

そのとき、ねこは先に道を走っていって、近くの畑で仕事をしている人たちに言いました。

ねこ:「これから、王様が馬車で来ます。王様にこの畑はだれのものかと聞かれたら、カラバ王子のものだと言ってください。そう言ってくれたら、みなさんにおいしいパンをプレゼントしますよ。」

 

もう少し歩いたところに、大きな牧場があります。

ねこは牧場で働いている人たちに、

ねこ:「今から、王様が来ます。この牧場はだれのものかと聞かれたら、カラバ王子のものだと言ってください!おいしいパンをプレゼントします!」

 

そのあと、王様の馬車が畑のところに来ました。

王様:「広い畑だ。おい、この畑はだれのものだ?」

畑の人:「これは、全部カラバ王子のものです!」

王様:「ほほう。」

 

王様は、次に牧場に行きました。

王様:「大きな牧場だな。これはだれのものだ?」

牧場の人:「これは、カラバ王子の牧場です!」

王様:「カラバ王子は、とても大きな畑や牧場を持っているんだな。すごい。」

 

そのころ、ねこはこのあたりで一番怖い魔王(まおう)のお城へ行っていました。

実は、さっきの畑や牧場は全部この魔王のものだったのです。

ねこは、魔王のところへあいさつしにいきました。

※魔王:悪い王様です。魔法(マジック)が使えます。

 

ねこ:「こんにちは!魔王さま!」

魔王:「なんだ?この小さいねこは。どこから入ってきた?」

ねこ:「いや~魔王さまは本当にすごいですよね~!あの畑も、この大きなお城も全部魔王さまのものなんですから!」

ねこは、魔王をたくさんほめました。

ねこ:「魔王さまは、マジックで何にでもなれると聞きましたが、本当ですか。」

魔王:「本当だよ。」

ねこ:「じゃあ、大きなライオンになれますか。」

魔王:「もちろんだ。ガオーーーー!」

魔王は、マジックでライオンになりました。

ねこ:「うひゃーーーー!怖い!私が食べられてしまう!じゃあ、次はとても小さいねずみになれますか。」

魔王:「できるぞ。ほら、見ろ。」

魔王はすぐに小さいねずみになりました。

魔王:「チューチュー!」

ねこ:「今だ!」

ねこは、ねずみをパクっと食べてしましました。

 

ちょうどその時、王様がこの魔王のお城まできました。

ねこ:「ようこそ!王様!ここがカラバ王子のお家でございます!」

王様:「なんて大きいんだ!!カラバ王子は、やさしいし、こんなに大きなお城や畑を持っている!すばらしい人だ!」

王様は、よろこびました。

王様:「是非、うちの娘と結婚してくれ!」

男 :「ええ!いいんですか!」

王様のむすめも男が気に入ったようです。

こうして、二人は結婚し、魔王のお城で暮らしました。

ねこ:「私をもらって幸せでしょう?ご主人様!!」

 

 

いかがでしたか。

ねこが王様にたくさんうそをついていたので、結婚したあとの男とお姫様が少し心配ですね。本当のことを知られたら大変です!

このお話の教訓は、役に立たないと思っても、実は役に立つものがあるから、最初の印象だけで決めてはいけないということなのでしょうね。

 

 

さて、今回はこのお話の中から文法を一つ取り上げて見てみましょう。

 

「ようこそ!王様!ここがカラバ王子のお家でございます!」

 

●「ございます」の使い方

日本に住んでいる方なら、一度は「ございます」という言葉を耳にしたことがあるでしょう。

「ございます」はどんな意味でしょうか。

①あります

 

Sample1 かばん売り場はあちらにございます。

Sample2 会場の場所に変更がございます。

 

②~です

Sample3 佐藤でございます。よろしくお願いいたします。

Sample4 こちらは、当ホテルのスイートルームでございます。

 

「ございます」は尊敬語や謙譲語ではなく、「あります」「です」の丁寧な表現です。

「~です」の尊敬語「いらっしゃいます」との違いも見てみましょう。

 

Sample1 (教授に)こちらは教授のパソコンでございますか。

Sample2 (初めて会う教授に)あの…、佐藤教授でいらっしゃいますか。

 

Sample1のような場合は、教授の持ち物についての質問なので、「~でございますか」を使うのが自然ですね。ここで「いらっしゃいますか」を使うと、「パソコン」が目上の人のような感じがしてしまいます!

Sample2のように教授(目上の人)のことを直接聞く時は、尊敬語の「~でいらっしゃいますか」を使うのが良いです。

また、奥さんや子供など、教授の身の回りの人についての質問にも「~でいらっしゃいますか」を使います。

 

Sample3 (写真を見ながら)こちらが教授のお子さんでいらっしゃいますか。

 

いかがでしたか。

レストランなどでよく聞く「~でございます」ですが、いざ自分が誰かと話している時に使おうとすると、尊敬語を使うのか丁寧表現を使うのか混乱してしまうこともありますよね。

上でご説明した通り、たとえ目上の人のものであっても、物に対しては尊敬語をあまり使わないんですね。

私たちJLSのブログでは、こうした文法解説や日本語読み物を定期的にアップしていますので、是非また見に来てくださいね。

それでは、また次回のブログでお会いしましょう!