オンライン日本語読み物でレベルアップしよう!「食わず女房」をご紹介します。

2023/08/01 ブログ

日本語をオンラインで学ぶなら、私たちと一緒に学習しましょう!

毎日暑い日が続きますが、皆さんは夏祭りや花火大会、海やプールなど楽しんでいますか。

やはり夏といえば、怖い話!本日も涼しくなるような怖い話をご紹介します。

タイトルは「食わず女房」です。

「食わず」というのは「食べない」という意味です。

「女房」は、「奥さん」という意味ですね。

「食べない奥さん」ってどんな人なんでしょうか。お話を読んで見てみましょう!

 

「食わず女房」

昔々、あるところに一人の男が暮らしていました。

ある時町で、男は友達に会いました。

男 :「やあ、久しぶり。」

友達:「おお!久しぶりだな。元気?」

男 :「元気だよ。そっちは?」

友達:「家族もみんな元気だよ。この間、子供が生まれたんだ。」

男 :「へえ。それはおめでとう。」

友達:「お前もそろそろ結婚した方がいいぞ。」

男 :「うーん、結婚は嫌だな~。結婚したら、自分のお金が無くなるじゃないか。」

友達:「ははは。お金よりも大切な幸せがあるんだよ。」

男 :「ご飯を食べない女の人だったら、結婚したいな。」

友達:「そんなのいるわけないだろう。ははは。お前は本当に面白いな。」

男と友達は、しばらくこんな話をしていました。

 

そんなある日の夜、誰かがドアを叩く音が聞こえました。

男が、ドアを開けると、そこにはきれいな女の人が立っています。

女 :「すみません。旅の者なんですが、今晩休むところがなくて…。泊めていただけませんか。」

男 :「泊めるだけならいいけど、お前さんのご飯はないよ。」

女 :「ええ、大丈夫です。私は、ご飯を食べないので。」

こうして男は、女を家に泊めてあげることにしました。

しかし、その日から台風が来てしまい、女は少しの間、男の家に泊まっていくことになりました。

女は本当に何も食べなかったので、男は自分の理想の女の人に会えたと喜んで、結婚を申し込みました。

女も男を気に入って、二人はすぐに結婚しました。

 

それから何か月も経って、女が本当に何も食べていないので男はだんだん心配になってきました。

男 :「おい、お前も少し食べたらどうだ?」

女 :「いいえ、私は大丈夫です。」

男は、毎日心配しながら、仕事へ行っていました。

しかし、ある時、仕事から帰ってくると家にあったお米がずいぶん少なくなっているのに気が付きました。

男 :「あれ?この間買ったばかりなのに、もうこれしかない。おかしいな。」

男は不思議に思いました。

 

その次の日、男は町でまたあの友達に会いました。

友達:「やあ。お前さん、結婚したらしいね!しかも、奥さんはすごくきれいな人なんだろう?」

男 :「ああ、そうだよ。本当に俺は幸せ者だよ。でも、一つ心配なことがあってね。」

友達:「なんだ?」

男 :「いや~。うちの奥さん、一口もご飯を食べないんだよ。」

友達:「そんな人いないだろう。それは、変だ。きっと鬼か幽霊だよ。」

男 :「そそそ…そんなわけないだろう!」

男は怖くなりました。

 

そして次の日、男は仕事に行ってくると言って、天井の上に登り、こっそり家の中を見ることにしました。

すると、女はすぐに大きなお米の袋を持ってきて、大きなお鍋に入れ、炊き始めました。

炊けたお米でおにぎりを30個作ると、

女 :「あ~お腹空いた!」

と言って、頭に巻いていたタオルを取りました。

するとなんということでしょう!

女の頭には大きな口があって、女はその口の中に作ったおにぎりをどんどん入れていくではありませんか!

男 :「うわぁ~!鬼だ!」

男は、しばらく天井の上で震えていましたが、夕方になって、何もなかったような顔で帰りました。

女 :「あら、お帰りなさい。」

男 :「お…おう。ただいま。」

女の頭の大きな口は今はタオルで見えません。

女 :「どうしたの?あなた、顔が真っ青よ?」

男 :「いや…。」

女 :「まさか……お前、見たな?私の口を見たな!!!見られてしまったから、仕方がない。山に連れて帰って、食べてやろう。」」

女は、あっという間に鬼に変わり、男を大きなかごに入れて、山に向かって走り出しました。

女はどんどん山を走って登っていきます。

女 :「ふう。だいぶ走ったなぁ。ちょっと休憩しよう。」

そういって、近くの木の下に座って休み始めました。

男はその間にそっとかごから逃げて、菖蒲(しょうぶ)という花がたくさんある場所に隠れました。

気が付いた女は、

女 :「どこに行った~~!」

と男を探しました。

しかし、女は菖蒲の匂いが嫌いなようです。

女 :「うーん。ここにはいないな。」

女はどこかへ行ってしまいました。

 

こうして男は家に帰ってくることができました。

男は、もう二度と「ご飯を食べない奥さんがほしい」なんて言わないと決めました。

 

 

 

 

いかがでしたか。

頭に大きな口が付いているなんて恐ろしいですね。

さて、今日は本文の中から文法を勉強したいと思います。

男の言葉の中に、こんなものがありましたね。

「あれ?この間買ったばかりなのに、もうこれしかない。おかしいな。」

 

今日は、「~たばかり」と「~たところ」の違いについて考えてみましょう。

どちらもある動作が終わってすぐのタイミングを表しますが、このふたつの違いは何でしょうか。

 

まずは、ふたつの文を見てください。

①田中さんは、去年結婚したばかりだよ。

②田中さんは、去年結婚したところだよ。

 

この文では、①と②どちらが正しいでしょうか。

正解は、①です。

「たばかり」というのは、話し手が短いと思っていれば使うことができます。

一方、「たところ」は実際にとても短い時間ではくてはなりません。

去年というのは、実際にはとても短い時間ではないので、ここでは使うことができません。

 

正しい使い方を見てみましょう。

Sample1 佐藤さんは、一週間前にこの会社に来たばかりだから、まだ慣れていないんだ。

Sample2 今、仕事が終わったところだから、これから帰るよ。

 

また、「~たところ」は、名詞と接続することができません。

〇 これは、昨日買ったばかりのパソコンです。

× これは、昨日買ったところのパソコンです。

 

 

今日の日本語学習は役に立ちましたか。

皆さんの勉強のサポートができていれば嬉しいです。

また、次回のblogで会いましょう!