オンライン日本語読み物シリーズ!日本昔話を読んでみよう!
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今日もさっそく始めましょう!
今回ご紹介するのは、日本昔話の「舌きりスズメ」です。
おじいさんとおばあさんのキャラクター、話し方に注目して読んでみましょう!
「舌きりスズメ」
昔々、あるところにおじいさんとおばあさんが住んでいました。
おじいさんは心やさしい人でしたが、おばあさんはとてもいじわるでした。
ある日、おじいさんが山で仕事をしていると、チュンチュン…どこからか鳥の鳴き声が聞こえてきます。
おじいさん:「おや?」
下を見てみると、小さなスズメが怪我をして鳴いていました。
おじいさん:「あれ、怪我をしているのか?かわいそうに…」
おじいさんは、スズメをそっと拾ってうちへ連れて帰りました。
おじいさん:「ばあさんや、今日このスズメが怪我をしていてなぁ。家で治してやろうと思うんじゃ。」
おばあさん:「ああ、そうかい。」
おじいさんは、スズメの手当を始めました。
ですが、おばあさんはそんなおじいさんが気に入りません。
スズメと遊ぶ時間があるなら、もっと仕事をしてほしいのです。
おじいさん:「ほら、食べてごらん。」
おじいさんは自分のお米を少しスズメに食べさせてあげました。
おばあさん:「うちのお米はもう少ないんだから、大事なお米をそんなスズメなんかにあげないでおくれよ。」
おばあさんは、ふん!と怒って部屋を出ていっていしまいました。
小さなスズメはおじいさんが、手当してくれたのでだんだん元気になっていきました。
そんなある日のこと、おじいさんはいつものように山へ仕事に出かけました。
おじいさん:「ばあさん、仕事に行ってくるから、スズメを見ていてくれ。頼むよ。」
おばあさん:「はいはい、分かっていますよ。じゃあ、行ってらっしゃい。」
ところが、おじいさんがいなくなるとおばあさんはスズメに急に冷たくなりました。
もちろんご飯もくれません。
おばあさんが川に洗濯に行っている間に、スズメはお腹が空いて、おばあさんの作った洗濯のりを全部食べてしまいました。
スズメ :「ちゅんちゅん…」
帰って来てそれに気が付いたおばあさんは、かんかんに怒りました。
おばあさん:「こらー!!私の作ったのりを食べたな!!二度とこんなことできないように舌をちょん切ってやる!」
おばあさんは、大きなはさみでスズメの舌を切ってしまいました。
スズメは、泣きながら山へ飛んでいきました。
おじいさんが帰ってきました。
おじいさん:「あれ?スズメは?」
おばあさん:「あのスズメが悪さしたから、舌をちょん切ってやったのさ。そしたら、山の方へ飛んで行ったよ。」
おじいさん:「なんてことを!ああ、かわいそうに…」
おじいさんはすぐに山へスズメを探しに行きました。
スズメの鳴き声がする方へ歩いていくと、「スズメのお宿」に着きました。
そこにはたくさんのスズメがいて、おじいさんを歓迎してくれました。
スズメたち:「ようこそおじいさん。あなたは私たちの家族を助けてくれた方ですね。お待ちしていました。どうぞ、ゆっくりお過ごしください。」
おじいさんが助けた小さなスズメも出てきて、おじいさんは安心しました。
たくさんの料理を食べた後、スズメたちはおじいさんにお土産を渡したいと言って、二つの箱を出しました。
スズメたち:「これが私たちからのプレゼントです。大きい箱と、小さい箱とどちらがいいですか。」
おじいさん:「うーん。私はもう年をとってしまったからなぁ、大きい箱は持って帰れない。小さいのをもらっていくとしよう。」
そうして、プレゼントをもらって家へ帰ったおじいさん、箱を開けてびっくり!
中からたくさんのお金や宝物が出てきました。
おじいさんは、とても喜びましたが、おばあさんはもっとお金が欲しくてたまりません。
おばあさん:「なんで大きい箱をもらってこなかったんだい!よし、私がもらってくる!」
おばあさんは、すぐにスズメのお宿に行きました。
ドンドンドン!
おばあさん:「おーい!ドアを開けろ!料理なんかいらないから、お土産をよこせ!」
スズメたちは、おばあさんが怖いのですぐに二つの箱を持って来ました。
スズメたち:「大きい箱と小さい箱と…」
おばあさん:「大きいのをもらうよ!!!」
スズメたち:「わかりました。でも、家に着くまで箱を開けてはいけませんよ。」
おばあさんは、スズメの話も聞かず、さっさと帰りました。
帰り道の途中で、おばあさんはどうしても箱の中身を見たくなりました。
そっと箱を下ろして、中を見てみると…
おばあさん:「ぎゃあああああ!!!」
中からおばけがたくさん出てきたではありませんか!!!
おばあさんは、箱を置いて、山の中へ逃げていきましたとさ。
おしまい。
いかがでしたか。
欲張りな人には、悪いことが起きるというお話でしたね。
私たちの読み物シリーズを読んでくださっている方は、気付いたかもしれませんが、日本の昔話の中でおばあさんが悪者のお話はとても珍しいです!
また、舌を切ってしまうという残酷なおばあさんの行動もあり、「舌きりスズメ」はかなりインパクトの強い作品なんですね。
さて、お話の中におじいさんがスズメに「食べてごらん」と言うシーンがありましたね。
「~てごらん」は「~てみなさい」「~てみたら」のように相手に行動を促す時に使います。
「~てごらん」は、目上の人から下の人に使うもので、特に大人が子供に対して使うことが多いです。
母親:「ほら、ピーマンおいしいよ。食べてごらん。」
先生:「絶対できるから、やってごらん。」
「ごらん」だけを見ると、意味が分かりにくいかもしれませんが、「みます」の尊敬語が「ご覧になる」なのを考えると納得できますね。
今日の日本語学習はここまで!
また次のブログでお会いしましょう!