日本語リーディングであなたの日本語力をアップさせましょう。今回は、怖い日本の昔話をご紹介します。
皆さま、こんにちは。
日本語リーデングのお時間です。
今日は、少し怖い日本昔話「三枚のお札」をご紹介します。
いつもご紹介している物語よりも少しレベルアップしていて、お話も長いです。
私たちの他の物語blogで、何か物足りないなぁ…、もう少し難しいものをしっかり読みたいなと感じていた方にはピッタリだと思います。
是非声に出して、ヴォイスアクトしながら読んでみてください。
「三枚のお札」
昔々、ある山のお寺に一人の小僧さんがいました。
この小僧さんは、いたずらばかりしていつも和尚さんを困らせていました。
ある秋の日のこと。
外はすっかり秋の色に染まって、山の栗の木にもたくさんの栗の実がついていました。
小僧さんは、早く栗が食べたくて和尚さんに言いました。
小僧:「和尚さん、栗拾いに行きたいです。」
和尚:「もう夕方だぞ。あの山は、夜になると恐ろしいやまんばが出るんだぞ。お前さんなんかペロッと食べられてしまうぞ。」
小僧:「やまんば?そんなのいませんよ!和尚さんは怖がりだなぁ。どうしても行きたいんです。ねえ、いいでしょう?」
和尚:「うーん。わかった。その代わり、これを持っていきなさい。」
和尚さんは、三枚のお札を小僧さんにあげました。
小僧:「なんですか、これ。」
和尚:「これは、お守りのお札だよ。もし、やまんばに会ったら、これを使いなさい。きっとこのお札がお前さんを守ってくれるぞ。」
小僧:「ありがとうございます!行ってきます!」
小僧さんは、お札をもらって栗のたくさんある山まで行きました。
栗の木の下に着くと、そこにはたくさんの大きな栗の実がゴロゴロ落ちていました。
小僧:「わあー!!おいしそう!いっぱい拾って帰ろう!」
小僧さんは、もう3枚のお札や恐ろしいやまんばのことなどすっかり忘れて、夢中で栗を拾い続けました。
気が付くと、あたりは暗くなっていました。
小僧:「ああ、もうこんな夜になっちゃった…。お寺まで帰れるかな。」
小僧さんは、だんだん怖くなってきました。
すると、そこに一人のおばあさんが近づいてきました。
おばあさん:「おやおや、どうしたんだ?こんなところで。栗拾いか?」
小僧:「わあ!びっくりした!やまんばが出たかと思った!」
おばあさん:「ははは。お前さん、寺から来た小僧だな?今日はもう遅いから、私の家へ来なさい。栗を茹でてやるから。」
小僧:「いいんですか。ありがとうおばあさん!」
小僧さんは、親切なおばあさんの家へついて行きました。
おばあさんは、大きな鍋で栗をたくさん茹でて、小僧さんに食べさせてくれました。
小僧さんは、たくさん栗を食べると、眠くなってきました。
そして、おばあさんが敷いてくれた布団で、スースーと眠ってしまいました。
夜遅く、変な音が聞こえてきて、小僧さんは目を覚ましました。
シャッ、シャッ、シャッ………
小僧:「ん?なんの音だろう?」
小僧さんは、音のする部屋へ行って、部屋の中を見てみました。
すると…
なんということでしょう!!!!!
おばあさんが怖い顔で、大きな包丁を研いでいたのです。
おばあさん:「うひひ。早くあの小僧を食ってしまおう。」
小僧:「ひゃあ!やまんばだぁ!」
小僧さんはびっくりして、声を出してしまいました。
そして、やまんばに見つかってしまいました。
やまんば:「おい、何してるんだ?」
小僧:「あの…ちょっとトイレに行きたくて。」
やまんば:「だめだ。部屋で寝ていろ。」
小僧:「どうしても行きたいんです!」
やまんば:「ああ、うるさいな。わかった。外のトイレに連れってってやる。」
やまんばは、小僧さんが逃げないように体を縄で縛って、トイレに連れて行きました。
小僧さんは、トイレに入るとすぐに和尚さんからもらったお札を一枚出しました。
小僧:「お願いします。私の声を出して、私の代わりになってください!」
小僧さんは、お札をトイレにおいて、窓から逃げ出しました。
やまんば:「おーい。まだか。」
すると、トイレの中のお札が、
お札:「まだだよ。もうちょっと待ってくれー!」
やまんば:「まだかー?」
お札:「まだまだ。」
やまんば:「ああー!遅いな!もう待てない!」
怒ったやまんばが、トイレのドアを開けると、小僧さんはいません。
やまんば:「逃げたな!!!」
やまんばは、急いで小僧さんを追いかけました。
やまんば:「待てぇー!」
小僧:「大変だ!これじゃ、捕まってしまう!」
小僧さんは、2枚目のお札を出しました。
小僧:「大きな川を作ってください!」
すると、大きな川ができて、やまんばは川に流されてしまいました。
小僧:「やったぞ!これでもう追いかけてこないだろう。」
ところが…後ろを見てみると、やまんばが川を泳いで追いかけてきていました。
小僧:「うわあ!」
小僧さんは、三枚目のお札を出し、
小僧:「火の海を出してください!」
すると、やまんばの周りに火の海ができました。
やまんばは、火に囲まれて動けなくなりましたが、すぐに火を吹き消して、小僧さんを追いかけます。
その間に、小僧さんは、自分のお寺に着きました。
お寺では、和尚さんがお餅を焼いていました。
小僧:「和尚さん!助けてください!やまんばが来ているんです。」
和尚:「ほう、それでは、私の後ろに隠れなさい。」
少しすると、やまんばが和尚さんのところへやってきました。
やまんば:「おい、小僧はどこだ?隠したら、お前を先に食うぞ。」
和尚:「じゃあ、私と勝負しましょう。あなたが勝ったら、私は何でも言うことを聞きますよ。」
やまんば:「それは、面白い。」
和尚:「じゃあ、化けくらべをしよう。私が今から言うとおりに、化けられたらお前さんの勝ちじゃ。」
やまんば:「ははは。簡単だ。」
和尚:「じゃあ、この部屋の天井につくくらい大きくなれるか。」
すると、やまんばはたちまち大きくなりました。
和尚さんは今にも食べられてしまいそうです。
和尚:「それでは、今度は小さくなれるか。」
やまんばは、今度は子供くらい小さくなりました。
和尚:「もっと、もっと小さく。」
やまんば:「ははは。できるぞ。この勝負私の勝ちだな。」
やまんばは、どんどん小さくなって、小指の先くらいの大きさになりました。
和尚:「いや~。これはまいった。私の負けだ~。」
そう言いながら、和尚さんは小さくなったやまんばをお箸でひょいと持ち上げると、焼いていたお持ちの中に挟んで、食べてしまいました。
こうして、山のやまんばはいなくなり、みんな安心して暮らせるようになったということです。
お話はいかがでしたか。
長い物語で、少し疲れたかもしれませんね。
「三枚のお札」は、怖い昔話として有名ですが、怖すぎないところがいいなと思います。
最後に和尚さんが、やまんばを食べてしまうのは衝撃ですが、面白い結末ですよね。
それでは、今日はここまで!
また、次回のブログでお会いしましょう。