日本語でお話を読みましょう。「鶴の恩返し」をご紹介します!

2023/01/06 ブログ

皆さん、日本語でお話を読んでみませんか。

本日は「鶴の恩返し」というとても有名な昔話をご紹介します。

是非最後までご覧ください!

 

「鶴の恩返し」

昔々、あるところに心優しいおじいさんとおばあさんが住んでいました。

ある寒い冬の日、おじいさんが山で仕事をしていた帰り道、どこからか鶴の鳴き声が聞こえてきました。

鳴き声のする方へ歩いていくと、一羽の鶴が罠にかかって苦しんでいました。

優しいおじいさんが、鶴の足を罠から外して助けてやると、自由になった鶴は大空へと飛びさっていきました。

その夜、おじいさんはおばあさんに今日の鶴のことを話しました。

おばあさんも鶴が元気に飛んで行った話を聞いて嬉しそうにしていました。

すると、トントントン…

誰かが戸を叩く音が聞こえます。

「おや、こんな雪の夜にだれじゃろう…。」

おじいさんとおばあさんは、不思議に思いながら戸を開けました。

すると、そこには一人の美しい娘が立っていました。

「こんな夜遅くにすみません。旅の途中で道に迷ってしまいまして、今晩泊めていただけませんか。」

「それは大変じゃったな。こんな寒い夜に。さあさあ、早く中にお入りなさい。」

おじいさんとおばあさんは、娘を家の中に入れ、囲炉裏(いろり)にあたらせました。

おばあさんが、娘のためにあたたかいおかゆを作って出してあげると、娘はとてもおいしそうにおかゆを食べました。

「こんな寒いときに、一人でどこへ行くつもりなんだい?」

「いえ、実はどこにも行くあてがないのです…。」

「そうか、それならわしらと一緒にここで暮らさんか。」

「良いのですか。ありがとうございます。私もお二人のお手伝いをいたします。よろしくお願いします。」

こうして、娘はこの家で暮らすことになりました。

子供がいなかったおじいさんとおばあさんは、娘を本当の子供のようにそれはそれは大切にかわいがりました。

次の日の朝、娘はおじいさんとおばあさんより早く起きて、朝ご飯の準備を始めようと台所へ行きました。

ですが、米びつの中は空っぽです。

昨日、おばあさんが娘に食べさせてくれたおかゆが最後のお米だったのです。

娘は、家の中から糸の束を見つけ、そっと機織り部屋に入っていきました。

キーカタン、キーカタン

娘は機を織り続けました。

やがて、おじいさんとおばあさんが起きてきました。

すると娘は、出来上がった反物を二人に見せました。

「おお、なんと美しい…。」

「これは、お前さんが作ったのかい?」

「ええ、おじいさん、これを町へ売りに行って、そのお金でお米を買ってください。」

おじいさんは喜んで、町へ出かけていきました。

娘の作った反物は、高い値段で売れ、おじいさんはそのお金で、お米や魚を買いました。

娘には、美しい櫛を買ってお土産にしました。

その夜、三人はお腹いっぱいご飯を食べました。

「娘や、本当にありがとう。お前が家に来てくれて幸せじゃよ。」

「私も幸せです。さあ、私はもう一反、布を織ってから寝ますから、お二人は先にお休みください。」

おじいさんとおばあさんは驚きました。

「まだ、仕事をするのかい?今日はもう休んだ方が良い。」

「はい、もう一反だけ織って寝ます。ですが、一つだけ約束をしてください。私が機を織っている姿は決して見てはいけません。」

「おお、分かったよ。約束しよう。」

おじいさんとおばあさんは不思議に思いましたが、娘のお願いにうなずくことしかできませんでした。

次の日も、次の日も、娘は機を織り続けました。

おかげで、おじいさんとおばあさんは不自由なく暮らせるようになりました。

ですが、だんだん娘の元気がなくなっていることをおじいさんとおばあさんは心配していました。

「今日も機を織るのかい?今日はもうお休み。あまり無理をしてはいけないよ。」

「いいえ、あと一反だけ織らせてください。」

そういって、娘は機織り部屋のふすまをぴしゃりと閉めてしまいました。

おじいさんとおばあさんは娘のことが心配で寝られません。

「なんだか最近元気がないね。毎日仕事をして体も疲れているんじゃろう。」

「よし、様子を見てこよう。」

「でも、娘との約束が!」

おばあさんが止めましたが、おじいさんは機織り部屋のふすまをそっと開けて中を覗いてしまいました。

すると一羽の鶴が、自分の羽を布に織り込んで機織りをしているではありませんか。

「あれは…」

おじいさんは、驚いて声を出してしまいました。

鶴は、おじいさんとおばあさんに気が付いて言いました。

「ああ、見てしまったのですね。そうです。私は、あの時おじいさんに助けてもらった鶴です。恩返しがしたくて、人間の姿になってここへやってきました。でも、姿を見られてしまったので、もうお別れしなくてはなりません…」

「行かないでくれ!」

おじいさんとおばあさんは泣きながら鶴を引き止めました。

「おじいさん、おばあさん。ありがとう。さようなら。」

鶴はおじいさんにもらった美しい櫛をくわえて、泣きながら飛んで行ってしまいました。

 

いかがでしたか。

楽しく読んでいただけたでしょうか。

このブログでは日本語学習に役立つ情報や物語などをご紹介していますので、また遊びにきてくださいね。

それでは、また!