「かちかち山」を読みましょう。日本語の昔話をご紹介します!
皆さん、こんにちは。
お正月はゆっくり過ごせていますか。
外はとても寒いので、風邪には十分注意してお過ごしくださいね。
さて、今年はうさぎ年なので、うさぎが出てくるお話をご紹介します。
「かちかち山」というお話です。
それでは、最後までご覧くださいね!
「かちかち山」
昔々、あるところにおじいさんとおばあさんが住んでいました。
おじいさんとおばあさんは畑で野菜を作って、仲良く暮らしていました。
ところがある日の朝、ふたりが外に出て畑仕事を始めようとすると、畑がめちゃくちゃに荒らされていました。
「誰がこんなひどいことを…」
すると、茂みの中から一匹のたぬきが出てきて、
「やーい、じいさん、ばあさん!お前らの野菜は全部俺が食ってやる!」
と、ふたりを馬鹿にして逃げていきました。
次の日も、次の日もたぬきはおじいさんとおばあさんの畑をめちゃくちゃにしました。
ある夜、おじいさんは怒って、畑に罠を仕掛けました。
そして、朝ふたりが畑を見に行ってみると、いたずらたぬきが罠にかかっていました。
おじいさんは、たぬきを家の柱に縛り付け、動けないようにしました。
「ばあさん、今夜はたぬき汁だな。ちょっと、山へ行って木を切ってくるよ。」
そう言って、おじいさんは山へ出かけていきました。
たぬきはしばらく泣いていました。
「えーん、えーん、ほどいてくれよ…。」
おばあさんは、無視して夕飯の準備をしていましたが、たぬきがあまりにも大きな声で泣くので、だんだんかわいそうになってきました。
「仕方がないね…。今回だけだよ。もう二度とうちの畑を荒らすんじゃないよ。」
おばあさんは、たぬきを縛っている縄を解いてやりました。
すると、たぬきはおばあさんに飛び掛かり、突き飛ばしました。
おばあさんは、ドン!と尻もちをついて動けなくなってしまいました。
「いたたたたた…。」
たぬきは、その隙にぴょんぴょんと逃げていきました。
「馬鹿なばあさんだ!ははは!」
帰ってきたおじいさんは、腰を打って動けなくなったおばあさんを見てびっくりしました。
「これは一体どういうことじゃ?」
「たぬきが逃げ出したんだ。」
すると、そこにうさぎが通りかかりました。
「あれ、おじいさん、おばあさんどうしたんですか?」
おじいさんは、たぬきのことをうさぎに話しました。
「なんてひどいやつだ!僕がそのたぬきをこらしめてやりますよ!」
その夜うさぎは、山の中の自分の家に戻って、きびもちを焼きました。
きびもちのいい匂いにつられて、たぬきがひょこっと顔を出しました。
「やあ、うさぎさん。いい匂いだな。そのきびもち、おいらにもくれよ。」
「たぬきさん、こんばんは。ちょうどいいところに来たね。これから、この荷物を山の向こうまで運ばなきゃいけないんだ。手伝ってくれたら、きびもちをあげるよ。」
「わかった。そのかわり、うさぎさんのきびもちも全部くれよ。」
そういって、たぬきはうさぎが用意した枯葉の束を背負いました。
うさぎは、たぬきの出発の準備を手伝うふりをして、こっそりたぬきの後ろに立ちました。
そして、カチカチカチ……火打ち石をならしました。
カチカチカチカチ……
たぬきが不思議そうに聞きました。
「なんか、カチカチって変な音がしないか?」
「それは、カチカチ鳥が鳴いているのさ。」
カチカチ…ぼうぼう…
火打ち石から、火が出て、たぬきの背負っている枯葉の束を燃やし始めました。
ぼうぼう…
「今度は、ぼうぼうって聞こえるぞ。」
「あれは、ぼうぼう鳥が鳴いているだけだよ。」
たぬきは、不思議に思いながら歩き始めましたが、だんだん背中が熱くなっているのに気付いて、後ろを見てみると…
背中が燃えているではありませんか!
「熱い!あちちちちち!」
たぬきは、走って逃げていきました。
次の日、うさぎはたぬきの家にお見舞いに行きました。
「たぬきさん、昨日は大変だったね。大丈夫かい?」
「ああ、うさぎさん。お見舞いに来てくれたんだね。背中を火傷して、今も痛いんだ。」
「じゃあ、僕が薬を塗ってあげるよ。」
うさぎは、持ってきた薬をたぬきの背中に塗りました。
「痛い痛い!しみる!」
なんと、うさぎが持っていたのは、唐辛子が入った薬だったのです。
たぬきは、背中を押さえて泣き始めました。
うさぎはそれを見て、満足そうに帰っていきました。
そして、次の日、うさぎはまたたぬきの家へ行きました。
「たぬきさん、どうだい背中の具合は?」
「だいぶ良くなったよ。」
「じゃあ、今日ふたりで釣りにでも行かないかい?一緒に、おいしい魚を食べようよ。」
「ああ、いいね。」
ふたりは、海にやってきました。
「それじゃあ、僕はこの木の船に乗るから、たぬきさんはこっちの泥の船に乗ってね。」
うさぎは、たぬきを泥でできた船に乗せました。
そして、海へ出て釣りをしていましたが、しばらくするとたぬきの泥の船は水に溶けて、たぬきは海へ落ちてしまいました。
「うわぁ。うさぎさん、助けてくれ!おいらは、泳げないんだ!」
「これでわかったか!いたずらたぬきめ!おばあさんは、お前が突き飛ばしたせいで、苦しんだんだ!」
「わかったよ。ごめんなさい!もうしません!」
たぬきが泣きながら謝ったので、うさぎもたぬきを助けて岸まで運んでやりました。
たぬきは、謝りながら自分の家へと帰っていきました。
こうして、うさぎはたぬきをこらしめたことをおじいさんとおばあさんに伝えにいき、三人で畑仕事をして仲良くくらしましたとさ。
いかがでしたか。
いたずらたぬきをこらしめる勇敢なうさぎのお話でした。
それでは、また次回のブログでお会いしましょう!