日本語でお話を読みませんか?「かさじぞう」というお話をご紹介します。

2022/12/30 ブログ

皆さん、こんにちは。

日本語で物語を読むお時間です!

2022年もあと1日…。なんだか少し寂しいですね。皆さんにとって、今年はどんな一年でしたか。私は、たくさん成長できて、楽しい一年だったなぁと満足しています。来年は、もっともっとレベルアップできるように頑張りたいです!皆さんの来年の目標もあれば是非聞かせてくださいね。

 

さて、今回は明日が大晦日ということで、日本昔話の「かさじぞう」というお話を持ってきました。これは、大晦日の心が温まるお話なので、この時期にぴったりだと思います。

是非最後まで読んでいってくださいね!

 

「かさじぞう」

昔々、あるところにおじいさんとおばあさんが住んでいました。

明日はお正月です。

でも、二人はとても貧しかったので、お正月に食べるお餅さえありませんでした。

「じいさんや。もう売れるものは、この古着くらいしかないんじゃよ。これを町で売って、お正月のお餅を買おう。」

「そうじゃな。よし行ってくる。」

おじいさんはさっそく、古着を持って町まで売りに行きました。

「うう、寒いのぉ。」

おじいさんは、震えながら歩きます。

道の途中で、6人のお地蔵さんを見つけました。

お地蔵さんの頭には雪がたくさん降り積もっています。

「おやおや、こんなに雪が積もって…寒いでしょうに…。」

おじいさんは、お地蔵さんの頭の雪を丁寧に払って、また長い道を歩き始めました。

何時間もかかって、ようやく町に着きました。

「古着はいかがかね~。古着~あったかいですよ~。」

おじいさんは、大きな声で言いました。

しかし、今日は大晦日です。

人々はお正月の準備で大忙しで、おじいさんの古着には見向きもしません。

しばらくすると、町の人通りもだんだん少なくなってきました。

「はあ、明日のお餅はなしか…。」

おじいさんは、がっかりしながら売れ残った古着を片付けました。

すると、一人の男がおじいさんのところにやってきました。

「売れ残ったのかい?いい古着だな。私もかさを作って売りに来たのだけど、大晦日に誰もかさなんか買ってくれないんだよ。どうだい、このかさ全部と、その古着全部を交換しないか。」

「大晦日にかさなんかもらっても使い道がないし…。」

おじいさんは悩みました。

でも、かさ売りの男がだんだんかわいそうに思えてきて、かさと古着を交換してあげました。

おじいさんは、交換したかさを背負って、来た道をとぼとぼと歩き出しました。

そして、またあのお地蔵さんの前を通りかかりました。

お地蔵さんの頭にはまたたくさんの雪が降り積もっています。

「お地蔵さん、寒いでしょう。今、雪を払って差し上げますよ。」

おじいさんは、雪を払って、持っていたかさをお地蔵さんの頭にかぶせました。

「一つ、二つ、三つ……おや、ひとつ足りない。」

五人のお地蔵さんにかさをかぶせることができましたが、最後の一人、一番小さいお地蔵さんのかさがありません。

「こんなので申し訳ありません。私ので我慢してくださいな。」

心優しいおじいさんは、自分がかぶっていたかさを小さなお地蔵さんにかぶせて、帰りました。

家に帰って、おじいさんはおばあさんに今日のことを話しました。

「おじいさん、それは良いことをしましたね。かさがあれば、お地蔵さんも寒くないでしょうね。」

「ばあさんならそう言ってくれると思っていたよ。」

その夜、二人が寝ているとどこからかガサガサと音が聞こえてきました。

「ばあさんや。何か物音がしないか。」

「本当だ。おじいさん、ちょっと外を見に行きましょうよ。」

おじいさんとおばあさんは恐る恐る玄関の戸を開けて、外を覗いてみました。

すると、なんということでしょう。

玄関の前には、お米や野菜、果物、お餅、魚などたくさんの食べ物が置いてあるではありませんか。

おじいさんとおばあさんが目を丸くして、一体だれがこんな贈り物をしてくれたんだろうと辺りを見回しました。

すると、向こうのほうに6人のお地蔵さんが一列になって帰っていく影が見えました。

おじいさんのかさをかぶった一番小さいお地蔵さんが一度だけ振り向いて、おじいさんにニコッと笑うとまた、他のお地蔵さんに続いて歩き出しました。

「お地蔵さんたちが置いて行ってくれたんじゃな…。」

「本当にありがたいねぇ。」

こうして、おじいさんとおばあさんはもらったお餅や野菜を食べて、すばらしいお正月を過ごすことができました。

 

 

いかがでしたか。

心優しいおじいさんのほっこりするお話ですよね。お地蔵さんが寒そうだからと、自分のかさまでかぶせてあげる優しさは素晴らしいですよね。この優しさは、私にはないかもしれない…と自信がなくなってしまいます(笑)

お地蔵さんが夜中に動き出すという少しファンタジックな物語ですが、人に良いことをしたら自分にも返ってくるという良い教えなので、「かさじぞう」は多くの日本人に読まれています。

 

本日は、「かさじぞう」という物語をご紹介しました。

このブログでは、日本語の学習に役立つ読み物や問題を載せていますので、是非来年も読みに来てくださいね!

それでは、皆さま、よいお年をお迎えください。