日本語で物語を読みましょう。「ジャックと豆の木」をご紹介します。

2022/12/29 ブログ

みなさん、こんにちは。

日本語で物語を読みましょう。

冬休みお家でゆっくり過ごされている方も多いと思いますので、今回は少し長いお話を準備しました。是非、最後まで読んでみてくださいね。

 

「ジャックと豆の木」

あるところにジャックという少年とその母親が二人で暮らしていました。

ジャックの父親は、昔、不思議な宝物をいくつも持っていましたが、誰かに盗まれてしまい、ついには殺されてしまったのです。

父親が亡くなったあと、ジャックと母親はとても貧しくなり、家にあるものといえば大きな牝牛一頭だけでした。

ジャックは、毎朝この牝牛からとれたミルクを町へ売りに行っていましたが、ある時、この牝牛も年をとってミルクが出なくなってしまいました。

そこで、母親はジャックに牝牛を町へ売りに行くように頼みました。

ジャックが牝牛を連れて、歩いていると向こうから不思議な男が歩いてきました。

男は、ジャックにこう言いました。

「おい、この豆五粒と、その牛を交換しないか?」

「豆五粒?だめだよ。母さんに牝牛を売ってお金を稼いでこいって言われたんだ。」

「この豆は、ただの豆じゃない。不思議な豆なんだぞ。」

そういって男は、ジャックにカラフルな豆を見せました。

ジャックは、なんだかこの豆がとってもいい物のような気がして、

「いいよ。牝牛と交換しよう。」

と言いました。

家に帰ると母親が尋ねました。

「牝牛はいくらで売れたんだい?」

ジャックは、牝牛が豆五粒になった話をしました。

すると、母親はカンカンに怒りました。

「お前は、なんて馬鹿なんだい!こんな豆粒5つで誰がお腹いっぱいになるんだ!もういい、お前は今日の晩御飯は抜きだよ!」

そういって、窓から豆を投げ捨ててしまいました。

その夜、ジャックはお腹を空かせながら眠りました。

そして次の日、目を覚ましたジャックはびっくり。

昨日捨てた豆が、蔓を伸ばして、天まで届くほどの大きな豆の木になっているではありませんか。

「この木、かなり大きいぞ。どこまで続いているんだろう…」

ジャックは、大きな豆の木に足をかけ、少しずつ登っていきました。

豆の木はとても高く、ジャックはぐんぐん上へと登ります。

どのくらい経ったでしょうか。とうとう町も見えなくなり、雲の上の天の世界へやってきました。

天の世界へ着いたジャックは、そこにあるもの全てがとても大きいことに気が付きました。

「ここは巨人の住む世界だ。」

そうしてジャックはある大きな巨人の家にたどりつきました。

コンコン…

「すみません、お腹が空いて倒れそうなんです。何か食べ物を分けてくれませんか。」

すると家の中から大きな女の人が出てきて、

「あら、いいわよ。ご飯を食べていきなさい。でも、注意して。うちの主人に見つかったら、あなた食べられてしまうわよ。」

と言いました。

そして、ジャックはキッチンでパンやチーズをたくさん食べました。

ところがその時、ガタン!

大男が帰ってきました。

「おや?なんだか人間のおいしそうな匂いがするぞ。」

「あら、きっと気のせいよ。」

「そうか。よし、腹が減った。朝飯だ。」

そう言って、大男は小さなニワトリを持ってきました。

ジャックは、鍋の中に隠れてじっとその様子を見ていました。

大男が、ニワトリに

「金の卵を産め!」

と叫ぶと…不思議なことにニワトリがポンポン金の卵を産みました。

ジャックは、このニワトリをどこかで見たことがあるような気がしていました。

「あ!!あれは、亡くなった父さんが持っていた不思議なニワトリだ!父さんからたくさんの宝物を盗んだのはコイツだったのか!」

大男は、朝ご飯を食べるとすやすやと居眠りを始めました。

ジャックはそのすきに、鍋から飛び出して、ニワトリを抱えると走り出しました。

家に帰ったジャックは、母親に金の卵を産むニワトリを見せ、巨人の国のことを話しました。

「そうか。これは父さんの…。でも、ジャック、もうそんな危ないところには行ってはいけないよ。」

ジャックは母親と約束しました。

2人は金の卵を産むニワトリのおかげで、お金持ちになりました。

ですが、ジャックは巨人の国にはまだ父親の宝物があるはずだと思い、取り返すためにまたこっそり豆の木を登って巨人の国へ行きました。

コンコン…

「すみません。お腹が空いて倒れそうなんです。食べ物を分けてくれませんか。」

「あら、この間の子ね。いいけど、最近主人は金の卵を産むニワトリを

誰かに盗まれて、機嫌が悪いの。見つかったら、すぐに食べられてしまうわ。気を付けるのよ。」

巨人の奥さんは、ジャックを家の中へ入れてあげました。

そして、大男が帰ってきました。

大男は、ドカッとソファーに座ると、金のハープを持って言いました。

「歌え!」

大男がハープに命令すると、ハープはきれいな音楽を奏で始めました。

それを聞きながら、大男はまた昼寝を始めました。

ジャックは、ハープをそっととると、家に向かって走り出しました。

しかし、逃げるときに棚にハープがぶつかって、ぽろんぽろんと音がなってしまいました。

「誰だ!」

大男が目を覚まし、すごいスピードで追いかけてきます。

ジャックは、ハープを抱えたまま急いで豆の木を下りていきます。

大男も後を追って豆の木を下り始めました。

ジャックは、地面にジャンプして着地すると、斧を持ってきて、豆の木をズドン!と切ってしまいました。

そして大男は、地面にたたきつけられて死んでしまいました。

それから、ジャックと母親は不思議なニワトリと、ハープのおかげでいつまでも幸せにくらしました。

 

 

いかがでしたか。

この話は、いくつかストーリーがあって、巨人の家からジャックが宝物を盗むという設定のものもあります。人のものを盗んで自分が幸せになるストーリーはあまりよくないかなと思い、今回はその宝物がもともとは自分のお父さんのものだったというお話にしました。

楽しんでいただけていたらうれしいです。

それでは、今後も楽しいお話やJLPT問題をご紹介しますので、またこのブログに遊びに来てくださいね!