日本語で12月にぴったりなお話を読みましょう。「12の月のおくりもの」というお話です。

2022/12/07 ブログ

こんにちは。

12月になってからもう一週間が過ぎましたね。本当に早いです。

最近は時々雨が降ったりして、とても寒くなりました。東京では1年に数回しか雪が降らないので、今年は降るのかなと楽しみにしています。

さて、今日は冬にぴったりなお話をご紹介します。「12の月のおくりもの」です。

是非最後まで読んでいってくださいね!

 

 

「12の月のおくりもの」

昔、あるところにマルーシカという女の子が暮らしていました。

マルーシカは、早くにお父さんとお母さんを亡くしたので、継母とその娘のホレーナと一緒に暮らしていました。

継母は、自分の娘のホレーナだけを可愛がり、マルーシカにはとても冷たくあたりました。

ホレーナは一日中遊んで暮らしていましたが、マルーシカは朝から晩まで掃除や洗濯をしていました。

ですが、マルーシカは少しも嫌がらず毎日仕事をして、どんどん美しい娘に成長しました。

そして、継母とホレーナはそんなマルーシカをだんだん憎らしいと思うようになり、家を追い出そうと考えました。

ある寒い冬の日、ホレーナが言いました。

「ねえ、マルーシカ。森へ行ってすみれの花を摘んできてちょうだい。」

「えっ、今は冬よ。すみれなんてどこにも咲いていないわ。」

すると、継母も一緒になって言いました。

「いいからさっさとお行き。すみれの花を見つけるまで帰ってきちゃだめよ。」

継母とホレーナは、マルーシカを外へと追い出し、家のドアに鍵をかけてしまいました。

外はひどい吹雪で、マルーシカは凍えながら森の中へ歩いていきました。

「こんなに雪が積もっているのに、すみれなんて咲いているはずがない…。」

マルーシカはしばらく雪の中を歩いていましたが、そのうち寒さで手足が震え、倒れそうになりました。

すると、近くでちらっと赤い炎が見えました。

「あれは何かしら…。」

マルーシカが近づいてみると、12人の男の人が焚火を囲んで座っていました。

ふらふらになっているマルーシカをみて、男の人たちも驚きました。

「おやおや、お嬢さん、どうしてこんなところへ…。」

マルーシカは、継母とホレーナに追い出されてすみれの花を探しに来たことを話しました。

すると、一人の杖を持ったお爺さんが言いました。

「そうかそうか。実は私たちは1月から12月までの月の妖精なのだ。私は12月の妖精だから、今ここに座っているのだが、少しの間3月の妖精に代わってもらおう。」

そういって、12月の妖精は3月の妖精に杖を渡しました。

3月の妖精は、杖を受け取ると、大きく杖を振りました。

たちまちオレンジ色の炎が舞い上がって、辺りの雪を溶かし、春の景色になりました。

地面には緑の草が生え、暖かい風が吹いてきました。

「わあ、すみれが咲いてる!これ、取ってもいいの?」

「ああ、すみれは3月に咲くからな。早く摘んで、家へ帰りなさい。」

「ありがとう!」

マルーシカは、何度もお礼を言いながら、すみれの花を抱えて家へ帰りました。

家へ着くと、継母とホレーナは腰を抜かすほど驚きました。

ホレーナはお礼も言わずに、すみれの花を奪い取ると、自分の部屋に飾りました。

その次の日、ホレーナはまた言いました。

「私、いちごが食べたいの。取ってきてよ。」

マルーシカは仕方なく、12月の妖精がいた場所に行きました。

そして、いちごを取ってくるように言われた話をしました。

「では、5月の妖精に代わろう。」

5月の妖精が杖を受け取り、大きく振ると、あっという間に5月の景色になりました。

「本当にありがとう!」

マルーシカはお礼を言って、いちごを摘んで帰りました。

ホレーナは、マルーシカの取ってきたいちごをパクパクと食べ、すぐに

「いちごもおいしかったけど、りんごも食べたいわ。」

と言いました。

マルーシカはまた、吹雪の中りんごを取りに12人の妖精のところへ行きました。

9月の妖精が杖を振ると、一瞬で秋の景色になりました。

マルーシカは、お礼を言って、リンゴの木を揺すりいくつかリンゴを取りました。

家に帰ると、ホレーナが言いました。

「どうして、もっとたくさん取ってこないの?もういいわ。私が行ってくるから!」

ホレーナはそう言うと家を飛び出しました。

吹雪の中を進んでいくと、やがて手足が震え動けなくなりました。

すると、赤い炎がちらっと見え、12人の男の人が焚火を囲んでいるのがわかりました。

ホレーナはふらふらになりながら、焚火に近づき手を温めました。

「おやおや。どうしてここに来たんだい?」

12月の妖精は聞きました。

ホレーナは12月の妖精の質問に答えないで、

「おじさんたち、私、はやくりんごが欲しいんだけど!」

と、大きな声で怒鳴りました。

12月の妖精は顔をしかめ、杖を振りました。

すると、たちまち目の前の焚火も12人の妖精たちも吹雪のなかに消えていきました。

ホレーナは、真っ白な雪の中に一人だけ取り残されてしまいました。

ホレーナがなかなか帰ってこないので、継母も心配になり探しに行きましたが、ひどい吹雪で前が見えません。

継母も森の中で迷子になり、家へ帰れなくなりました。

いじわるな2人がいなくなってマルーシカは幸せに暮らしましたとさ。

 

 

いかがでしたか。

今後もたくさんのお話をご紹介していきますので、是非また見に来てくださいね!

それでは、また!