日本語で12月にぴったりなお話を読みましょう。「12の月のおくりもの」というお話です。
こんにちは。
12月になってからもう一週間が過ぎましたね。本当に早いです。
最近は時々雨が降ったりして、とても寒くなりました。東京では1年に数回しか雪が降らないので、今年は降るのかなと楽しみにしています。
さて、今日は冬にぴったりなお話をご紹介します。「12の月のおくりもの」です。
是非最後まで読んでいってくださいね!
「12の月のおくりもの」
昔、あるところにマルーシカという女の子が暮らしていました。
マルーシカは、早くにお父さんとお母さんを亡くしたので、継母とその娘のホレーナと一緒に暮らしていました。
継母は、自分の娘のホレーナだけを可愛がり、マルーシカにはとても冷たくあたりました。
ホレーナは一日中遊んで暮らしていましたが、マルーシカは朝から晩まで掃除や洗濯をしていました。
ですが、マルーシカは少しも嫌がらず毎日仕事をして、どんどん美しい娘に成長しました。
そして、継母とホレーナはそんなマルーシカをだんだん憎らしいと思うようになり、家を追い出そうと考えました。
ある寒い冬の日、ホレーナが言いました。
「ねえ、マルーシカ。森へ行ってすみれの花を摘んできてちょうだい。」
「えっ、今は冬よ。すみれなんてどこにも咲いていないわ。」
すると、継母も一緒になって言いました。
「いいからさっさとお行き。すみれの花を見つけるまで帰ってきちゃだめよ。」
継母とホレーナは、マルーシカを外へと追い出し、家のドアに鍵をかけてしまいました。
外はひどい吹雪で、マルーシカは凍えながら森の中へ歩いていきました。
「こんなに雪が積もっているのに、すみれなんて咲いているはずがない…。」
マルーシカはしばらく雪の中を歩いていましたが、そのうち寒さで手足が震え、倒れそうになりました。
すると、近くでちらっと赤い炎が見えました。
「あれは何かしら…。」
マルーシカが近づいてみると、12人の男の人が焚火を囲んで座っていました。
ふらふらになっているマルーシカをみて、男の人たちも驚きました。
「おやおや、お嬢さん、どうしてこんなところへ…。」
マルーシカは、継母とホレーナに追い出されてすみれの花を探しに来たことを話しました。
すると、一人の杖を持ったお爺さんが言いました。
「そうかそうか。実は私たちは1月から12月までの月の妖精なのだ。私は12月の妖精だから、今ここに座っているのだが、少しの間3月の妖精に代わってもらおう。」
そういって、12月の妖精は3月の妖精に杖を渡しました。
3月の妖精は、杖を受け取ると、大きく杖を振りました。
たちまちオレンジ色の炎が舞い上がって、辺りの雪を溶かし、春の景色になりました。
地面には緑の草が生え、暖かい風が吹いてきました。
「わあ、すみれが咲いてる!これ、取ってもいいの?」
「ああ、すみれは3月に咲くからな。早く摘んで、家へ帰りなさい。」
「ありがとう!」
マルーシカは、何度もお礼を言いながら、すみれの花を抱えて家へ帰りました。
家へ着くと、継母とホレーナは腰を抜かすほど驚きました。
ホレーナはお礼も言わずに、すみれの花を奪い取ると、自分の部屋に飾りました。
その次の日、ホレーナはまた言いました。
「私、いちごが食べたいの。取ってきてよ。」
マルーシカは仕方なく、12月の妖精がいた場所に行きました。
そして、いちごを取ってくるように言われた話をしました。
「では、5月の妖精に代わろう。」
5月の妖精が杖を受け取り、大きく振ると、あっという間に5月の景色になりました。
「本当にありがとう!」
マルーシカはお礼を言って、いちごを摘んで帰りました。
ホレーナは、マルーシカの取ってきたいちごをパクパクと食べ、すぐに
「いちごもおいしかったけど、りんごも食べたいわ。」
と言いました。
マルーシカはまた、吹雪の中りんごを取りに12人の妖精のところへ行きました。
9月の妖精が杖を振ると、一瞬で秋の景色になりました。
マルーシカは、お礼を言って、リンゴの木を揺すりいくつかリンゴを取りました。
家に帰ると、ホレーナが言いました。
「どうして、もっとたくさん取ってこないの?もういいわ。私が行ってくるから!」
ホレーナはそう言うと家を飛び出しました。
吹雪の中を進んでいくと、やがて手足が震え動けなくなりました。
すると、赤い炎がちらっと見え、12人の男の人が焚火を囲んでいるのがわかりました。
ホレーナはふらふらになりながら、焚火に近づき手を温めました。
「おやおや。どうしてここに来たんだい?」
12月の妖精は聞きました。
ホレーナは12月の妖精の質問に答えないで、
「おじさんたち、私、はやくりんごが欲しいんだけど!」
と、大きな声で怒鳴りました。
12月の妖精は顔をしかめ、杖を振りました。
すると、たちまち目の前の焚火も12人の妖精たちも吹雪のなかに消えていきました。
ホレーナは、真っ白な雪の中に一人だけ取り残されてしまいました。
ホレーナがなかなか帰ってこないので、継母も心配になり探しに行きましたが、ひどい吹雪で前が見えません。
継母も森の中で迷子になり、家へ帰れなくなりました。
いじわるな2人がいなくなってマルーシカは幸せに暮らしましたとさ。
いかがでしたか。
今後もたくさんのお話をご紹介していきますので、是非また見に来てくださいね!
それでは、また!