日本語で物語を読んでみましょう。「ふるやのもり」というお話をご紹介します。
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さて、8月ももう終わりですね。今年の夏は満喫できましたか?
今回も皆さまの学習のお役に立てるよう、ひとつの物語をご紹介しようと思います。楽しんでいただけると嬉しいです。ご紹介するのは、「ふるやのもり」です。
読む前に考えてみましょう。
皆さんにとって、この世で一番怖いものは何ですか?おばけ、虫、雷、ジェットコースターなど怖いものはたくさんありますね。では、「ふるやのもり」はどうでしょう。このお話の中では、ふるやのもりが一番怖いと言われています。ふるやのもりとは何のことなのか、お話を読んで確かめてみてくださいね。
「ふるやのもり」
雨が降りそうなある晩のこと。
おじいさんとおばあさんの家に泥棒が忍び込みました。
「おっ、いい馬だ。盗んでやろう。」
泥棒は馬小屋の天井に隠れて、様子をうかがっていました。
するとそこへ、オオカミがやってきました。
「へへっ、いい馬だ。食ってやろう。」
オオカミは、馬小屋の隅に隠れました。
そのとき、おじいさんとおばあさんの話し声が聞こえてきました。
「この世で一番怖いものは何だろうね。」
「そりゃ、泥棒に決まっていますよ。」
おばあさんがそういうのを聞いて泥棒は満足そうに笑いました。
するとおじいさんが言いました。
「いやいや、オオカミのほうがずっと怖いよ…。」
それを聞いて、こんどはオオカミがにんまり笑いました。
するとおばあさんが言いました。
「いいえ、おじいさん、やっぱりふるやのもりほど怖いものはありませんよ。」
「本当にそうだなぁ。ふるやのもりは怖い。今夜あたり来そうだな…。」
ふるやのもりとは、古い家の雨漏りのことです。
ところが、ふるやのもりなんて知らないオオカミはガタガタ震えだしました。
「ええ、俺様より怖いものがいるんだって?」
泥棒も馬小屋の天井でガタガタ震えだしました。
「今夜この家に来そうだって?」
あんまり震えたものだから、泥棒は足を滑らせて、どっすーん!
落ちたのが、ちょうどオオカミの上。
「わあ、ふるやのもりが下にいた!」
オオカミもぎょっとして、
「わああ、ふるやのもりが飛びついたあ!」
と、泥棒を背中に乗せたまま馬小屋を飛び出しました。
「落ちたら終わりだ。ふるやのもりに食われてしまう。」
泥棒はオオカミの背中にしがみつきました。
しがみつかれたオオカミは、
「ふるやのもりが嚙みついた!」
と、走って走って、夜が明けるまで走り続けました。
そして、とうとう森の入り口で泥棒を振り落としました。
ごろごろごろ…。
泥棒は大きな穴の中に転がり落ちてしまいました。
オオカミは森に逃げ帰ると、猿にふるやのもりの話をしました。
「ええ、そんなに怖いやつだって?俺が捕まえてやるよ。」
猿は穴のところにやってきました。
そして、長い尻尾を垂らしました。
泥棒は縄だと思って、
「ありがたい、助かった!」
と、猿の尻尾を掴んでぐいぐい引っ張りました。
猿はびっくり。
「ふるやのもりが噛みついた!」
と、顔を真っ赤にして、うんうんうんと踏ん張りました。
ぐいぐいぐい!ぐいぐいぐい!ぶっちん!
「ぎゃあ!尻尾がちぎれた!」
というわけで、猿の顔は今でも真っ赤。尻尾はあんなに短いそうですよ。
いかがでしたか?
オオカミと泥棒がお互いをふるやのもりだと思って怖がっているのが面白いですよね。知っているものより、知らないもののほうが怖く感じてしまうのでしょう。
皆さんも、こういった怖い体験をしたことがありますか?もしあれば、是非聞かせていただきたいです。
また、この話の最後には猿が登場しましたね。日本猿は顔が赤くて尻尾が短いのが特徴ですが、それにはこんな秘密があったんですね。もちろんお話の中のことですから、本当のことではないと思いますがとても面白いですよね。この猿はとても勇敢で、自分がふるやのもりを退治してあげると言っていました。皆さんは怖いものや危険なものがあったとき、この猿のように自分から行動できますか?私は、おばけ屋敷に入った時など、怖いものを見たら一目散に逃げてしまいます!この猿のような勇気を持たなくてはなりませんね!
そして、猿といえば思い出すのが太宰治の「猿ヶ島」という物語です。少し表現が難しいので、上級者向けですが短編小説を探している方にはおすすめです。こちらも是非見てみてください。
今日は、「ふるやのもり」という物語をご紹介しました。
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